2011年09月20日

原発のあとにくるエネルギーは太陽光ではない !!


池上彰がNHKの子ども向け番組で解説していた時代から、私はどうしても好きになれない。
いかにもNHKのアナウンサーというツンとした語り口調が嫌いで、直ぐにチャンネルを回したくなる。
しかし、18日の夜7:54分から9:54までの緊急生放送 ! 「池上彰のエネルギーを考えるSP」 は見応えがあった。

福島原発が起こった時、私は日本の原発の寿命はあと25年から30年にすぎないと直感した。
なぜなら、日本では地元の住民の賛成が得られないと新規の原発は建設出来ない。よほどの安全性を備えた規模の小さなものでないと、これからは絶対に地元住民の賛同は得られない。
したがって、現存する原発はその寿命が来た時点で、廃炉に。
これからの25年から30年の間に、原発に変わるエネルギーを国策として何としてでも開発してゆかねばならない。

2009年の約9600億kWhの電力発電量の大まかな内訳は、原子力、天然ガスがそれぞれ約30%。
それに石炭と石油でこれまた約30%。 残りの9%が水力で、地熱など新エネルギーはたったの1%。
これが福島原発事故により、定期健診で休業した原発の再稼働開始が遅れ、今年は原子力の占める比率が15%前後に激減。 変わってその穴を埋めているのが天然ガスなど。
結局のところ、化石燃料であることには変わりがない。
世界的な土壌微生物研究者で林業に詳しい小川真博士。
関電の総合環境センターの役員もやっていたから、エネルギー問題全体にも明るい。 
その小川博士が、次のように書いている。

舞鶴市に建設された出力90万kWhの火力発電。
化石燃料とバイオマスエネルギーを一緒にすることは出来ないが、この火力発電所1基を1年間木質燃料で稼働させたと仮定すると、京都府の山が1年間で丸裸になってしまう。
日本には80数ヶ所の火力発電がある。 これらの全てが山の木を燃やして発電したとしたら、日本列島の全ての山は1年間もしないうちに禿山になってしまう。
もちろん、火力発電だけが悪いのではない。 
化石燃料が使われているのは電力が40%で、残りの60%はコークス、ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などの形で製鉄・機械などの動力に、自動車・暖房などの燃費に使われ、あるいは合成樹脂の加工などに使われている。
石炭紀のころまでは、地球上の大部分のCO2は大気の中にあった。それが光合成する植物体に蓄積、固定されて石炭や石油、天然ガスとして地中に埋もれていった。
それが、産業革命後の200年間で、人類は地球が過去3億年かけて封じ込めてきた生物の遺体を掘り出し、燃やし続け、間もなく恐竜時代の大気状態に戻そうとしている。
これが温暖化問題の本質。
石油に変わる化石燃料だけを漁るという愚を犯してはならない !!

この言葉に要約された基本的な視点と、含蓄の重さをわれわれは見失ってはならない。
しかし、菅前総理やソフトバンクの孫正義ネオ政商は、原発を止めてもいとも簡単に太陽光発電や風力発電に移行できるかのような錯覚を日本の国民に撒き散らしてしまった。
大馬鹿者め、が。
9月7日の「訂正と追加」という欄で軽く触れたが、菅前総理や孫正義社長は基本的な間違いを犯している。

その1つは、再生可能エネルギーを20年間据え置きで40円の高値で電力会社に買い取らせるのを義務化しようとした構想。
家庭用太陽光発電の普及のために、経産省は5年計画で特別価格での買取り制度を発表した。
初年度の昨年度はkWh当たり46円で買い上げ、今年度は40円。 来年度は34円でその次の年度は28円。そして5年目には22円にもどすという計画。
これだと、その高い買い上げ価格を全世帯で負担しても、世帯当たりせいぜい1円/kWh 以内で済む。日本の全世帯の負担も軽く、産業の国際競争力が高電力価格で損なわれることは少ない。
このように補助金が毎年少なくなるから、イノベーションが進む。

ところが、孫正義ネオ政商が考えていたのは、住宅の屋根に太陽パネルを載せることではない。
世界の投機マネーを集めてきて、郊外に広大なメガ・ソーラー基地をつくる。その送電線の建設も電力会社にやらせようというもの。
40円と言う高価で、しかも20年間の買い上げが保証されているから、企業努力をしなくても5〜7年間で元がとれ、後の10数年間は黙っていても儲かる。
ドイツやイタリア、スペインで投機マネーが「自然エネルギー」の美名の陰で振舞った悪徳商法を、日本へ持ち込もうとシャカリキに振舞った。それに乗っかった菅さんの醜態。
本当か嘘かは知らないが、ソフトバンクは体力のない何件かの風力発電を買い上げているという噂がまことしやかに囁かれた。
そんな噂が囁かれて当然の、余りにも稚拙で醜い構想。
投機マネーが乱舞してメガ・ソーラーが乱立すれば、買い上げ価格はたちまちにして数円/kWh 値上がりし、日本の全世帯を苦しみに追いやる。そして、電力価格の値上がりは、日本企業の海外移転を決定的なものにしてしまう。

2つ目の問題は、日本はヨーロッパのような余裕電力の販売先を持っていないこと。
南欧では、太陽光発電が余れば送電網が整備されているのでアフリカ諸国へも売れる。
ドイツは太陽光発電や風力発電の急増のため送電網のトラブルが続いたが、余った太陽光や風力の電気はなんとか近隣諸国へ売ることが出来た。
そして、夜間は太陽発電の電気が入手出来ない。その時は、ちゃっかりフランスの原発の夜間電力を安く買うことで賄っている。
口では「脱原発」とカッコ良いことをいっているが、裏ではちゃんと原発を活用している。

これに対して、日本は韓国や台湾、中国との送電網を持っていない。
不安定な太陽光発電の比率が増えても、その処理が出来ない。
太陽光発電を本格化しようとするのなら、まずアジア各国とのアンペアの統一と送電システムの構築こそが急がねばならない。投機マネーの都合など最後の最後でよい。
幸い、「再生自然エネルギー特別措置法」の施行は来年の7月。
来年の太陽光発電の買い上げ価格は34円になるだろう。
そして特別措置として、電力会社は全体のシステムが著しく乱される時は、自然エネルギーの買取りを拒否出来るようになっている。これは、国内ですら売電システムが機能していない現実を考えると当然の措置。やるなら送電システムの分離独立化を図る方が先。
これで、投機マネーの乱舞はある程度は防げよう。
ただし、私は家庭用太陽発電の買い上げ価格は、25〜30円の範囲内で弾力的に運用し、買い上げよりも蓄電した方がよりメリットがあるインセンティブを考え出して行くべきだと思う。
日本が世界に率先してやらねばならないのは、売電ではなく効率の良い蓄電システムの開発。
そして、これが本格的に軌道に乗るのは10〜20年先と考えるべき。

それと、太陽光発電では、本命と考えられるのが全世界の砂漠に太陽光発電の発電基地を設け、これを送電ロスが皆無に近い直流超電導送電網で世界を結びつける構想。
今年の春、NHKのサイエンスZEROでとりあげていたが、この構想こそ国家的な構想としてまとめ、世界に問うだけの価値がある。

http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp345.html

つまり、アフリカのサハラ砂漠、中国のタクラカマン砂漠、アメリカのソノラ砂漠、オーストラリアのグレートサンディ砂漠の砂から安くシリコンを造る。そのシリコンで造った大規模な発電基地を徐々に拡大させながら整備してゆく。
それに平行して、全世界を結ぶ直流超電導送電網を敷設してゆく。
この場合は、蓄電装置は不要。
たとえばサハラ砂漠の陽が落ちたに場合でも、アメリカのソノラ砂漠やオーストラリアのグレートサンディ砂漠が発電中なので、途切れることなく太陽光発電による電気の入手が可能に。
この完成までには20年から30年はかかるだろうが、これこそが人類の希望を叶える文字通りの夢発電。

このほかに、四海を海に囲まれている日本では、太陽光発電よりも期待されているのが海流発電。原発に匹敵する規模の開発が期待出来ると池上氏は言っていた。
しかし、これらはいずれも10年から30年後に実用化が期待出来るもの。
つまり、中長期の電力の主役たちで、当面の需要には間に合わない。
しからば、当面の10年間はどうすべきか。

そこで、池上氏が大きく取り上げていたのがアメリカで採掘が始まったシェルガス。
頁岩という本のように積み重ねられた岩の間にあるガスで、アメリカ本土の埋蔵量はロシアの天然ガスの1.5倍はあるという。
これを採掘が軌道に乗れば、アメリカは中東問題に首を突っ込む必要は皆無に。
と同時に、ロシアの天然ガスを利用した近隣東欧諸国や、ドイツなどのEU各国への圧力と発言力は弱くなる、と報じていた。
もちろん、日本への輸出も可能で、アメリカでは2011年からマーカンタイン先物取引所でシェルガスの取引がはじまっているという。
このシェルガスが、1〜2年以内の近未来に日本でも使えるようになるだろうと言うのが池上氏の見方。

それと同時に、Jパワーの磯子の石炭火力発電所を紹介していた。
日本の石炭火力発電の技術は素晴らしい。
石炭を粉にして、つまりパウダー状態にして燃やす。
このため、大気汚染物質は90%以上回収している。黒い煙は一切ない。
そして、熱効率は世界各国が30%台なのに対して、日本は41%という高い効率を誇っている。
この石炭火力の技術輸出を積極的に進めて行くことが、世界のCO2の削減に貢献する。

http://www.jpower.co.jp/bs/karyoku/sekitan/

そして、石炭火力ではこれをはるかに上回るクリーンコールパワーがあと2年で試験運転を終える。
パイロットプラントの試験運転の効率は高く、CO2回収型で48〜50%の発電効率を実証している。
この技術は世界から注目されており、CCPの技術による試作機はアメリカ、中国、オーストラリアなどでも稼働を開始しているらしい。

http://www.ccpower.co.jp/igcc/about.html

電気代を5円近く値上がりさせてもその発電量はせいぜい3〜5%程度しか考えられない太陽光発電。
しかも、40円の固定相場での買い上げが決まれば、投機資本は日本の太陽光パネルではなく、中国や台湾、韓国の安いパネルの買い付けに走る。
政府と日銀による無策のために切り上がった円高がその動きを後押しする。
その結果、電気料金が上がって弱り目の日本の国民に、シャープ、京セラ、サンヨーをはじめとする日本メーカーのリストラという祟り目が、ドイツのように覆いかぶさってくる。
その危険性が非常に高い。
とするならば、日本の技術を縦横に活用出来る石炭火力にシフトする方が、何倍か賢い。
ともかく、菅・孫コンビの妄想からいち早く脱出し、正気に還って世の中を見直す必要がある。

そうした中で、浮上してきているのがトリウム熔融塩炉。
立命館大亀井敬史研究員によると日本には200トンものプルトニウムが溜まっている。高速増殖炉もんじゅの夢がなくなった今、このプルトニウムは核武装以外に用途がない、という。
トリウムが注目されるのは、これがプルトニウムを消しつつ電力を生みだすカギだから・・・・。
トリウム熔融塩炉は1960年代にアメリカの物理学者たちによって切り開かれたものだが、アメリカは持っていたボールを放り出してしまった。そして、今年の1月に中国は原発のためにトリウム熔融塩炉の研究開発を行うと発表し、途端に世界の注目を集めるようになったもの。
ともかく安全で、小型のものにも十分対応出来るらしい。
Wikipediaをはじめとしていろいろネットで検索したが、私の知識では完全に理解することができなかった。
どなたか、正しく位置付けし、解説してくれる人はいないだろうか ?


最後になったが、太陽光発電や風力発電の数倍の実績を誇るバィオマスエネルギー。
この将来展望については、昨夜のプライムニュースの前後編を見て頂きたい。

http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d110919_0



posted by uno at 07:26| Comment(0) | 太陽光・太陽熱・風力ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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