2011年08月20日

一条の床冷房体験記  ベストではないがベター (下)


八王子の i-smart 体験棟は、八王子市みなみ野の分譲住宅地の中に建てられている。

P1040910.JPG

訪問したのが午後の2時前から3時過ぎまで。 この時、外気の温湿度をうっかり測定しなかった。
そこで、帰って慌てて小平市の午後5時の温湿度を調べたら外気温33℃、相対湿度は65%、絶対湿度は約20.5グラム。今夏で1、2番目に高い脅威的な絶対湿度。 
蒸し暑かったわけ。
これから推測して、暑い南八王子の午後2時から3時の外気温度は37℃ぐらいで、絶対湿度は八王子と小平ではそれほど変わらないから、相対湿度は52%程度であったと考えられる。
この時の、ダブルハニカムで陽が当たる全ての窓を遮蔽した体験棟の室温が、前回示したように26.5℃で、相対湿度が58%。絶対湿度は約12.6グラム。

つまり、絶対湿度が室外の20.5グラムから12.6グラムへと、約8グラムも少なくなっていた。
この8グラムの差は大きい。このため、玄関ドアを開けた途端に、「カラリ」と感じた。
決して「ヒヤリ」ではない。
これがクーラーで25℃程度にまで冷やされていたのなら、それこそデパートやスーパーに入った時とか電車へ乗った時のようにヒヤリと感じたろう。
そして、クーラーの風を感じたら、5分も居たら痛く感じる。
いわゆる「刺す」痛さ。
これが、夏のストレスと病気の最大の原因 !! 

夏の絶対湿度のことを、20年前から騒ぎたてているのは私ぐらい。
大学の温熱環境の諸先生方は、温度のことしか言わない。
冷暖房負荷を計算する日本を代表するコンピューターシステムのSMASH。
このシステムでインプットするのは室内外の温度だけ。
そして、湿度条件を度外視して、通風のみを問題にする いわゆる自然派主義とかOMソーラーに代表されるパッシブ・グループ。
いや、それどころかLCCM住宅開発に携わっている国交省と日本を代表する住宅・建築省エネの錚々たる研究メンバーの諸先生も、通風第一主義者。

何度も強調するが、人々は25℃以下だと絶対湿度が多少高くても、ほとんど不快を感じない。
通風がなくても、誰も文句を言わない。
不快を感じるのは26℃以上で、絶対湿度が16グラムを超えてから。
そして、27℃以上で、絶対湿度が18グラム以上であれば、どんなに通風があっても人々は不快を訴える。
もっとも、秒速10メートル以上の強い風があれば別だが・・・。
そんな、消費者のクレームに対峙したことがないから、諸先生方はヒートアイランド現象という都市災害を無視して、呑気に「通風」などの研究をして遊んでいる。
軽井沢や箱根、那須の別荘建築だと、それでよいだろう。
だが、東京以西の大都市の、消費者の苦しみや悩みを無視していてもお咎めがない。
自分の研究が別荘族にしか関わりがないと知っても、良心が疼かない人種。
これに対して、常に消費者と接触しているビルダー業の第一線では、「通風」などという寝言だけを言っていたら消費者から見捨てられてしまう。
食いはぐれてしまう。

さて、外気よりも8グラムも少ない絶対湿度の i-smart が得られた原因は、何か。
当然のことながらデシカ除湿の効果が挙げられる。
しかし、それよりも強調しなければならないのは気密性能。
i-smart では全戸気密測定をして引き渡している。
その気密測定値は、隙間相当面積で 0.6cm2/m2 以下だという。
しかしこの数値は、最初のカタログ上では謳っていない。

i-smart のカタログで謳っているのはQ値の0.82W。 i-cube の0.76Wよりは0.06W低くなっている。
しかし、日本の最高水準のQ値であることには変わりない。
自称ドイツ系のパッシブハウスと同等か、場合によってはそれ以上。
だが、ドイツ系パッシブハウスの気密性能は、隙間相当面積で言うならば0.3cm2。
これに対して0.6cm2は、半分の性能に過ぎないと思うかもれない。
しかし、R-2000住宅の気密基準が隙間相当面積では0.9cm2であったことを考えると、大変に立派。
もっとも、R-2000住宅のビルダーメンバーのほとんどが0.5cm2を達成しており、中にはアベレージで0.2cm2以下というビルダーが存在しているから、一条が特別に優れているというわけではない。
しかし、ツーバィフォーを含めた大手住宅メーカーで、アベレージで隙間相当面積が1.0cm2を切ったのは、一条の i-smart しかない。これにより、初めて計画換気と除湿がコントロール出来るようになった。
そういった意味で問題点はあるが、画期的な商品であることは間違いない。

このように、R-2000住宅以上に隙間が少ない家だから、0.5回/hの機械換気をしていても、外気より8グラムも少ない絶対湿度が八王子で達成されていた。
鉄骨プレハブや、施工が外注の大手ツーバィフォーメーカーではこの絶対湿度を達成することは不可能。
何しろ0.9cm2のR-2000住宅ですらクリアー出来ず、脱落しただけでなく、カナダ政府との紳士協定を一方的に破棄した前歴を持っている輩だから・・・。
こうした事情を知っているから、各大学の先生方は住宅の気密性の大切さを分かっていても口にしない。
夏期には、絶対湿度を下げることこそ快適性と省エネ性のポィントであるということを十二分に知っていながら、口を閉ざしている。
このため、日本の官学産が唱える省エネ神話は、原発の安全神話と同等か、それ以上に悪質なウソで固められていると言わねばならない。
その間違った省エネ神話に、穴をこじあけようとしている先兵が i-smart 。

床冷房の設定温度が23℃、室温26.5℃、相対湿度58%、絶対湿度12.6グラム。
この八王子の i-smart のモデルハウスでの、体感実態はどうだったか。
前回書いたように、24.2℃のフロアーの上に、素足で1時間余立ったままでいたが、私は冷たいとは一切感じなかった。
そして、クーラーの嫌な風がないので、快適だった。
つまり、クーラーで冷やし、除湿するのに比べると、床冷房とデシカ除湿・換気の方が音もなく、優れていると感じた。
おそらく、ドイツ系の個別クーラー付きのパッシブハウスよりも、夏場に関してはこちらの方が快適と言えるだろう。ランニングコストを別にすれば・・・。
ただし、体験棟に居たのは1時間余。 家族で一夜を過ごしたわけではない。
実際に夕食を作り、入浴をした場合、内部発湿や内部発熱などで、快適さは微妙に変化するはず。
おそらく内部の絶対湿度が12.6グラムでとどまっていてはくれまい。

まず、設定床温度。 
私は23℃で、素足で何一つ不満はなかったが、女性の場合は一般的に24℃の設定温度でなければダメのように思う。
とすると、フロアーの表面温度は25.2℃で、畳の表面温度は26℃。そして、床上70センチの温湿度計は温度28℃前後で、相対湿度が50%。絶対湿度12グラムが最低の快適条件になるのではなかろうか。
つまり、絶対湿度を12グラム以下に維持することが出来るかどうか。
出来ればベター。
さらに、それが10グラム以下に設定出来れば、ベスト。

同社は、このi-smart の体験棟を全国に100棟建てている。
そして、今年の夏から来年の夏にかけて、いろんなデータをとることにしている。
したがって、現在のシステムや性能をもって、「これが同社の床冷房の全て」 などと決めつけることは出来ない。
床冷房・デシカ除湿換気システム付きの i-smart が本格的に発売されるのは来年の初夏以降らしい。
それにしても、100棟もの体験棟を建てて、1年間に亘って活きたデータを集めると言うのは、今までになかった新しい試み。
その意気込みと心構えは大変に良し、としたい。
私が挙げた懸念が、これからの一年間でどれだけ改善されるかを、引き続き追ってみたい。

そしてビルダー仲間に、声を大にして言いたい。
一条は、セントラル床暖房を標準仕様としているから、やむなく床冷房を考えねばならなかった。
だが、超高気密・高断熱住宅では、本来 床暖房やパネルヒーテングは不要。
したがって、一条の向こうを張って床冷房を考える必要は一切ない。
除湿を主体に考えての、「脱暖房、脱冷房住宅」 の開発こそが本命。
ランニングコスト面での検討はあえて省いたが、その面からも脱床冷房であるべき。

それよりも、注目すべきは i-cube、i-smart の売れ行き。
これはどこまでも受注ベースのことだと思うが、同社ではツーバィフォーの方が本業であった木軸の受注を上回った模様。
仮に同社の年間受注実績が8000戸と仮定すると、7月の時点で年間4000戸ベースになってきたということ。
それほど、幅広い消費者の支持を得てきている。
早とちりと怒られるかも知れないが、日本におけるツーバィフォー工法のトップメーカーは、近い将来に三井ホームから一条工務店に変わるかもしれない。
同社の i-cube、i-smart が急伸しているのは、何と言ってもQ値が0.8W前後で、隙間相当面積が0.6cm2というパッシブハウスに準じる抜群の断熱性と気密性の良さを持っているから。

それだけではない。
i-cubeは準パッシブハウスの性能で、50坪の住宅で55万円/坪。
i-smartは50坪で58万円/坪と言う性能に対する割安な価格帯が消費者を惹きつけている。
北海道の仲間以外で、この価格帯に対抗出来るビルダーは何社いるだろうか ?

さらに言うならば、同社の 「夢発電システム」 が大きなターニングポイントになっている。
正直なところ、同社が自社で太陽発電パネルまでを生産しているとは、迂闊にも先週まで知らなかった。
大変な不勉強を恥じ入るのみ。
セキスイハイムが考えもしなかったことを一条がやってのけていた。
アウトソーシングが叫ばれ、外部発注こそが本命視されている時にここまで自社生産に拘るとは、呆れるというよりは尊敬したくなる。
聞いてみたら同社の受注物件の95%が、平均6kW以上の太陽光発電を搭載しているという。
しかも、一条が初期の設置費用を立て替えてくれ、売電の中から相殺してくれるので、消費者にとっては初期費用がゼロで大きな太陽光発電パネルが、当面の間は搭載が可能。

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i-smart では、写真のように屋根勾配が3寸程度の片流れになっており、屋根全面に太陽光パネルが搭載されている。勾配が緩いので、これ以上の屋根の写真が撮れなかった。そこで、カタログからトレースしたのが下記。
これを見ると今までのパネルとは異なり、屋根面一杯に美しく分割搭載されており、しかも太陽光パネルが屋根材も兼ねており、日射遮蔽の役割も果たしていることが分かる。

P1040928.JPG

太陽光発電パネル対策はムリとしても、i-smart に対抗出来る商品を開発出来ない地場ビルダーは、これからは間違いなく淘汰されてゆく。
一条はテレビや新聞で大々的にPRする会社ではない。
しかし、あなたの知らないところで、消費者は一条に大きく靡いてきている。
貴社の売り上げ不振の原因は、その辺りにあるのかもしれない。

この事実をしっかり踏まえて、年内に価格的にも魅力的な新商品を開発する覚悟を固めましょうよ。
さあ、急ぎましょう !!!


なお、一条の太陽光発電パネル生産に関しては下記ブログが一応参考になります。
開きますと【1】の床冷房の記事が出てきます。それではなく、2010/7/11に書かれた【19】を開くと、夢発電システムのことが詳しく書かれています。
http://blogs.yahoo.co.jp/blue_impulse_s2k/MYBLOG/yblog.html?m=1c...


この記事へのコメント
I-SMARTではなくI-CUBEですよ!
間違いのない情報を書かないと一条も迷惑です。
Posted by at 2011年08月23日 00:55
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