2011年01月25日

住宅着工減少下の建材高現象 !!



新設住宅の年計の着工量は、06年までは110〜120万戸台を維持していた。
そして、08年までは100万戸台はなんとか維持していた。
しかし、リーマンショックの影響を受けて、09年はいきなり80万戸を切り、79万戸までに激減した。
この激減の影響は昨年の5月まで続いた。
対前年同月比で見ると、08年12月からマイナスに転じ、
昨年の5月までの18ヶ月も連続して対前年同月比でマイナスを記録している。
とくにひどかったのは09年4月からで、対前年同月比で30%以上のマイナスを記録している。
そして、昨年は対前年比で見ると落ち込みは少ないが、これは09年が悪すぎたからで、
08年比で見るならば昨年の7月まで、実質30%減という状態が15ヶ月も続いた勘定になる。

30%もの需要減状態が1年半近くも続いたので、建材メーカーは大幅な減産を余儀なくされた。
縮小再生産体制をとるしかなかった。
海外マーケットに強い一部のメーカーを除いて、建材メーカーは一斉に身体を縮めた。
生産設備や人員の縮小で対処した。
そこへ、昨年の8月以降対前年比で20%近い着工量の回復が続いた。
しかし、一旦身を縮めた建材メーカーは、おいそれと設備と人員を増加するわけにはゆかず、
これに対応することが出来なかった。
断熱材の極端な不足現象は、こうした中で起こった。
人口の高齢化と少子化が叫ばれており、日本の近未来の住宅着工量は80万戸前後で推移し、
将来は70万戸を切るだろうと予測されている。

つまり、一時的に年間100万戸近い需要が生じても、それはプラスアルファの需要であり、
生産設備の増強ではなく、輸入などによって対応すべきものだと建材メーカーは考えるに至っている。
この一時的な輸入増が、
ますますもって日本のメーカーのマーケットを縮小させる悪循環に入ったと見るべきだろう。
日本の建材メーカーをして、国内の設備増強に走らせることは、今後あり得ないだろう。
安定需要先の確保に走り、
プラスアルファの需要に対しては冷たく対応するという時代に突入したと考えるべき。

このような状況下の日本の建材メーカー。
そこから懸念されることが2つある。
1つは、新しい技術開発、つまりイノベーションが極端に少なくなるということ。
この懸念が、すでにいくつかの業界で表面化している。
一番代表的なのがサッシ業界。
日本の住宅メーカーは、国交省のユルフンもあって、高性能サッシを強く求めていない。
進めようとしているLCCM住宅は、住宅の躯体の性能を画期的に高めようというものではない。
このため、イノベーションのインセンティブが、
住宅メーカーとサッシメーカーに何一つとして働いていない。
そういったこともあって、住宅メーカーそのものが守りの縮小再生産体制へ。
新しいイノベーションにトライしようという雰囲気は全くと言ってよいほど感じられない。
先日、ある大手メーカーの中堅幹部に実態を聞かせてもらったが、
多くの社員が住宅会社の将来に希望を持てなくなってきているという。
会社の劣化が、驚くほどの規模で進んでいるところがある。

ヨーロッパでは、サンゴバンのドイツ工場でU値が0.8Wどころか0.6Wのガラスが生産を開始してきている。
このため、0.8Wのトリプルのウッドサッシが簡単に入手出来るようになってきている。
そればかりではなく、日本のアルブラのような2.33Wのサッシではなく、
外部にアルミを採用しながら伝導熱だけでなく輻射熱も遮蔽したビル用の1.0Wを切るサッシが開発されてきている。
その詳細は、ドイツのサッシ展とメーカーの調査グループの帰国報告を待たねばならない。
だが、日本のサッシ界は一周どころか二周遅れになってきているのは紛れもない事実。
サンゴバンは、ガラスカーテンウォール用として0.4Wのガラスまで開発してきている。
一口にLow-Eガラスと言っても、遮熱や透視の面で、技術レベルに格段の差があるという。

そのサンゴバンが、ヨーロッパの高い省エネ要請に基づいて、
ドイツの工場だけで高性能ガラスの生産を続けるはずだと私は考えていた。
しかし、最近の情報によると南京の工場でU値0.8Wのガラスの生産計画があるやに聞く。
そして、すでに商社を通じて、日本のマーケットに働きかけがあるという。
もちろん、この0.8Wの製品は、ドイツでの生産品より内容は劣ると言われているが、
この0.8Wのガラスを利用したトリプルのウッドサッシだと、1.0W強の性能が期待出来る。
日本の2.33Wのアルブラなどは吹き飛んでしまう。

この動きに、強い危機感を抱いているのが旭硝子や日本板硝子。
とくに旭硝子は、昨年春から1.0Wのサッシの開発を目指してトステムに対する働きかけを強化してきている。
しかし、仄聞するところによると、トステムの動きは非常に鈍い。
同じことで、日本板硝子の危機感に対して、三協立山の動きは輪をかけて鈍い。
日本のサッシ業界をこのような国際音痴にし、商品の競争力を奪おうとしているのは、
外でもない国交省であり、経産省。
経産省は、自動車や家電ではトップランナー方式を採用し、企業の国際競争力を強めてきた。
しかし、サッシの窓口である窯業建材課では、トップランナー方式を採用せず、
連合艦隊方式を採用してきた。
これが、今日の国際競争心のない、だらしのないサッシ業界にしてしまった。
その上、昨今の住宅事情がからんでイノベーション意欲を見事に削ぎ取っている。

このままでは、サッシの国産化が極端に低くなり、
国内での雇用チャンスをサッシメーカーは失ってゆくであろう。
そして、サッシメーカーは生産を放棄して輸入販売業者化してゆく。
つまり、大手建材問屋に対抗する流通業者でしかなくなる。
それは、メーカーとしての責任放棄と考えてよい。

アルミの大手メーカーは、率先して旭硝子や日本板硝子の要請に応え、
1.0Wのサッシの開発に邁進すべき。
それが出来ないと分かったら、日本で育ちつつある堅実な地場メーカーか、
場合によっては中国メーカーとの提携も考えてゆかねばならなくなろう。
防火疑惑で痛手を受けた日本のPVCメーカーの立ち直りは、ほとんど期待できない。
世界は、PVCではなく一歩先の樹脂を考えている。
かつて、R-2000住宅が大きく飛躍出来たのは、
PVCメーカーが先を競ってLow-Eやアルゴンガス入りの高性能サッシを安価に提供してくれたから。
その輝かしい伝統と力は、今は全く失せている。

そして、日本で唯一1.0W以上の高性能サッシを、
リーズナブルな価格で提供してくれているのが帯広のユーロハンズ。
同社に対して、一部のビルダーは間違った判断を下している。
それは、「黙っていても、メーカーが売り込みにくるだろう。きた時に、安く買い叩けばよい」 との考え。
それは、10年前まで通用した話。
全体に縮小再生産体制に入った日本の建材メーカーは、新しい商品の開発意欲がない。
押しこみ売りを避け、出来るだけ値下げ要求をハネツケてきている。
現状維持以上のことをビルダーに求めない。
つまり、訪ねてくるのを待っていて、来たら値切ろうと待ち構えているビルダーのところへは、
賢くなったメーカーは訪ねない。
つまり、自社に見合った適切な規模の生産量は求めるが、
かつてのような大規模な先行投資による無差別な需要増は求めない。
採算性を確保するために、原価を切っても売らなければならない事態を回避している。
したがって、ビルダーの側から働きかけ、リスクを取らない限り、
新しい商品を手にすることは出来なくなってきている。
これが第2の問題点。

住宅マーケットが縮小してゆく中で、縮小再生産に舵を切った建材メーカーは、
建材の価格高を維持してゆくであろう。
先行き建材の価格が下落するという可能性はほとんどなくなった。
面白くもおかしくもない世界になろうとしている。

その中にあって、
ほんの一部のサッシ、換気システムと一部の断熱材に関しては、
日本でもイノベーションが続けられており、
若干の期待を賭けてもよいようだ。



posted by uno at 11:07| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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