2011年03月05日

開発された国産2×4部材の成果と問題点  林野庁委託事業


初めて木材会館を訪ねました。
外側にランバーの現しがあるが、これはどこまでも意匠。構造はRC造。
本当の木質構造ならカッコ良かったのに・・・。

P1040233.JPG

ただ、7階の大ホールは、高い天井面に集成の大きな梁が架けられていて、炎も届かず、木の壁材の不燃化でOKになったとか。
写真は来賓挨拶の林野庁木材産業(?)課長。

P1040225.JPG

2X4工法にも国産材を採用して行きたいということで、2年前より林野庁の委託事業として行われていたらしい。
委託を受けた団体・企業は14。それを内容別に分類すると以下のようになる。
【国産材による204、206のスタッド】
  ●サトウ     帯広  カラマツによる204,206のスタッド材
  ●郡山チップ  福島  スギによる204のスタッド材
  ●県産材協   長野  スギ、ヒノキの204のスタッド材
  ●大利木材   徳島  徳島スギによる204,206,208,210のスタッド材、横架材
  ●国産材製材協 全国  スギ10県、ヒノキ5県、カラマツ2県のスタッド材
【国産材によるエンジニアウッド】
  ●高次木加工協 岡山 ヒノキ集成材による204、206、404、406、408、410のスタッド横架材
  ●中井産業   山口  スギのラミナーによる206スタッド材
  ●北米産業   愛媛  スギ、ヒノキの204、206のスタッド材
【国産材によるトラス】
  ●FPコポレーション 札幌 トドマツ、カラマツによる大型平行弦トラス
  ●三井ホーム  全国  スギ、ヒノキによる屋根トラスと並行弦トラス
【国産エンジニアウッドと金物】
 ●地所ホーム  全国  スギLVL、カラマツLVL、ヒノキ集成材とSPFと金物の関係比較
【国産材I型ジョイスト】
  ●キーテック  全国  4タイプのI型ジョイストの構造強度
【スギ国産合板】
  ●東京合板工組 全国  スギ12ミリ国産合板による高耐力壁の開発

なかなかの壮観さ。
このほかにエスバイエルの国産材接着パネルの発表があったが、なんでオープン工法でないこんなものに林野庁のカネを注ぎ込んだのか意味不明。したがって無視。
ともあれ、これだけの報告が午前9時半から夕方5時まで続けられたのだから、聞く方も大変。

この中で、国産材を使った204用のエンジニアウッド、屋根トラスは取り立てて言うほどのことはなかった。無視することにしょう。
私が面白いと感じたのは、◆スギ、カラマツによる204、206のスタッド材  ◆横架材としてのI型ビームと平行弦トラス  ◆SPFと国産エンジニアウッドとの金物の強度比較  ◆スギ12ミリ合板によるクギ間隔による高い耐力壁実現の可能性、の4点。
この4点に絞って報告します。

【国産材スギ、ヒノキ、カラマツのスタッド材】
最初に公庫の標準仕様書の素案を書いた時は、北米のランバーの基準に合わせて根太やタルキ、マグサ、梁などの横架材は特級、1級、2級に限るとした。
そして、スタッド材は3級、コンストラクション、スタンダードも可とし、下枠に関してはユテリティでも良いとした。そして、この北米の常識で家を建ててきた。
ところが耐力壁に関しては、3級品以下はダメだと告示かJASかに書いてあるという。
知らなかった。
外壁や内壁を組む時、どこからどこまでが耐力壁で、どこからが非耐力壁かわからない。
国産材でスタッドを作る時、3級品が18%程度出てしまう。

国産材製材協の等級区分では204材の場合の比率は下記。
   特級  74%
  1級   8
   2級   2
   3級  16
206材の場合の比率
   特級  70%
   1級   11
   2級   1
   3級   18

このように特級が圧倒的に多いが1/5から1/6が3等級となってしまう。
それは、節が多いとか、曲げモーメントに問題があるということではなく、年輪幅が6ミリ以上と大きいからだと言う。
北米では年輪幅が6ミリ以上あると弱いと判断され、3等級に格下げ。
国産材では、この6ミリの年輪幅という制約条件を何とか解消出来ないか、ということが大きな課題になってきているらしい。
しかし、この年輪幅の解消問題は、それほど簡単ではないようだ。
というのは、スギ、ヒノキ、カラマツとも圧縮や引っ張り試験ではほとんど問題がない。
ところが曲げ試験ではスギではバラつきが出てくる。
暖かい地方の低山で育ったスギは、年輪幅も大きく、想像していたように弱いらしい。
したがって、スギに関してはさらにいろんなデータが揃えてゆかないと、年輪幅の制約がついて回るだろう、というのが私見。

それと、強調しておかなければならないことが2つある。
今回はスタッド用ということで、2.5メートル程度の短い丸太を揃えて木割している。
使うビルダー側としては、スタッド材だけが揃っていても意味がない。最低でも14フィートとか16フィートの上下枠、頭つなぎ材が必要。
つまり、長尺材が揃っていないと意味がない。
そういった長尺材をどう揃えてゆくかという視点が軽視されていたことは遺憾。

もう一つ問題になる点は、材の太さ。
徳島の大利木材は208とか210が採れる太い丸太から採寸していたので、節も少なく美しかった。
だが、どれだけの長尺物がとれるのだろうか。
長尺物になればなるほど、元口と末口の径が異なってくる。
したがって、元口が180ミリ以下の細い間伐材からのものは、スギだと赤身が多く、黒い死節や抜節が目立ってくる。
そのようなものが国産のスギでは当たり前だと言われると、使う方では正直言って嫌になる。
とくにこれから必要になるのは高断熱用の206材。
とくに吹き抜け空間に用いるのは、18尺以上の通しスタッドでつくるバルーンフレーミング。
出来るだけ節の多い赤身を避けたものを用意して頂きたい。

P1040242.JPG
信州材のスギとヒノキの204の特級、1級、2級品。スギの1、2級品の赤身の節がどうしても目に付く。

P1040244.JPG
道材のカラマツの204と206スタッド。短いので無節だが、実際にはかなり節がある。

【横架材としてのI型ビームと平行弦トラス】
北米では床材の45%がIジョイスト。2階床に限れば70%以上とも言う。
用途別では新築住宅の床72%、屋根・壁が各5%、非住宅用が18%。
日本では、ツーバィフォーだけでなく、木軸用にも使われてゆくように指導してゆく責任が森林総研にもありますぞ !
キーテックでは、フランジにカラマツLVLを使い、ウェブにOSBを使ったIジョイストをすでに大臣認定をとっている。幅はいずれも54ミリで、セイが235、241、286、302と212の上の302があるのが嬉しい。これだとスパン2.5間の中央部に200ミリのダクト用の穴が開けられるし、床の強度が一段と増す。

同社としては、この外にフランジにカラマツLVL、ウェブにパーティクルポートを使ったIジョイストを今年中に申請予定。その後ウェブにカラマツ合板を採用したものやスギLVLを採用したものも開発予定という。曲げ剛性ではカラマツLVLとカラマツ合板が一番良いらしい。
いままでは235とか286しか使ったことがないが、302に対する期待が一気に高まった。

P1040239.JPG
キーテックが開発したIジョイスト(一番右) と開発予定の3種類の国産材Iジョイスト

これとは別に、学校建築や福祉施設など、大型の木質構造材の床材として期待されているのが平行弦トラス。下は道材のカラマツで作られたセイが600ミリ以上のトラス。だが、FPコポレーションによると国産材によるトラスは、長尺物の入手難ということもあって、かなりの割高だという。
つまり実用化にはまだまだ難関があるということ。

P1040238.JPG

【SPFとスギLVL、カラマツLVL、ヒノキ集成材と金物の保持力の比較】
国産材業者にとっては、国産のスギやヒノキの強度が、SPFよりも下のグループに位置づけられていることが、最大の屈辱。したがって、SPFが目の敵にされてきている。
そして、いろんな実験の結果、スギは曲げ試験ではバラつきがあるが、圧縮強度ではスギ→ヒノキ→カラマツの順に強く、引っ張り強度ではいずれもSPFを上回っている。

地所ホームではスギLVL、カラマツLVL、ヒノキ集成材とSPFとの比較実験を行っている。
木材のめり込み、降伏せん断、CPT金物、ホールダン金物、帯金物、根太受け金物とも、いずれもSPFよりは国産のエンジニアウッドのデータがよい。
したがって、国産のスギやカラマツのLVL、ヒノキの集成材を使っても全く問題がない。
ただし、SPFというのはスプルース・パイン・ファーの3種類の材種の総称で、そのうちのどの材との比較であるかが発表時点では明確でなかった。
また国産のスギ、カラマツのLVL、ヒノキの集成材といっても、それが果たして国産の平均値以上の物かどうかが分からない。
したがって同社のデータを設計上に使おうとする場合は、付記される注意書きを参考にする必要があるようだ。

【スギ12ミリ合板による高耐力壁を得るための実験】
ツーバィフォー住宅の実物実験は杉山英男研にお願いして、過去3回行って来た。
単に外部合板だけでなく、内部に12.5ミリの石膏ボードを張った分譲住宅の試験もやった。
「うのさん。大変な数字が出たよ。かなり安全側を見ても壁倍率8倍はあげられるね・・・」。
それが現状では12ミリ構造用合板を使い、12.5ミリの石膏ボードを使っても4倍止まり。
半分の価値しか認めてくれていない。

品確法の耐震性能は3等級までしか認められていない。
1等級は建築基準法で指定している数値。
2等級はその1.25倍。そして、3等級は1.5倍。
これで打ち止め。
なぜ打ち止めとなっているのか ?
その理由は簡単。
RC造や鉄骨造では、それ以上の性能が出せないから、 とホクセイの神谷技師長は断言。

中越地震の旧川口町の90%倒壊という現場2カ所を見て、私は1.5倍ではダメだと痛感。
建築基準法の2倍以上の木造住宅を建ててゆかないと、安心して消費者に渡せない。
つまり、壁倍率5倍以上の住宅を建ててゆかねばならない。
木軸の金物工法は、1.25倍程度になってきている。
しかしその程度のものだと、いざ地震が来たときは枕を高くして寝ているわけにはゆかない。
間口の狭いツーバィフォーの住宅が、阪神大震災では2棟倒壊していた。
今のツーバィフォー住宅程度で満足していてはいけない。
それと同じ考えを東京合板工業組合は持っていてくれた。

構造用合板の数値が低いのは、昔はラワン合板が主流だったので、クギの保持力が弱かったから。
ところがセイホクでは生産される合板の90〜95%が国産スギ合板になってきているという。
当然、クギの保持力が強い。
したがって、公庫の仕様書の100ミリ間隔ではなく50ミリ間隔でも問題がない。
ということで12ミリと24ミリの国産スギ合板を使い、7種類の試験体をつくり実験している。
24ミリ合板の場合はCN75を使うので、クギを打つ間柱は404の角材を使ったと言う。
両面合板張りの実験もやっている。
これだと7倍以上の壁倍率が得られている。
私の中越地震報告を読んで、1階に関しては両面合板張りにした施主が2人いたが、間違ってはいなかった。
実験の詳細内容は省く。
東京合板工業組合として決定した最終仕様と性能評価は以下。
この数値がそのまま認められる訳はない。安全側を見て90%の数値となろう。
しかし6.1倍が5倍として認められると、内部の石膏ボードと合わせると6倍の壁倍率になる。
故杉山先生の 「8倍」 にはおよばないが、建築基準法の2倍以上の4等級から5等級の耐震性の実現が可能になってきた。
思わず、「バンザイ」 を叫んでしまった。

構造用合板  張り方  クギの種類    間隔(ミリ)    試験で得られた壁倍率
スギ12ミリ     片面     CN50    外50、 中200       6.1
スギ12ミリ     片面     CN65    外100、中200       4.2
スギ12ミリ    片面     CN65    外75、 中200       5.2



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。