2011年01月11日

空調換気で20kWh/uは見えてきた!  家電の見える化が必要

(二次エネルギーの数値が間違っているとの指摘で、40から44kWh/uに訂正しました)

Y.Sさんから08年、09年に続いて10年の「暖・冷・換気」のu当たりのkWhの数値が送付されてきました。
ご案内のとおり、Y.S邸は延べ床面積が136.57uで、サッシはウッドで1.3W、換気は90%熱回収の全熱交。これによりQ値が0.9W。
全館24時間空調換気システムを採用しています。

●2008年(07年11月〜08年10月)
 23.64kWh/u (暖房12.87、冷房5.00、換気5.77)
●2009年(08年11月〜09年10月)
 24.14kWh/u (暖房12.19、冷房6.18、換気5.77)
●2010年(09年11月〜10年10月)
 21.90kWh/u (暖房 9.43、冷房6.79、換気5.77)

なんと、09年に比べて1割近くも全体の電気代が節減しています。
これは、暖房費が23%と大幅に削減されたから。
その理由は冬期の設定温度にありました。
09年の冬期の設定温度は24℃。それをフォーラム欄で発表したら、「24℃設定とは贅沢だ」 と指摘された。そこで、昨年の冬の設定温度を1℃下げて23℃とした。そしたら23%もの暖房費の節減になった。
今年は、さらに1℃下げて22℃の設定温度を目指したいと考えているそうです。
しかし、22℃ではパジャマ姿のままでは寒く感じる。
今までのガウンが無くてもよい生活に慣れたので、22℃の設定温度には家族全員に抵抗感があると言う。
もし22℃設定で過ごせたら、間違いなく11年の暖冷房・換気は20kWh/uを切るはず。

graph.JPG

月別の3年間の推移は上図の通り。
昨年は8月以降が暑かった。雨が降らず夏が長かった。
それが、8月、9月、10月の冷房費に端的に現れています。
この秋の高温と雨不足のため野菜が大不作。ネギやハクサイなどは水を発散させまいとしたせいか堅くて不味く、外側部分を2〜3割ほどは捨てねばならない。
十勝の仲間の賀状には小麦、イモ、ビートの代表作は不作だったと書かれていたし、九州からの賀状には海水温の上昇で養殖が大打撃を受けていると書かれていました。大規模なナラ枯れをおこしているカシノナガキクイムシやイエシロアリの被害の北上が続いています。
「寒冷化しているなら大問題だが、温暖化は大歓迎」と書いている武田邦彦氏らの著書を数冊読みました。氷河期よりは温暖化が良いと言うのは問題のスリカエ。
今、氷河期がくるわけがない。たった100年足らずの間に気温や海水温1℃〜3℃も上昇することはかつてなかった。その異常さこそが問題。
急上昇がもたらしている各地の混乱。その事実を見ようとしない机上派の独善!

さて、全館24時間空調換気で20kWh/uで済むことはすごいこと。
パッシブハウスが目的としている数値は、暖冷房・換気に関してはほぼクリアーしたと考えます。
よく、シミュレーションだけで、Q値が0.6Wだとか0.7W台の家だとか言います。
しかし、それはあくまでも机上の計算値であって実生活でどのような数値が出ているかという追跡調査が、ほとんど行われていません。
hiroさんのように、個人が「おんどとり」を買ってきて、数年間に亘ってデータを取りコンピューターに保存しているのは例外中の例外。
やはり設計事務所とか施工業者が、施主の協力を得てデータ取らないかぎり、空理空論だけが横行することになります。
そういった意味で北海道の3-0-3運動が、数棟のデータ取りを北大・絵内研に委嘱して行っていることは、評価したいと思います。

Y.S邸では暖冷房・換気に関してはとりあえずの課題は解消した。
ところが、CO2削減という視点で考えると給湯、家電、調理を含めた総kWh/uが問題に。
Y.S邸では空調と換気に関しては特別にメーターがついています。これを御主人がチェックしているから暖冷房と換気に関しては正確なデータが得られた。
ところが、給湯や調理、個々の家電については個別メーターがない。何にどれだけ電力が消費しているかが分からない。分かるのは、東電からくる合計数値。
これによると、総量は下記のようになります。
2008年   68.50kWh/u
2009年   67.41kWh/u
2010年   66.62kWh/u
なんと、セントラル空調換気の2倍以上を給湯、調理、家電で使っています。ここにメスを入れない限り真の省エネ、CO2の削減が果たせません。

一番理想的なことは、配電盤が 暖冷房、換気、給湯、調理、1階照明、2階照明、1階コンセント、2階コンセント等という具合に分かれており、それぞれの系列ごとの使用量が東電の請求書に書かれて渡されること。
さらに可能であれば、それぞれの系列の時間帯ごとの使用量が示されていること。
それがあれば、消費者はどこにムダがあり、どこを改善すれば省エネ化が図れるかがはっきり分かります。
そのための配電施工マニュアルが作られ、かなり高くてもいいから系列ごとの明細が分かる機器が取り付けられる。そして東電の請求書で示されることが理想。
つまり消費電力の「見える化」がなされるということ。

ヘムスというシステムが注目を集めています。
HEMS (home  energy  management  system) という住宅エネルギー管理システム。
センサーやITを駆使して、どれだけのエネルギーが今どこで使われているかを「表示」するとともに、自動的にエネルギーの使用量を「制御」することが目的。
トヨタホームが開発しようとしているHEMSには、この表示と制御という2大目的のほかに「蓄電」という機能を持たせようとしています。
そして、国交省が開発中のLCCM住宅(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅)では、このHEMSの装備が絶対条件になるのではないかと言う人もいます。
したがって、大手プレハブメーカーはHEMSの開発にシャカリキになっている・・・。

見える化といっても住宅の場合は、例えば人が居ないからと言って自動的に冷暖房をオン・オフする必要性はありません。Q値が1.0W以上の高性能住宅だと、設定温度さえ正しくセットすれば空調機はほとんど稼働しない。ヘムスでオン・オフさせる必要が一切ない。
また、今どこにどれだけの電力が使われているかと言う速報性は不要。
東電の、月単位の詳細データで十分に対応が可能。
家電そのものが賢ければ、やたら高価なHEMSの設備はもったいない。
電力会社が中心になって、オープンなスマートメーターを開発していただきたい。
その必要性を、Y.S邸のデータが訴えているのだと思います。

P1030907.JPG

毎度おなじみの「世帯当たりエネルギー消費量の国際比較」。
10年前の数字ですが、日本の世帯は先進国の中ではダントツでエネルギーを使っていません。
その最大の理由は、日本だけがセントラル空調設備を備えておらず、暖冷房に関しては世界一我慢をしているため。
このため、同じような緯度に位置しながら消費エネルギーの中に占める暖冷房費がアメリカの54%に対して日本はたったの32%。
暖冷房費の占める比率が高い順に並べると、下記のようになります。

ドイツ    78%
フランス   73%
イギリス   62%
韓 国    61%
アメリカ   54%
日 本    32%

このように、暖冷房費が低いので、「日本では何もしなくて良い」 と間違った考えをしている人が多い。
そうではありません。現在の消費エネルギーで、24時間全館空調換気システムを普及させてゆくという仕事こそがビルダーに課せられた最重要課題。そうでないと、あまりにも日本の消費者が可哀そう。

それと、この数値がギガジュールで表現されているため、なかなかピンときません。
また、世帯当たりといっても、平均的な延床面積の大きさが各国で大きく異なります。
表記の図の数値をGJではなくkWhで表示したらどうなるか?  
また各国のエネルギー消費量を、各国の平均的な床面積で割り、u当たりに換算したらどうなるか?
もちろん、持ち家と借家では広さが異なります。2001年頃の各国の持ち家と借家を平均した広さはおおよそ以下。

アメリカ   148u
フランス    99u
日 本      95u
ドイツ     95u
イギリス    87u
韓国の数字が見当たらないので、仮に60uとして計算します。

この広さで、各国のu当たりの二次エネルギーと一次エネルギーを表現すると次のようになりました。ただし、私の換算が間違っているかも知れません。間違いを発見した方は教えてください。すぐに訂正致します。
       二次エネルギー    一次エネルギー
韓 国      99.9kWh/u      273kWh/u
イギリス     94.6          258
ドイツ       79.2           216
フランス     77.5           212
アメリカ     66.6           182
日 本       43.0           118

この表を見て驚くことが5つあります。
@まず、家が狭い韓国が、u当たりで表現すると一番省エネの遅れた国となる。
A同じ道理で、家が広いアメリカはu当たりで表現すると、日本に次いで省エネ化
 が進んでいる国となる。したがって、パッシブハウス研究所のu当たりの表現は
 必ずしも正しい基準とは言えない。
B同じ道理で、平均床面積の小さなイギリスが、韓国に次いで遅れた国となる。
Cドイツと日本はuが同じだが、暖房比率が78%を占めるドイツは遅れていること
 になる。
Dそして、日本は10年前の時点でパッシブハウスの基準をクリアーしていることに
 なる。一次エネルギーでも120kWh/uをクリアー。
 パッシブハウスは、日本にとっては珍しいものでも何でもなくなる。
E各国の家の広さの基準が違うので、この数値を絶対化することは出来ない。
 ヨーロッパは一般的に内規の有効寸法で表示するが、日本では構造芯。

再度弁明させていただきます。
この数値は、一人でやっているSOHOの哀しさでチェックマンがいない。基本的な間違いを犯しているかもしれません。したがって、「こういう見方もあったのか」 という程度にとどめておいて下さい。
それにしても、4帖半一間のアパートまで含めると、10年前の時点で日本の平均世帯はパッシブハウスの厳しい条件を突破しているという事実には驚かされます。

金融公庫の戸建ての平均床面積は03年で136u程度でした。
ちょうどY.S邸と同程度の規模。
この住宅の一次エネルギーを120kWh/uで上げるためには、二次エネルギーは44kWh/uとしなければなりません。
66.6kWh/uから23kWh/uも削除しなければならない勘定。
シャワーだけのドイツでは、給湯・調理で平均9.6kWh/uしか使っていない。
暖房・換気を20kWh/uで上げ、家電を14.4kWh/uで上げれば一次エネルギー120kWh/uに収まってくれます。
ところが日本はドイツの2倍の18.2kWh/uという平均給湯・調理エネルギーを使っています。これに20kWh/uを加えると38.2kWh/u。
家電分として残っているのはたった5.8kWh/u。
全館空調が普及していない日本ではシャワーだけでは身体の芯が暖まらず、疲れとストレスがとれない。また、食の安全と健康のためには自宅で調理することが理想。
となると、給湯と調理エネルギーをドイツのように半減するわけにはゆかない。
どうしても15kWh/u程度は太陽光で稼がねばならないという勘定になります。

パッシブハウスというドイツの基準をそのまま日本へ導入するには、大幅な修正作業が必要だということを、Y.S邸のデータが痛いほど教えてくれています。


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