2011年09月05日

i-smart という黒船  主人権の回復 ! (中)


さて、i-smart はなぜ売れているのか。
1つは新しい商法を一条が獲得したことにある。

ご存じのように、同社は派手なPR活動は一切行っていない。
目立つテレビ広告はもちろん、新聞や雑誌広告もやっていない。
つまり、どんな考えを持っているのか、何をしようとしているかが、さっぱり分からない。
なにしろ、フィリッピンの壮大な工場のことを、何故だか隠している。
限りなく怪しくて、田舎センスあふれる会社にしか見えない。

そして、今では旬が過ぎたと言われている住宅展示場に、何を勘違いしたのか知れないが、どしどし出展している。
沖縄と高知県を除く45都道府県になんと317もの展示場がある。
一番多いのは愛知の31展示場で、次は静岡の29展示場。それに次ぐのが埼玉、千葉の21展示場。
愛知の31とか静岡の29展示場となると、どこへいっても一条の看板にぶつかることになる。
つまり、展示場巡りをする客は、一条の定置網に引っ掛かる。
大手プレハブメーカーの展示場の数を勘定したことはないが、おそらく一条が日本一に近いだろう。
317の展示場に4人の営業マンを配属したとしたら、それだけで1268人となる。
まさに人海戦術。

しかし、この定置網作戦だけだったら、同社は行き詰まっていたはず。
古い展示場を壊して、新しく開発したi-smart に建て替えるというのは、費用もかかるし工事中は営業マンの業績が落ちてしまう。展示場の建て替えは、簡単な仕事ではない。
そこで閃いたのが、札幌の手稲区で行ったi-cube の体験棟。
2年半前に私も宿泊体験をさせてもらった。
その時、「是非、感想を聞かせて欲しい」 と言われたが、あえて言わなかった。
「私が言うよりも、ウィークディに営業マンとその家族を優先的に宿泊体験させてあげなさい。そしたら、なにが足りないか、何が謳い文句になるかを営業マン一人一人が実感する。それこそが、貴方の聞きたい答えではないですか」と、余計なことを言ってしまった。

高気密高断熱住宅を売る秘訣は、性能を喋ることではない。
私がR-2000住宅を売っていた時は、体験棟がなかった。
だから、お客に座ってもらって、もっぱら世間話に興じた。つまり、どれだけ長く素晴らしい空気環境の中に居てもらい、快適さを実感してもらえるかがカギ。
ある身障者のお子さんを抱えた若い両親は、その子がどの展示場でもグズるのに、R-2000住宅ではグズらず、スヤスヤと寝息をたてた。
それを見て両親は、その場でR-2000住宅を選んでくれた。
百聞は一見にしかず、である。

この極意を、一条は手稲の体験棟でものにした。
そして、i-smart の発売に当たって、難しい展示場の建て替えという手法を放棄した。
その代わりに選んだのが分譲住宅地における体験棟の建設。
1〜2年間展示した家を、家具付きで割安で販売する。
これだと、いくらでも体験棟を建てることが出来る。しかも、資金はそれほど必要ではなく、土地と建物は固定することなく回転する。
そして営業マンは、親兄弟を含めた家族で高性能を体験し、家族から感謝されるとともに独自の営業トークを身に付けた。
ということで、なんとi-smart の体験棟は、317の展示場とは別に全国に100棟も完成している。
これこそが、一条が開発した新商法。
この100棟の体験棟を経験した消費者が、積極的にi-smart に走っている。
こうした事実を、プレハブ大手他社や、地場ビルダーは知らない。
そして、いつの間にかi-smart に、市場を食い荒らされている。

その次には太陽光発電があるのだが、この効用はあと1年半ぐらいしかないはず。
来年度買い上げ価格は34円になり、その次の年度は28円になるから。
太陽光で本格的に商売が出来るは、今年度までだと考えてよい。ただし、野田政権がソフトバンクの李社長に、菅さんのように踊らされば別だが・・・。
したがって太陽光は省く。

私のホームページへアクセスしているお客には、一条ファンの消費者が予想以上に多い。
もともと高気密高住宅ファンだったが、i-cube や i-smart を見て、一条に鞍替えした人が多い。
そして時折、貴重なメールを頂く。
これらのお客様を見ていた気付いた点がある。
それは、「主人権回復」 とも言える動き。

ご案内のように、この20年来に亘って、家造りは主婦の特権であった。
女性がどこまでも主導権を握っていた。
なぜなら、住宅の中に朝から晩まで居るのは専業主婦。
子育てから家事一切を任されている。
どんな間取りで、どんな動線がもっとも育児や家事に好都合かは、主婦が一番良く知っている。
と同時に、どんな壁紙を使い、どんなインテリアコーデネィトであれば、私の心が癒されるかを、熟知しているのも主婦。
したがって、主婦の意向にさからった住宅は出来なくなった。
つまり、会社人間に過ぎないご主人の発言力が、次第になくなっていた。
そして、女性の自尊心をくすぐることに長けた三井ホームとか、スウェーデンハウス、セキスイハウスの天下が続いた。

しかし、女性は視野が狭い。
当面する育児とか家事を円滑にこなす技術はあっても、先を見通す能力に欠けている。
このため、理想的な住まいを得たはずだったが、子どもが育って家を出て行き、2人だけの生活になると、子ども部屋は単なる物置になるだけ。
全館暖冷房の家は、気密や断熱性能が悪いために非効率的で金食い虫。やたらとムダが目立つようになってくる。
近視眼にならざるを得ない主婦に家づくりを任せたデメリットを、多くのご主人は身に滲みて堪えてくるようになってきた。
その話を、耳にタコが出来るほど聞かされた男たちは、家づくりを女性に任せておけないと悟ってきた。
三井ホームの甘い囁きから、女房を目覚めさせるべきだと自覚した。

男性が好きな住宅は、自動車がそうであるように、まず性能。
その次は、価格。
その次はデザインであり、インテリア。
ところが、今までの一条は、あまりにもインテリアがゴテゴテと古すぎて、女房殿を口説くことが出来なかった。
しかし、i-smart の体験棟に行ったら、内装はすっかりシンプル・モダンに変わっていた。

P1040971.JPG

そこで、ご主人が「これだ」と言ったら、女房殿も反対出来なかった。

i-smart の予想以上の普及には、こうした 「主人権の復活」 という物語が秘められているのだと私は考える。



この記事へのコメント
一条に関する鵜野さんのブログ、興味深く拝見。
私の場合は約10年前に鵜野さんのR-2000住宅に関する貴重な諸説等を参考にしながら高密度高断熱・太陽光発電付きの家を建てました。 ところが鵜野さんに黒船と云われた一条工務店の展示場を最近見学して、我が家とほぼ同等の性能を著しい低価格で提供していることを発見してびっくりした次第。 セントラルエアコンは採用していないけど、最新の換気設備を持ち、将来は床冷房も展望するなど今後の発展も楽しみ。 これであれば次に建てる家(娘の家か、夫婦ふたりだけの小ぢんまりとした快適な家か)は一条にまかせた方がコストパファーマンスははるかに良さそうです。この一条の努力を黒船というのは鵜野さんも度量が低い。(失礼)ついでに訳の分からない広告で有名な大手の鉄骨ベースのプレハブメーカーの家を訪問したがQ値、C値などの説明は無し。外断熱とは云うものの一条のI-cube, I-smartと比較すると薄っぺらい断熱材があるのみ。 これでも本来の性能を知らない奥さんたちはそれなりに満足するんだろうなと思った次第。 ちなみにインテリアのセンスについては一条は更に努力の余地があるとの我が女房のコメント。
Posted by Golftill99 at 2011年09月06日 17:11
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