2011年07月25日

断熱防火ウッドサッシの通則認定と個別認定


防火サッシに関する質問があったので、ご案内の通りネットフォーラム欄で、都合5回に亘って問題点を指摘しました。
しかし、一部に不十分な記述があったので、執念深いと感じられるのを覚悟の上で、再度この欄で取り上げます。

カ防協 (カーテンウォール・防火開口部協会) がカーテンウォール工業会として発足したのは57年前の1964年。建設省の建築指導課を主務官庁として、主として中高層建築物の防火規制の窓口として業界に大きな影響力を及ぼしてきた。
それが、建築基準法が性能規定化に移行した2000年に、現在の「カ防協」と名称を変更し、低層住宅における開口部の防火規制の窓口としても機能してきた。

本来は、サッシの防火認定をとるには、個々の企業が実験を行い、その試験結果に基づいて個々の企業に認定を与えるのがルール。
しかし、個々の企業が個別に試験をやっていたのではカネと時間がもったいない。そこで、一度でも個別実験を行った実績のあるメーカーに限って、カ防協の認定基準を順守すると約束すれば、申請するだけで防火認定がとれる 「通則認定」 制度が、官民の癒着というか、合意の上で開始された。
最初は、網入りの板ガラスのアルミサッシに限り、通則認定がなされてきたのだと思う。
そのアルミサッシの防火の通則認定が正しく運営されていたかどうかは定かではない。
おそらく、それほど大きな問題がなかったのだと推測し、祈念する。

アルミサッシに続いて、ウッドサッシの防火が次に問題になった。
しかし、ウッドサッシメーカーは規模が小さい。
中高層建築物を対象にしているカ防協のメンバーとは一緒になることはない。
彼等はカ防協に参加することなく、役所の援助を受けずに個別で防火認定をとった。
日本木製サッシ工業会のメンバーの中で、防火認定をとっているのは現時点で8社程度らしい。

http://www.j-wwi.jp/bouka.htm

このメンバーのほとんどは、防火をクリアーすることが目的で、断熱防火ウッドサッシを意識的に考えていたのはキマド程度で、最近になってアルスなども動いているようだ。
アルスは2001年に以下の5品目で個別認定をとっており、防火認定はとっていないが最近になってU値が1.0Wを切るサッシも用意している。
認定番号   サッシの種類   最大W×H     ガラス   
EB-0034    嵌め殺し     1312×2212   複層ガラス    
EB-0048    横すべりだし   1312×1312   網入り板  
EB-0062    内倒し      1044×2144   網入り板  
EB-0076    両開き      2312×2212   網入り板  
EB-0090    引き違い     2468×2177   網入り板  

一方、キマドは2002年から03年にかけて5つの種類で認定をとり、昨年はこれからの本命商品と目されるスマートエコの突き出し窓で認定をとっている。
認定番号   サッシの種類  最大W×H     ガラス
EB-9584    外開き     900×2300   網入り6.8+FL5
EB-0157    片引き    2400×2300   網入り6.8+耐熱5
EB-0158    外開き     900×2300   網入り6.8+耐熱5
EB-0159    嵌め殺し   1200×2300   網入り6.8+耐熱5
EB-0160    両開き    1800×2190   鏡板米杉縁甲板
EB-0487    突き出し   1500×1500   FL4+耐熱5

上の表を見れば一目のように、アルスは当初は防火を目的にしていた。
これに対して、キマドはかなり以前から網入り6.8ミリと耐熱5ミリのペアを用いており、最初から断熱サッシを狙っていたことが分かる。
そして、両社の個別認定番号から推測して、両社以外の多くのウッドサッシメーカーが、防火ウッドサッシの認定を申請していることが分かる。

そして、断熱防火サッシの認定に偽装が絡んできたのは、PVCサッシからだと考えてよい。
最初にPVCで防火認定をとったのはシャノンだったと思う。(間違っていたら訂正頂きたい)
網入りの乙種防火窓として使えたのは03年の時点で0718が最大だった。Wが17とか26の引き違いサッシなどの場合は、電導シャッターを付けるしかなかった。
そういう制約があったが、準防火地域に高断熱サッシが採用出来るようになったのは、大変に有難いことだった。
しかし、後で判明したことだが、PVCの防火認定は、実験用と市販用とはまるっきり別の商品。
防火実験に用いた商品から多くを部品を省略した安ものを、「防火サッシ」 として売り込んできた。
文字通りの防火偽装。

ところが、このPVCの防火サッシの出現に慌てたのが大手サッシメーカー。
どんな手法をとったのかは知らないが、アルプラのU値が2.33Wもあり、防火認定の規定をパスしているとして各社に通則認定を与えてしまった。
20分どころか10分程度でガラスが脱落してしまうものを、防火サッシとして流布させた責任はカ防協を中心にした官民にある。
その経緯と責任が未だに明らかにされていない。処罰がなされていない。
この癒着構造で、大きな被害を受けたのが消費者であり、ビルダー、設計事務所。
このアルプラの偽装が発覚したのは、昨年の10月。
そして、今年の東日本大震災の直前で、アルプラの耐火偽装と省エネ性能偽装が明白に。

サッシメーカーの常設展示場へ行って、アルプラの断面を見ていただきたい。
見事なまで、極度にスリム化したアルミの型材とプラスチック。
紙のような薄いペラペラの素材だけで構成されている。
これで風速40メートルの台風に耐えられるとしたら、正に神業。
おそらく、ペアガラスそのものが耐風強度を支えてくれているのだと思う。
そして、こんな断面で20分耐火と言い張ったメーカーと国交省の常識が疑われ、面の皮の厚さには呆れてしまう。
アルプラは、「命にかかわるから2度と使うべきではない」 という決意を持たされた設計士やビルダーが多いことと思う。

こんな不始末をカ防協が行い、未だに責任者が処分されていない体質を見て、この防火偽装は単にアルプラだけでなく、ウッドサッシの通則認定制度にもあるのではないかとの疑惑が多くの消費者から出されてきている。
それには、カ防協の第三種会員の急激な増加に、気がかりな点があることも影響している。
カ防協が発表している2010年7月の資料では、第一種会員はトステム(含む新日軽)、YKK、三協立山、不二サッシ、昭和リーフの5社のみ。
二種会員は2社で、三種会員は29社に過ぎなかった。ウッドサッシ関係社で目立つところというとスウェーデンハウスとノルドと伊藤忠ウィンドウズぐらいしかなかった。
実にチマチマしたものだった。

ところが、今年の4月の会員名簿によると、一種、二種の会員数は全く変わっていないのに、三種会員がなんと59社に倍増している。
9ヶ月で倍増というのは、通常ではない。
そして、その中でスウェーデンからの輸入サッシのガデリウス社。
同じくスウェーデンからの輸入サッシ企業のヴェステック社の2社が防火ウッドサッシの通則認定をとっている。
それだけではない。あのアメリカのペラコーポレーションも、マービンランバー&シーダー社も、見事に通則認定の認定番号EB-9121からEB-9124を取得している。
日本の輸入サッシ業者の綿半鋼機などは申請が間に合わなかったのか、折角カ防協に高い会費を払って入会したのに、通則認定がとれないまま。
これらは、すべてネットで調べた情報で、事実は違うのかもしれないが・・・。

昨年夏の時点では、秋にはアルプラ防火偽装が暴かれるということも知らず、カ防協は片っ端から有力輸入サッシ業者に働き掛け、「ウッドサッシの通則認定」 というエサを撒き、入会を勧誘した事実は隠せない。
そして、入会させた途端に、通則認定制度のホコロビが表面化。
本来だったら、ウッドサッシの防火の通則認定も即廃止にすべきところ。
ところが、無理やり入会させた手前、直ぐに手のひらを返して 「ウッドサッシの通則認定の廃止」 を伝えるわけにはゆかない。
そこで、「2年間の執行猶予期間を各メーカーに与えます。この2年間に、各自実験して個別認定をとってください。個別認定がとれれば、通則認定はそのまま生きて継続されます。そして、個別認定がとれなかった時は、通則認定がなくなることを、今から覚悟しておいて下さい」 という玉虫色のお裁きとなった模様。

もし、勇気のある消費者が、「通則認定をとった△△社のサッシは、本当に20分の防火性能がありますか」 との伺いを出したら、国交省はメーカーに試験を強要しなければならない。
そして、通則認定で認めた所定の性能が出れば良いが、万が一試験にパスしなかったら、ウッドサッシの防火偽装事件に発展する可能性は否定出来ない。
その可能性はかなり低いと思うが、噂によると某メーカーは通則認定品と異なる製品を消費者に納入したことが発覚。国交省が調査に入らざるを得ない状態にあると言う。
カ防協は解散した方が良い。
消費者のために、全ての通則認定を廃止して、全部個別認定にすべき。

その間の1年間近くは、確かに消費者とビルダー、設計事務所は困る。
しかし、PVCとアルプラの防火偽装で、今までにさんざ苦労させられてきた。
少ないながら個別認定を受けた断熱防火サッシが、PVCとウッドサッシにある。
たしかに、古い認定品は6.8ミリの網入りが主流で、デザイン面や価格面で問題点が多いことは率直に認めざるを得ない。
それを認めても、不明瞭な通則認定よりはましだという人が多い。
そして、1年以内には、優れた個別認定を受けたサッシが陸続と出てくる。
某社が用意する新しい防火ガラスシステムなど、期待をかけられる企業が2〜3社ある。
残念ながら、その予定業者の名簿の中には、大手サッシメーカーの名は一つもないが・・・。

それ以外の方法としては、各社の試験データを公表して、情報の共有化を図る方法が考えられる。
通則認定を受けられる条件に、最低1種類以上の試験を行った実績が必要なはず。
各社は9121から9124までの、いずれか一種類で試験を受けているはず。
カ防協の内規ルールが厳守されていたとすれば、その受かった種類のデータ情報を発表し、共有化してゆけば、通則認定の正当性が証明できるかもしれない。
そのような具体的な安全性の立証がない限り、通則認定制度への疑惑は絶対に晴れない。
原発の安全神話の崩壊と防火偽装で、政府と役人と学者と東電と大手サッシメーカーに対する不信は、ナマ半端なものではない。
不信感は骨髄にまで達している。

それにしても、世界の技術レベルから周回以上遅れた日本の大手サッシメーカー。
イノベーションを忘れたカナリアは、後ろの山に捨てるか、背戸の小藪に埋めるしかない。

とりあえず断熱防火サッシの個別認定で、彼らを完全に締め出して行きましょうよ。
そして、苦しい闘いになるけれども新しい個別認定のPVCサッシとウッドサッシ、それとコア断熱システムのアルアルで、世界水準の断熱サッシ時代を何とか切り開いて行こうではありませんか。
サンゴバンだけでなく、旭硝子にも大きな役割を期待しています。


posted by uno at 13:29| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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