2011年03月10日

建築建材展とライティング展見聞  イノベーションの有無の差


建築建材展で2時間、ライティング・フェアで1時間。
我ながらよく歩いたと思う。

今年の建築建材展で目についたのは、構造材を含めて木質系の建材に面白いものがかなりあったこと。
いままでは、木質というとカナダ館が目立っていた。
ところが、カナダ館で展示されているものは毎度お馴染みというか、相も変わらぬものばかり。
これに対して、「木の社会を目指す次世代建材プロジェクト」 を中心に、構造材や耐火部材の開発、国産材を使ったツーバィフォー材、中層のカーテンウォー材など、日本館のガンバリが目立った。

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昨年秋のジャパンホームショーに初登壇した長野・齊藤木材のH型鋼を抱き込んだハイブリッド集成材が、この展示会にも出展されていた。
今までは柱材だけだったが、今回は写真の梁材の展示があった。
しかし、詳しく分かる担当者が不在で、またも詳細内容を聞くことが出来なかった。
このハイブリッドの集成材は、構造強度は負担していないらしい。
強度はH型鋼で持たせて、集成材はもっぱら型鋼の防火被覆と意匠を担当している ?
とすれば、もったいないような気がする。
そして、価格と実績が分からないから、あまりヨイショしてもムダかもしれない・・・。

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これは、日建設計が中層のカーテンウオール材として木を使ったものらしい。
ここもアルバイトの女性しか居らず、詳細は不明。
外側には、それこそガラス液体を含浸させた木を使うと新しい展開が可能かもしれない。
ともあれ、詳細な資料は後日送られてくるから、その時に改めて検討したい。
つまり、集成材の現しが大型建築物にも採用される兆しが感じられるのが嬉しい。

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これは、ハウジング山地の試作品。
204材を使ったジョイストを床だけではなく壁にも使おうというもの。
この考えは、今に始まったことではなく、数年前からあちこちで試みられてきている。
しかし、204材を使っているからといって、枠組壁工法の範疇には入らない。
認定をとらないと、確認申請が下りないということもあって、話題にはなるのだがいつの間にか消えてしまっている。
ただ、今回面白いと感じたのは、厚い断熱材を中に抱え込み、U値はパッシブハウスが求めている0.15Wをクリアーしているから。
それと、ジョイストのスタッド間隔が455ではなく606と広く、4×8サイズの12.5ミリのOSBと石膏ボードを横張りにすれば、コストダウンの可能性が高いこと。
しかし、硬質の断熱材を使っているため、壁内配線が出来ない。
このため内側に横胴縁を入れているので、内部の石膏ボードが壁倍率にカウント出来ない。
さらには、開口部回りの収まりをどうするかなど、いろんな問題点が浮かびあがってくる。
問題点は多いが、今までよりも一歩前進したものとして評価したい。

このほかに、次世代プロジェクトコーナーには、先に紹介した国産材を使ったツーバィフォー部材の展示や、防火テストなどの資料も豊富にあった。
門型フレームはもはやPRの段階ではなく実用の段階ということで1社も出展していなかったのは淋しかったが、ヨーロッパのようにもっと広い視野をもって、土木の分野にまで進出するという意欲を示して欲しい。
木質構造は、まだまだ可能性を秘めている。
それなのに林野庁にしろ、各種の研究機関にしろ、まだまだ視野とお尻の穴が小さくて情けない。

木質系建材で、新製品とは言えないがやはり気になったのが北洲のイノヴァ―フロア。
厚みがたった8ミリのフロア材だが、クギや接着剤を一切使わずに施工出来るすぐれもの。
ただ、固定しない敷物だけに収縮する。
湿度コントロールが出来ている住宅なら問題はないが、ほとんどの住宅では幅木を厚めにして、動けるようにしてやらないと、夏には反り返る。
このフロア材のもう一つの特徴は、表面を酸化アルミニウムコーティングによりものすごく丈夫なこと。
摩耗や引っかき傷、擦り傷などの心配はほとんどない。土足用の床としても十分に耐えるし、水や火災にも強い。
ワックスが不要で汚れない。
どうしても無垢の木に拘る人には不向きだが、劣化がすくないという点からも若い女性には人気があるという。

こうした木質建材以外では、特別企画として設けられた光触媒コーナーが面白かった。
日本が生んだ技術。もっと多様な使い方があると思う。
それと、どうしても毎回気になるのが高性能サッシ。
とくに防火面でアルプラが全滅になったので準防仕様を探したが、ムダだった。
性能的に使えると言うサッシが3点。
プレィリーホームズの1.3Wのウッドサッシと、ホームショーにも出展していたナータッグの1.13〜1.24WのPVCサッシ。

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それに、今回初めて登場したハウジング山地の1.05W (これからは4捨5入させられて1.1Wとしか表現できないらしい) のPVCサッシ。
旭ガラスのU値0.76Wの3-12-5-12-3の35ミリのトリプルを採用している。
ただし、既存の型材の中に収めるので、強度が足りない。
このため、ケースメント、オーニングとも750×1207の大きさが限度。
フィックスは1207×1816が限度。
したがって、連窓としてしか使えない。
こうした小さいサッシでありながら、北総研で1.1Wの認定を得たと言うから立派。
1200×1600サッシだったら間違いなく1.0Wはとれたはず。
PVCサッシとしては、大きな一歩前進と言えるだろう。
防火認定の取得は、1年以上先にならざるを得ないという点は、残念ながら頷くしかない。


建築建材展では、飛騨産業のお馴染みの圧縮木材などあと2つばかり面白いものがあったが、省略させてもらう。
もう一つのテーマはライティング・フェア。
これは、一年間でこんなにまで変わるものかと呆れてしまった。
昨年まではダウンライトの電球がほとんどを占めていたが、今年は何でもあり。
シーリングライトをとってみても明度は20段階。昼光色から電球色までの光色は21段階。
丸型もあれば角型もある。
ダウンライト、ペンダント、ブラケット、シーリングダウンライト、スポットライト、流し元灯、アウトドア用のブラケット、ダウンライト、屋外ポーチ灯、門柱灯、屋外スポット灯、ガーデンライト。
考えられるあらゆるものがLEDになっている。

住宅だけではない。ビル用、商店用、工場用の蛍光ランプも、屋外の街路灯も、あらやる電灯がLED化している。
まさか、ここまで進化しているとは想像もしてはいなかった。
そのまさかが、まさかになっている。
出展社が251社。
建材展の場合は、大手メーカーが目先のソロバン勘定だけに走って問屋の展示展に付き合っているが、一般の展示会にはソッポを向いている。
ライティング・フェアには全てが出そろっていて大変勉強になる。
その中で、国内はもちろんだが中国や台湾のガンバリが非常に目立った。

建材の大手メーカーは、一頃流行った目先の「選択と集中」というバカげた新興宗教を捨てるべき。
選択と集中の結果が、横並びのアルプラの偽装事件を惹き起した。
この偽装事件は、ここまできたら単なる防火偽装にとどめておいてはならない。
消費者の方も声を上げて、断熱性能疑惑、つまり熱貫流率の偽装にまで突っ込んでゆくべきだろう。
ウミは徹底的に出すべき。でないと腐ったサッシメーカーの根性は直らない。
そして、あらゆる可能性に挑戦するイノベーターに、建材メーカーが脱皮することが必要。
それには、ジャパンホームショーなど本当の競合の場に出てくること。
そこで、中堅企業のイノベーションを凌駕して見せない限り、世界から完全に取り残されてしまう。
ともかく、今回のアルプラの防火偽装、断熱偽装というダブル偽装は、官僚を含めたイノベーション軽視がそもそもの出発点。

ここにメスを入れる以外には産業界が活性しないということを、護送船団方式の談合体質の建築建材展と、トップランナー方式のライティング・フェアを比較して、つくづく実感させられた。
そうした意味で、3時間の歩きづくめは大変に効果があったと自負。
11日までやっているので、時間がある人は是非とも2つの会場を巡られることを推奨します。



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