2011年02月20日

ハウス・オブ・ザ・イャーの表彰制度改革を !!


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写真は広い表彰式の会場風景(上)と、戸建て応募53件の評定一覧表(下)


ハウス・オブ・ザ・イャー・イン・エレクトリックの表彰制度は、2007年からスタートした。
最初は、電力業界だけでなくガスや石油業界を巻き込んだオールジャパンにすべきだという意見があった。しかしなかなかまとまらず、結局は東電を中心とする電力業界がスポンサーとなる、「オール電化住宅の省エネコンペ」 という性格に落ち着いた。
当時は、まだオール電化住宅が珍しく、IHヒーターとかエコキュートが出始めたばかり。
この両者を普及させるためにも、「オール電化住宅促進のハウス・オブ・ザ・イャー」 が大きな意義を持っていた。

有名な 《カー・オブ・ザ・イャー》。
新しい自動車の開発には、数年かかる。
そして、マーケット調査をして、カタログを揃へ、販売店の店頭に一斉に車を並べ、テレビや新聞、雑誌などで大々的にPRされて売り出される。
そして、その年に売り出されて自動車の中で、燃費、デザイン、足回り、駆動性、価格などを総合判断して、《カー・オブ・ザ・イャー》 が決められている、のだと思う。
当然、ある程度の販売台数を突破したものが対象になり、カスタマイズの特殊な自動車は対象から外されている。

これに対して、ハウス・オブ・ザ・イャーは、その規定があいまい。
2008年に大賞に選ばれたパナホームの 《エルソラーナ》 はその販売量が認められて受賞。
しかし、発売が開始されたのは03年からで、数年間で万戸という実績を積んでいた。ただ、応募したのが08年だった。
こうなると、カー・オブ・ザ・イャーとその性格が大きく異なってくる。
つまり、径年したものほど、戸数では有利ということになる。
新しい機能・性能によるマーケット開発力を評価する表彰制度なのか、それともトータルの実績を評価する制度なのか。これが、明文化されていない。
たまたま審査員の気分や雰囲気で、左右されているのだと思う。

そもそも、スタート時における規定があいまいだった。
伊藤滋委員長の 「どこまでも、各社の申請内容が正しいものと認めるジェントルマン・シップに基づいて、ハウス・オブ・ザ・イャーは運用してゆきます」 でスタートした。
つまり、民間企業の善意の申請にもとづく表彰制度であり、貴重な選択であった。
そして、初年度の2007年の応募内容は、納得出来るものだった。
一条工務店のQ値1.06Wの 「夢の家」 と、スウェーデンハウスのQ値1.27Wの 「ヒュースエコ・エネセーブパッケージ」 の表彰には、誰も異論を唱えなかった。
そして、このままジェントルマン・シップでゆけると考えていた。
ところが、制度の隙を突く形で現れた会社があった。サンワホームがそれ。

同社は、スウェーデンでは無名に近かったが日本で著名人になったハンス・エーク氏の 「無暖房住宅」 の影響を受けて、早くから無暖房住宅を唱えていた。
長野の各企業は、信州大山下教授の指導のもと、試験棟を建て、正確なデータを発表していた。
しかし、サンワホームはシミュレーションの数値だけで、実際に建てられた住宅のデータの発表がなかった。
何万という人が、同社のホームページでデータが発表されるのを心待ちしていた。
そしたら、ある日若夫婦数組の 「入居感想」 が掲載された。だが、建築途中や完成写真は一葉も掲載されなかった。長野の仲間をはじめとして多くの人が同社の無暖房住宅の実態に疑惑を持った。
同時に同社をめぐる黒いウワサが、資材関係からばかりではなく消費者からも流れてきた。
その時、つまり08年の春にQ値0.65Wの 「無暖房住宅」 がパナホームとともに大賞を獲得。
そして予想されたとおり、その年の秋には同社は倒産。
半年後に倒産する会社を選んだということで、ハウス・オブ・ザ・イャー制度の信用が失墜した。
それだけでなく、ジェントルマン・シップが無視されはじめ、何をしても許されるという意識が住宅業界に浸透したことは間違いない。

そして、09年にはトステムのFCの一つであるフィアスホームが、「LUCE」 でQ値1.34W、μ値0.047
で大賞を受賞した。
直ぐホームページを開いて見た。
壁断熱は65ミリの硬質断熱材で、グラスウール105ミリと同等品でしかない。
天井と床に関しては記述がない。
サッシはペアーガラスらしいが、せいせいU値が2.33W前後らしい。
これに太陽光発電を搭載し、IHヒーターとエコキュートを採用しただけのもの。
これで、どうしてQ値が1.34Wになるのだろうか。

私の書いていることが信用出来ない人は、現在のフィアスホームのルーチェを開いて頂きたい。
そして、「見える化」 ということで、Q値やμ値、C値を表示していると書いてある。
その性能表示書に示されている数値はQ値が2.31W、μ値が0.051、C値が1.0cm2。
いいですか。
ハウス・オブ・ザ・イャーの大賞をとった住宅が公式に表示している数値が、次世代省エネ基準に毛が生えた程度のものでしかないという事実。
明らかにトップの指示で、厚顔と作為に満ちた作文でとった大賞。
こんな偽装を、ハウス・オブ・ザ・イャーは見過ごしてきた。
今からでも遅くはない。大賞の授与を剥奪すべきではなかろうか。

そこで、「せめて大賞作品だけでも、実際に建てられている現場を数ヶ所チェックして、申告書の真偽を確かめて欲しい」 と事務局に申し出た。
ところが、その申し出が一顧されることもなく、今年の1月18日にハウス・オブ・ザ・イャー2010が発表された。
大賞に新昭和のグレバリーホームの《サンブレス》と、松美造園建設の《ゆるりα》が選定されていた。
信じられないので、あわてて両社のホームページを開いてみたら、どこにも《サイプレス》と《ゆるりα》の記述がない。
そして、両社が大賞に選ばれた理由が2月16日の表彰式で明らかにされた。
新昭和のグレバリーホームの《サンブレス》は、供給戸数が900戸で、価格が坪39万円と大変お値ごろで高性能住宅の普及に大きく貢献したから。
そして、松美造園の《ゆるりα》は、太陽光を除いてもっとも省エネ性能が高く、供給戸数も50戸と大健闘しているから。

どうして、こんな白々しい表現が堂々とまかり通るのか・・・。
これではハウス・オブ・ザ・イャー・イン・エレクトリックに対する社会的な信用が、完全に失墜すると失望させられた。
住宅業の実態を知っている者は、誰一人としてこの発表を信用していない。
それなのに、こんな表現がまかり通るところに、ハウス・オブ・ザ・イャー表彰制度の、根本的な制度疲労が見てとれる。
制度を根本的に変える必要がある。
つまり、ジェントルマン・シップから精密でウソが介入出来ない制度へ転換すべき。
それが出来ないなら、今回限りで潔く廃止した方がよい。


新しい制度を模索する前に、注文住宅の特殊性について、お互いに確かめておきたい。
この不況下で、各社とも新商品を市場に出すことが困難になってきている。
省エネの性能値を高めようとすると、価格が高くなる。
一部では価格が高くても、十分に吟味され、単に省エネ性能だけでなく健康で快適な住宅が欲しいという固定層があるのは事実。
一方で、性能もさることながらコストパフォーマンスを求める厚い層もある。
それぞれの層を対象に、商品企画をするのは容易。
そして、実験棟を建てるまでの努力は企業の大小を問わずにやっている。
小さな地場ビルダーは、理解力のある施主を見つけて、あるいは先進的な考えを持つ施主に引きずられてデモハウスを建ててきている。

つまり、1、2戸だと、実験的に建てられている。
その実験棟のデータをもとに、ハウス・オブ・ザ・イャーに応募している地場ビルダーも多い。
しかし、その実験棟は商品とは言えない。やはり少なくとも年間で最低数戸、つまり地場ビルダーであれば、受注した住宅のほとんどが実験棟並みのものになった場合は、堂々と応募してよい。
そして、年間数棟の実績であっても、その住宅は地域で大きな話題を呼んでおり、地域を変えてゆく起爆剤となっている。
したがって、大賞候補として表彰してゆくだけの価値がある。
年間5棟の実績であっても、大賞として表彰してもらいたい。

次は地場で年間30戸から200戸をこなす中堅企業。
こうした企業は、必ずモデルハウスを建てる。
そしてホームページを一新して、新商品の販売に全力を傾ける。
しかし、初年度によく売れたとして10戸から20戸程度。
それでも、地方では大変に目立つ存在・・・。
それ以上売れるようになるには、やはり口コミ客の増加に待たねばならない。
それには2〜3年はかかる。

地場ビルダーが新しいモデルを建てたら、「ホームページも変えなくても直ぐに50戸も売れる」 というような考えは夢想。もし審査員がそんな考えを持っているとしたら、直ぐに改めてもらいたい。
でないと、大きな間違いを犯すことになる。
いまどきの新商品の開発と普及は、そんな甘いものではない。
現に、パッシブハウスで孤軍奮闘している森みわさんですら、この2年間で手掛けたり、手掛けつつあるのは全国で数棟でしかない。
高い省エネ性能を持つ新商品開発は、ベンチャーそのもの。

そして、大手住宅メーカーやFC。
どんな素晴らしい新商品であっても、モデルハウスで確かめ、体験入居をしない限り初年度で売れるのは30〜60戸程度。
住宅と言うのは、自動車と根本的に違う。
最近では、打ち合わせのための期間が最低で半年近くかかっている。
となると、年初にモデルを見たとしても、完成引き渡しが年を越す場合がほとんど。
新商品が年間900戸売れたなどという戯言は、2度と口にしてもらっては困る。
不信感を持たれるだけ。

つまり、ハウス・オブ・ザ・イャーの対象となるような新商品の場合は、地場ビルダーで3〜5戸、中堅ビルダーで8〜20戸、大手やFCで25〜60こなしておれば上等。
そういったコンセンサスを、早急に確立して欲しい。
そして、応募の条件として、その程度の数の顧客リスト (施主名と住所&電話&E-mail) と施工記録を求めるべき。
もちろん、その顧客リストは全委員に見せる必要はない。委員長と副委員長だけでよい。
管理は、地域開発センターが責任をもって行い、プライバシーの保護を完全に行う。
そして、業者だけでなく全リストの顧客に表彰状を送ったら、どれだけ喜ばれることか。

それと、大賞候補に限って地域開発センターが責任を持って現地調査を行い、真偽を確かめる。
地域開発センターが、全責任を負うことを明確にしないと信頼回復は難しいと思う。
そして、実績の少ないものは玄関払いをせず、優秀賞としてその努力を評価してゆく。
最低でも優秀賞がもらえるということであれば、弾みがつく。
いや、戸数が若干足りなくても、優れたアイデアは特別賞とか大賞に抜擢してよい。
万人が納得出来るものであれば、それは刺激剤になる。
そして、そろそろオール電化という看板を下ろしても良いのではなかろうか。
これからは、黙っていても電化住宅になる。
その中に、コージェネなどを取り込んでゆく度量を求めたい。

こうすれば、現在のような設計コンペ化している風潮も防げるし、怪しげな企業が紛れ込むことも無くすることが出来る。
実績を誤魔化して特別賞を取らせるという、不法な請負人の蚕動も封じ込めることが出来る。

今年の大賞騒ぎは、こうした制度疲労がもたらしたものであった。
したがって、ある意味では新昭和も松美造園も被害者であったとも言える。
私以上に入賞にびっくりし、怪訝に感じていたのが新昭和の池上FC部長。
受賞の挨拶の中で次のように本音を述べた。
「今日、この会場にくる道すがら、開発担当者と話してきました。 何故、グレバリーホームがハウス・オブ・ザ・イャーの大賞に選ばれたのだろう ? 」 と。
グロバリ―・ホームのホームページを開くと、その疑問がわかってくる。私は池上本部長の素朴な疑問に同調し、本部長の人柄のファンになった。

現在、グロバリーホームのフランチャイジーは全国に約110数社ある。
次世代基準住宅だから、坪39万円で売れる。
1代理店が8戸平均売ってくれれば、年間900戸になる。
しかし、これに太陽光が3.5kW搭載し、IHヒーターとエコキュートを搭載し、Q値が1.69Wのサンブレスがそれだけ売れたという話ではない。
それが、どこでどう間違えたのか、FCでサンブレスが39万円で900戸売れたことになった。
審査委員会から「グレバリーホームは何戸売れて、坪単価はいくらですか」という質問電話がグレバリーホーム本部に入ったのだと思う。
サンブレスのことを聞いていなかったFC担当者は、900戸で坪39万円と答えた。

ところが、審査委員会の先生方は、FC本部の答えを聞いて舞い上がったのだと推測する。
「この性能が、この価格で、しかも900戸もの実績がある」と。
この程度の真偽が見抜けなかった諸先生方の講評には、正直言ってガッカリ。
しかし、審査に携わった諸先生方を責めるのは筋違い。
応募数は急増しているし、ジェントルマン・シップに基づいて諸先生方はきちんと処理している。
技術的な面での瑕疵はない。
問題は、応募する側にあった。
応募する側にいい加減な気持ちを抱かせた、この3年間の制度疲労こそが最大の原因。
これを解決する一つの手法を、提案させていただいた。

この解決に、電力会社の社会的な信用がかかっていると思うから・・・。
ハウス・オブ・ザ・イャー制度こそ、外皮と設備で住宅の性能をアップさせる最良のシステムであり、制度であると確信しているから・・・。



posted by uno at 11:21| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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