2011年08月05日

腸を鍛錬すればメタボにもガンにもならない 新学説


今まで、ガン予防とか食生活に関しては、「免疫学」の新潟大・安保徹先生、帯津病院の帯津敬三先生、「醸造学」の小泉武夫先生、「粗食のすすめ」の幕内秀夫氏、「断食と身体を温める」石原結實氏の著作を主に紹介してきた。
ところが、これらの諸先生とほとんど同じ趣旨を唱えながら、その論拠がより科学的で、しかも漢方に基づく新学説を説く人が現れた。
それが「腸を鍛錬する健康法」の丁 宗鉄(てい むねてつ)氏。
上記の5人の学説をことごとく網羅し、包括した上で、私が疑問に感じていた石原氏の「朝食無用論や断食の奨め」の間違いを鋭く指摘してくれている。
思わず「これぞ現時点では最高の学説」と勝手に納得し、ミーハー的にファンになってしまった。
それほどの説得力を持っているのが下記の著作。

丁 宗鉄著「腸を鍛えてやせる !  健康になる !」 (主婦の友社 1200円+税)

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この著は、40年前のある強烈な印象の描写から始まる。
肥満気味、いわゆるメタボ系の男性の腸を手術した時、腸の皮が薄くて縫えない。こんな薄いペラペラな腸は見たことがない。それでもなんとか貼るように縫い、ある程度回復した時に患者に聞いた。
そしたら、「私は糖分の多い清涼飲料水 (コカコーラ類) が大好きで、普段から水代わりに毎日2〜3本は飲んでいる」 という。
ほかにいろいろ聞いて見たが、そのほかの食事では腸の筋肉がこれほど薄くなるような原因は見つからなかった。
この出来事が著者の脳裡に焼きついた。

筋肉には2種類ある。
1つは自分の意思で動かせる手、足、首、胴などについている骨格筋である横紋筋。鍛えると隆々としてきて、大変頼もしく、カッコよい。病気なんか糞食らへと言う風に見える。
一方、腸、胃、気管支、子宮、尿管、膀胱などの内臓を作っているのが平滑筋。
たしかにモツとして売られている牛、豚、鶏のツヤツヤでコリコリした内臓を見ると、筋肉だと納得させられる。ただ、これらの平滑筋は、骨格筋のように自分の意志では動かせない。自立神経が支配していて、私どもの気付かないところで働いていてくれる。
その平滑筋の中で最大のものが腸。小腸は平均して5〜7メートル。穀物を主食としてきた日本人の小腸は長く、消化の良い肉を主食としてきた欧米人は短いと言われてきた。長い小腸を格納するために日本人は胴長にならざるを得なかった。今まではそれが欠点であるかのように語られてきたが、自慢してもよさそう・・・。
この外に、大腸が1.5メートルほどある。 胃から十二指腸までを含めると7〜9メートルにもなる。

蛇足ながら、胃から大腸のそれぞれの役割を簡単に記しておこう。
まず1.5リットルの容積のある胃袋。
ここでは食物に胃液を混ぜて撹拌し、殺菌する。そして粥状にして十二指腸へ送る。
十二指腸では膵臓から膵液、肝臓から肝液を得て更に細かく分解し、吸収しやすいようにして小腸へ送る。
食物の消化と吸収のほとんどが 小腸で行われる。
大腸では水分の吸収が行われ、老廃物が肛門から排出される。

食べ物が胃へ入ってくると、骨格筋のように一部の筋だけが動くのではなく、工場の流れ作業のラインのように、全ての筋が稼働を開始する。
最初の撹拌、殺菌から始まって、水分の消化までを、全て筋肉の動きで一貫的に行われる。
このため、1日に消費される消化・吸収に要する筋肉のエネルギー量は、手足などの骨格筋の消費エネルギー量よりも多いという。
よく、「寝ているだけだが腹が減る」 というのは本当。私どもの自覚していないところで平滑筋が活動しているから・・・。
また、食べると身体があたたかくなるのは、どんな不味い食べ物であっても入ってきた以上は胃腸が動くから。つまり、筋肉が動き、動くことによって腸の筋肉は鍛えられる。
体温が1℃上がると、エネルギーは1.5〜1.7倍も消費されるという。

ところが最近、この腸が働かなくても簡単に吸収出来る食品がコンビニなどに溢れている。
確かに、昔は消化の悪いコメを大喰いして胃に負担をかけ、胃病が国民病だった。しかし、最近はそれほど噛まなくてよい柔らかいパンや肉、甘い飲み物が溢れている。このため、胃の負担は少なくなってきているのは一面では喜ばしい現象。
しかし、堅い食物を咀嚼する能力が失われ、アゴの力がなくなって張らず、同時に腸が鍛えられる機会が減り、最初に取り上げた患者ほどではないが、腸の筋肉がペラペラになってしまう。
コンビニに並んでいる「糖」「アミノ酸」「脂肪酸」など簡単に吸収出来る食べ物が、腸の働きを弱めている。腸にサボリ癖が付いてきている。
砂糖は、腸の入り口で即座に分解されて吸収されてしまう。
肉や魚、大豆などのたんぱく質をアミノ酸に分解するには手間がかかる。しかし、飲料やサプリメント、スナック菓子だと分解する必要がない。腸は何もせずに遊んでいてよい。
脂肪の消化にも本来は手間暇がかかる。だが、「中鎖脂肪酸」だと「糖」と同様に簡単に吸収出来る。
こうした結果、運動をしない腸の筋肉は、虚弱児のようにひ弱になり、薄くなってしまう。
しからば、腸を鍛えるためにはどうしたら良いか。著者は7つのポイントを挙げている。

@ 規則正しい食生活。
3食 規則正しい食事をすれば、腸の能力は向上する。
それだけでなく、消化器系で中心役の膵臓の負担が少なくなる。膵臓は膵液という消化液を作るほかに血糖値を下げる作用のインスリンも作って1人2役を果たしている。膵臓は1日に何リットルもの消化液を作る働き者。食事の時間になったら大量の消化液を出す準備をして待っている。
それなのに食事を抜いたり、ズラしたり、沢山食べたりすると大きな負担がかかる。とくに食事を抜くと溜まりに溜まった消化液が溢れだし、自分の腸を消化して腸が荒れる。胃も同様で、食べ物がこないと胃液が出て胃の肌が荒れ、胃潰瘍の原因になる。
朝食を抜くのはとんでもないことで、胃液や膵液のためにも必ず食物を入れねばならない。また、断食も同じことで胃腸を弱める。昔のように、1日2食だけの生活をずっと続けるという規則なら良いのだが・・・。

A 食物繊維の多い食品をとる。
腸を鍛えるには、カロリーや成分だけで選ぶのではなく、消化に時間がかかるものを選ばねばならない。
雑穀、豆類、海藻類、野菜、茶など食物繊維の多いものがそれ。これは便秘対策にも空腹対策にもなり、ダイエットにも効果的。たっぷりとした温野菜の煮物などもお薦めで、腸を鍛えてくれる。

B あたたかいものは腸を活性化させる。
逆に言えば冷たいものは腸を不活発にさせる。
内蔵の深部体温は37℃。冷たい物がきたら37℃まであたためねばならない。しかし甘い物の食べ過ぎやアルコールのとりすぎで腸が委縮しているとなかなか温度をあげることが出来ず、代謝が悪くなって太り易くなる。
昔はクーラーや冷蔵庫がなく、夏は暑くて代謝が上がりエネルギーを消費するのに、食べ物は傷みやすく口に合うものがなく、食欲が減退してげっそり痩せると言うのが夏バテ。
ところが、冷房が効いているところとそうでないところを何回も出入りさせられ、自立神経に過大なストレスがかかって疲れている。そして、冷えた甘いジュースやビールを飲むから消化器官や身体全体が夏バテに。食欲がないのに太っている「夏太り」が最近の夏バテの特徴。 冷たいものを出来るだけ避けることが腸のためになる。

C 発酵食品で腸内環境を良くして、腸を元気に。
腸を元気にする上でもう一つ大事なことがある。それは、腸内細菌を元気にすること。言いかえればビフィズ菌などの善玉菌を増やすこと。
腸内では善玉菌と悪玉菌、それの中間菌がいて、いつも勢力争いをしている。善玉菌が優勢なら健康に、悪玉菌が増えると体調が不良になる。
善玉菌を増やすには、同じ微生物の仲間である酵母を多くとって腸の免疫促進作用を強くしなければならない。
手軽に酵母がとれる食品と言えば漬物が横綱。糠床にはさまざまな酵母が棲み、また乳酸菌も共生していて、独自のうま味や香りが得られる。
酵母が好む塩分は7%くらい。この塩分に野菜を漬けると酵母が野菜に含まれている糖分を分解し、さまざまなマルチビタミンという総合栄養素が作られ、さらに複雑なうま味も加わる。食物繊維と共に腸の善玉菌を増やし、腸を鍛えてくれるという素晴らしいもの。だが、塩分の取り過ぎには注意が必要。
その点キムチは、塩漬け発酵後に塩抜きして、「ヤンニヨム」という合わせ調味料で低温乳酸発酵させるダブル発酵のため、塩分濃度が低くしかも酵母菌、乳酸菌の働きでビタミンがとても豊富。
お馴染みの納豆やヨーグルトなどもお薦め。

それと、強調しなければならないのは免疫細胞の過半数が腸に集まっているということ。
細菌やウィルスから身体を守ってくれる免疫システムで一番大事なのがリンパ球。このリンパ球の60〜70%は腸にいる。そして、風邪もひかずガンにも罹っていない普段時は、リンパ球は腸の表面に集まっていて異物の侵入を監視している。いざという時にリンパ球は扁桃腺やリンパ線に出動して戦ってくれる。腸はリンパ球の兵舎でもある。

D スパイシーな食事。
カレーには何種類ものスパイスが入っている。そして、食べると身体がポカポカ暖かくなってくる。
これは、スパイスの香りと味が胃腸を刺激し、働きを活発にして代謝を上げてくれるため。
スパイスにはお馴染みの胡椒、シナモン、生姜、ニンニク、ワサビ、和カラシ、サンショウ、シソ、みょうが、三つ葉、ねぎ、辛み大根、七味唐辛子、ゆずこしょうなどがあり、その多くは漢方の生薬としても使われている。
スパイスは血流が良くなり、唾液がよく出て腸の吸収運動が促進される。同時に代謝も上がってエネルギーの消費が増えるので、食べる割には太らないという効果もある。
ただ、お馴染みの唐辛子はスパイスだと思われているが、カプサイシンの辛みは痛覚を刺激するもの。極端な話、針で舌をつつくのと同じ。したがって唐辛子の刺激は、辛すぎるとあまり胃腸によくない。

E 「よく噛む」ことと「五味のバランス」
よく噛めば噛むほど、脳が満足して食べ過ぎにブレーキがかかる。
そのほかに唾液や胃や肝臓、膵臓からの消化液の分泌も促されて、胃腸が元気に働ける。
また、酸味、甘味、辛味、苦味、塩味の5つの味のバランスが大切。さらに、青(緑)、赤、黄、白、黒の5つの食材のバランスが整えれば、自然に腸が鍛えられる。

F ぐっすり寝ることと間食をなくして日に3度以上は腸を酷使しない。
内蔵の働きを調整してくれるのが自立神経。自立神経は交感神経と副交感神経から成り立っている。
腸の働きは副交感神経が支配している。だからゆっくり休むことで副交感神経が優位になり、腸は元気に働ける。しかし、副交感神経を優位に立たせるには昼は交感神経が優位にさせることが必要。昼間よく働いた日は、夜ぐっすり眠れる。このバランスが肝心で、夜は胃を空にして寝ることが大切。
そして、これは最近になって分かったことだが、脳内にあるドーパミン、アドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質が、意外なことに腸でも多く見つかっている。鬱病に関係が深いと言われているセロトニンにいたっては、90%が脳ではなく腸で分泌されている。腸の役割は、今まで考えられていた以上に大きいと考えられるようになってきた。

腸を鍛えるということは、激しい運動をするわけだから、その分休養をたっぷりとってやらねばならない。
「同じ量を食べるのなら、出来るだけ回数を多くし、少量ずつ食べた方が良い」という考えがあるが、これは大きな誤り。胃腸は1日に3回だけ頑張ってもらい、後は休養させるべき。
したがって間食もダメ。間食として暖かいお茶を飲むのはいいが、冷えた甘い缶コーヒーやジュースなどは絶対に避けるべき。

紙数が尽きた。
腸を鍛えてのダイエット法などの詳細は、ぜひ自分で読んで納得の上トライされたし。


posted by uno at 06:19| Comment(0) | 病気と医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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