2011年02月28日

北海道の技術を東京へ持ってくるだけではダメ !!


一昨日、紀伊国屋へ寄ったら 「リプラン 関東」 という雑誌が目に付いた。
中を開いて見たら顔見知りのポール・グドー サンゴバン社長が、お馴染みの北総研 福島明企画部長と対談をしていた。
値段をみたら税込みでワン・コインの500円。
これだと衝動買いというほどのこともない。

P1040218.JPG

グドー氏の発言の中で面白かったのは次の指摘。
「車や家電での日本の技術は世界のトップレベル。したがって来日するまでは、住宅の断熱や省エネに関しても日本はアジアの中では断然トップで、欧米に迫っているのではないかと考えていた。ところが、ヨーロッパはもちろん、中東や東南アジア、中国や韓国よりも遅れている。とても驚いた。世界各国が国を挙げて厳しい基準に取り組んでいるのに、日本の基準は非常に緩い」
つまり、ユルフンすぎると言うのだ。
この指摘を、国交省や経産省、あるいは大学の諸先生に聞かせたい。
「あなた方がボヤボヤしているから、日本は中東や東南アジア以下になったのですよ」と。

それと、「単なる暖房用のLow-Eの時代は終わった。遮熱を中心にした《ソーラーコントロール》の時代にガラス界は突入した」との指摘。
これには、改めて感動させられた。
日本の多くの住宅人や消費者は、Low-Eと言うと、古い暖房だけのコーテングのことだと勘違いしている。
サッシメーカーのいうU値だけで判断してしまう。
つまり、「U値が0.8Wのサッシは優れモノだ」と。
ところが、サンゴバンと間接的に付き合ってみたら、暖房だけの0.8Wというサッシはもう古い。
一昔前のガラスにすぎず、関東以西では遮熱や透明度などをより考慮してサッシを選ぶべきだということが分かってきた。
それをコントロール出来るガラスが、すでに生産されている。
「サンゴバンを知らずして、開口部のことを語るなかれ」と言えるほどになってきている。

だが、この対談ではその細部に触れていない。
その点が物足りないが、急いでリプランの編集部へメールし、無理難題を言って下記のpdfを作成してもらいました。
このpdfを開き、拡大コピーをして読んでください。
私が言いたいことを、グドー氏と福島氏が語ってくれています。

対談-1.pdf

対談-2.pdf

対談-3.pdf


さて、この本は「リプラン関東」とあるから、もっぱら関東で実践を積んできたビルダーや設計士、あるいは先進的な諸先生や消費者の実例を中心に編集されているのだろうと考えた。
昨年の3月と9月に1号と2号が発売され、今度が3号だということがわかった。しかも、「リプラン北海道」の冬春臨時増刊号を兼ねている。
したがって、内容は関東版と言うよりは、北海道臨時増刊号という色彩が濃い。
登場している人々も、北総研の福島部長をはじめ、室蘭工大の鎌田紀彦先生に富良野在住で著名な倉本
聰氏。
鎌田先生の暖房の話は、「パッシブハウスは、Q1とほぼ同じ性能」という発言以外は、読ませた。
新住協の内地のQ1定義では、パッシブハウスの足元にも及ばない。関東地域で私が見てまわったQ1住宅は、せいぜいQ値が1.5〜1.9W程度のものでしかなかった。悪い冗談はやめてほしい。
そして、これらの人々の口から洩れる言葉をつなぎ合わせると、「先進的な北海道の技術を、関東の人々に教えてあげる」という風に読みとれた。
これは、私の中にヒガミ根性があるからかもしれない・・・。

少し、思いあがった考えではなかろうか。
北海道の考えが通用するのはT地域、U地域、V地域の日本海側までであって、W地域においては残念ながらそのままでは使えない。
ヒートアイランド現象に悩むお客の声を聞いて、徹底的に対峙したことのない人に、関東地域における省エネ住宅を語る資格はないと私は考えている。
ますます温暖化が進んでゆこうとしている・・・。

1991年というから、ちょうど20年前。
ツーバィフォー建築協会がカナダの資源エネルギー省と提携し、日本にR-2000住宅を導入することになった。
その時、設計・施工マニュアルを作成する必要があった。
その原案作りを部会から委託された。
「なに、カナダの設計・施工マニュアルがあるから、簡単よ」と高倉部会長に言われた。
ところがよく読んでみると、カナダのマニュアルは、暖房以外は使えないことが分かってきた。
カナダでは、太陽は常に味方。冬対策さえ考えておけば良い。
ところが、関東以西では、夏の太陽と高湿度は凶暴でパワーあふれる強敵。
とくにヒートアイランド現象が起こる地域では、熱帯夜が40日以上も続くことがある。

外気温度が25℃の時でも、絶対に窓を開けてはならない。
開けたとたんに絶対湿度16g以上の湿気がドバーっと侵入してくる。
そしてジトジトして、とてもじゃないが寝付かれない。
この湿度を取り除くために大変な苦労をさせられる。
東京の夏で、外気の絶対湿度が13g以下になる日は、一夏に1日か2日しかない。
それなのに、能天気に「自然の風を流すことこそが本当の省エネだ」と分かったようなことを言う学者先生方があまりにも多すぎる。
LCCM住宅を弄っている先生方もそうだ。
そんな住宅を消費者が買ってくれると、本気で考えているのだろうか。
ビルダーは、住宅を買っていただいて、はじめて成り立つ商売。
お客さんが喜んで大枚をはらってくれる住宅は、関東以西では湿度を完全にコントロール出来る住宅。
これだと、喜んでカネを払ってもらえる。

そのためには、まず超高気密でなければならない。
計画的にコントロール出来る換気でなければならない。
そして、冬期の過乾燥を阻止出来なければならない。
インフルエンザウィールスから、次第に多くなってくる高齢者を守るには、冬期は50%近い相対湿度が欠かせない。
それが実現出来れば、造作材や床材の収縮が防げてクレームが飛躍的に少なくなる。
だが、この相対湿度を維持しょうとすると、サッシに結露が生じてくる。
何としてでもU値が1.0W以下で、透明度が高くて、しかも日射遮蔽、熱遮蔽の高いサッシが欲しい。
そのサッシさえ入手出来れば、Q値0.8〜1.0Wの住宅をつくることは至って簡単。
そして、湿度コントロールが完全に出来れば、40坪の住宅だと2.5kWの空調機1台で全館暖冷房が可能になる。
冷暖房の設備費とランニングコストが大幅に下げられる。
そのイノベーションこそが、関東以西の住宅造りのポイント。

カナダ、ドイツ、スウェーデン、あるいは北海道の技術のオスソワケだけでは、関東人を満足させる住宅は絶対に出来ない。
北海道との合併号ではなく、夏秋号では関東人が飛びつきたくなるような企画を練って頂きたいもの。
ちょっと慾ばりな要望だが、そのように感じた。



posted by uno at 07:51| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鵜野さん、ご紹介いただき深く感謝申し上げます。
また、ご指摘いただいた点は、たいへんありがたく受けとめさせていただきます。
「ちょっと慾ばりな要望だが」と書かれていますが、なかなか、関東圏のホンネの住宅性能議論は聞くことが出来ずにおりました。その意味で、鵜野さんのご指摘は、たいへん示唆に富んでいますので、可能な限り、まっとうに取り組んでみたいと考えます。ありがとうございました。
Posted by 三木奎吾 at 2011年02月28日 10:51
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