2011年09月15日

0.8W〜1.0Wのサッシとデシカは最新鋭の医療機器


ネットフォーラムの下記のアダチさんの書き込みを見て、つくづく15年前を想い出しました。

拙宅では、夏は除湿運転を励行している関係で室内の湿度は低く、リビングの相対湿度は40%を切っています。このため、起床時にノドの痛みを感じることもしばしば。
しかし、起きて活動を始めると、治ってしまいます。食事で水分補給をするからかもしれません。
「風邪をひいたのかな…」と思わされるがそうではなく、ただ気管やノドが乾燥しているだけ。
よく、乾燥は風邪に悪いと言われますが、私の体験では少し異なるように観察しています。
というのは、わが家では家内を除いてあとの全員が、年に一度か二度は必ず風邪をひき、熱を出して寝込んだ家系。
それが、現在の高気密高断熱住宅に引っ越してから、風邪をひくことは皆無になりました。
おそらく24時間換気で、室内のウィルスの濃度が低くなったことと、家が暖かいので身体の芯が冷えなくなり、免疫機能が向上しているためではないかと推察しています。
また、夏は乾燥状態が続いているため、ダニ、カビの発生がないのでアレルギー反応が起きなくなりました。
母親のぜんそくと、娘のアトピーは完治しました。

そうなんです。
15年前までの家造りは、如何に風邪にかかりにくい家をつくるか。
花粉症で困らない家をどのようにつくるか。
また、ダニ、カビ、ホコリ、化学物質の少ないアトピー障碍のない家をどうしてつくるか。
ということが家造りのメインテーマでした。
この難問中の難問だったメインテーマが、C値0.9cm2という高気密性と、Q値1.4Wという高断熱住宅、それと24時間のセントラル空調換気除加湿システムによって、10年前に ほぼ解決しました。
その有難さが当たり前のことになり、いつの間にか等閑視してきました。
アダチさんの指摘で、改めてその重要性を再認識させられました。

まず、住宅で一番大切なのは高気密性能。
この気密性は、日本では相当隙間面積(C値)で表現します。
つまり、床面積m2当たり、どれだけの隙間があるのか。
次世代省エネの基準は、東京以西が5cm2/m2で、北海道が2cm2/m2。
この東京以西の5cm2/m2という基準は、40坪の住宅だと18.2cm角の大きな穴が2つ開いている勘定。
想像しただけで冬は寒く、夏はムーッとする湿気が侵入してくる様子が目に浮かびます。
そして、何故こんなバカな基準を国が設けたのかと、消費者の皆さんは怒りたくなります。
当然です。
国交省は消費者、つまり国民のことを考えてこの基準をつくったのではありません。
鉄骨造のプレハブメーカーと木軸造の全建連、全県総連の一人親方には、2cm/m2以下の住宅は簡単につくれない。このため、天下り先の事情と、選挙の時の票を考え、国民の立場を無視して5cm2/m2という世界的に恥ずかしい基準を決めたのです。
そして学会の諸先生方は、誰一人としてこの基準に反旗を翻していません。

ところが、諸外国では新しい気密性能の基準がどしどし見直され、新基準が実施されています。
まず先行したのがカナダ。
今から20年以上も前に、「50パスカルの気圧をかけて、一時間に家の空気が1.5回転しか動かない」 というR-2000住宅の気密基準を発表しました。
この50パスカルの気圧は、風速25メートルの台風時と同じと考えたらよいようです。
これを日本の隙間面積(C値)に換算すると0.9cm2/m2。
40坪の家に、7.7cm角の穴が2つ開いている勘定。先の18.2cm角に比べると約1/6の小さい穴。
この程度だと、寒気や湿気がドヒャーッと入ってくる心配がない。
しかも、日本の相当隙間面積は10パスカルという風速5メートルの気圧で測った数字。
風速25メートルで測定したカナダの基準は、日本の6倍と言って間違いはない。

ところが、世の中には上には上がいるもの。
今から13年前に、ドイツの民間のパッシブハウス研究所が、パッシブハウスという超高性能の住宅の気密基準を発表しました。それはカナダのR-2000住宅の基準、1.5回転/時・50パスカルをはるかに上回る0.6回転/時・50パスカル。
日本の相当隙間面積(C値)で言うならば0.3cm2/m2程度。 40坪の住宅で4.6cm2角の小さな穴が2つ。
このパッシブハウスの基準を、EU各国は次世代住宅の基準にしてゆこうとしています。 大変な決断。
このすぐれた気密性能を、日本のトップ地場ビルダーは日常的にクリアーしています。
とは言え、ここまで頑張らなくても、最低8cm角の穴2つ。つまり、1.0cm2/m2を、これからの住宅の最低基準にすべきだと私は考えています。
これが達成されると、除加湿のコントロールが画期的に可能になるから…。
 
そして、高断熱の基準である熱損失係数(Q値)は、本州では0.8W〜1.0Wで十分だと思う。
もちろん、予算があれば暖房費ゼロを狙うのはかまわない。
しかし、ここまでくると、さらに上を狙って賭ける金額に対する対価は、必ずしも高いとは言えない。
費用対効果を考えると0.8W〜1.0Wが現時点では限界。
しかし、20年先の燃費動向などを勘案しての費用対効果を考えると、頑張れるものならもう少し頑張ってみた方が良さそう。

さて、今回の主テーマは相対湿度。

P1040980.JPG

上の図は、アメリカの冷凍空調学界(ASHREE)が20年以上前に発表した あまりにも有名な「相対湿度と微生物との相関関係図」。
この図をカナダ大使館で見せられて以来、私の思想が変わりました。
しかし、余りにも過度に使って来ているので いささか気が引けます。でも、再度掲載します。
温度もさることながら、湿度が微生物だけではなく人間生活に大きく関わっているかが、この図が雄弁に物語ってくれているからです。
何と言っても大きいのがウィルス。
このウィルスは、相対湿度が低い場合と70%以上と高い場合に繁殖する。
40%〜70%の場合はほとんど繁殖しない。 特に50%〜70%ではゼロ。
つまり、冬期も夏期も、相対湿度を50%〜60%に維持出来れば、インフルエンザや風邪にかかる心配がほぼゼロとなる。
ところが、夏期の50%〜60%はなんとか維持出来る。
アダチ邸の夏期の居間は40%だと書いていたが、40%だとほとんど心配がない。
アダチ邸の家族が風邪をひかなくなったのは、この図から説明出来る。

ところが、冬期に室温を50%〜60%に維持することが事のほか難しい。
関東以西の太平洋側のW地域の住宅の戸数は、全体の85%を占めています。
この比較的温暖な地域でもサッシのU値が1.3W程度だと、冬期に室内の相対湿度が45%以上だと結露を生じる。
50%にしたいのだが、結露が怖くて出来ない。
したがって結露が生じないU値が0.8W〜1.0Wのサッシが、どうしても欲しい。
しかし、それはつい最近まで夢のまた夢。 1.3Wから1.6Wが上限であった。

P1040888.JPG

ところが、上のようなU値0.8Wの価格的にもこなれた国産ウッドサッシが、千葉市にもお目見得。
まだまだ種類は限られているが、来年中には全種防火の個別認定取得も確実視されている。
この0.8Wという最上級ではなく1.0W製品であれば、価格的にも輸入サッシよりも使いやすい。
こうしたウッド以外にも、PVCやアルアルでU値が1.0Wを上回るサッシがヨーロッパに現存する。
ただし、国産品となるとPVCでは1.1Wが限度で、大きさもH Wとも1200まで。完全な商品化にはほど遠いのが残念。
アルアルに関してはやっと蚕動が始まったばかり。
しかし、図体だけが大きく、イノベーションの意欲に欠けるトステム、YKK、三協立山というサッシメーカーに変わって、ベンチャーが名乗りをあげつつあるのは嬉しい。
動かない大手を相手にして、やきもきする時代は終わった。
ウィルス対策のために湿度を50%〜60%にすることが出来る環境が、徐々に醸成されつつある。

そして、次に見ていただきたいのがカビ。
カビは相対湿度が60%を超えたら発生する。
夏期の相対湿度を60%以下に抑えたいという意味が、お分かり頂けたと思う。
そして、ダニは温度が28℃を突破し、相対湿度が50%を突破したら急発生する。
夏期はウィルスの心配が少ないから、相対湿度を40%〜50%に維持したいという理由が、この図で理解いただける。
また、呼吸疾患、アレルギー、ぜんそくのことまでを考えると、図にある通り相対湿度を快適ゾーンの40%〜60%に維持することが如何に大切であるかが分かる。
この相対湿度の維持に、大きな役割を果たしてくれるのが家庭用デシカ。

P1040976.JPG

ところがこの家庭用デシカの開発が、予定より半年でなく、場合によっては一年近く遅れることになりそうな雰囲気。
これは、大ごと。 
メーカーは、社会的な使命に対する自覚がなさすぎるように感じる。
井上会長の自宅にデシカが採用されるという話を聞いた。
まさか会長宅用の開発のために、庶民用がおろそかにされているのではあるまい。
会長が率先して実験台になろうということであれば、なおさらのこと、大車輪で頑張って頂きたいと希求してやまない。

そして、私が強調したいのは、こうした高気密で結露が生ぜず、調湿機能を持った住宅や医療施設、高齢者施設こそが庶民に最も必要な「最新鋭医療機器」だということ。
見かけだけの、調湿機能も気密性もない大手メーカーの建築物は過去の遺物。
また、結露を起こす建築物は問題外の外。

単なるQ値主導の時代は終わりました。
これからのW地域を中心とした住宅と医療、高齢者施設の建築物の本命は、U値0.8W〜1.0Wのサッシとデシカであると断言しても、決して間違ってはいないはず。



posted by uno at 05:27| Comment(0) | 冷暖房と除湿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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