2011年09月30日

会場も狭く、目新しいものが少ない中で目についたもの


昨年のジャパン・ホームショーには、いくつかの大型の木質構造材や不燃建材の展示があった。
また、ドイツパビリオンやアメリカ系の輸入ウッドサッシやPVCサッシで、目新しい展示があり、ワクワクさせられた。
しかし、今年は正直なところ、目新しいものが少なかった。
そして、昨年と同じものが展示されていても今年はワクワクしない。 並べられているのが同じカタログだと途端にげんなりしてしまう。

つまり、常に新しいイノベーション情報の有無を確かめているわけ。
世の中が進んでいる時、こちらだけが知らないと取り残される。そのために必死とならざるを得ない。
日本の住宅事情は、停滞期から後退期に入っている。
したがって、日本の大手建材メーカーや設備メーカーからは新しいものがほとんど出てこない。
かつてのように、大手設備メーカーやサッシメーカーが揃い踏みしているジャパン建材やナイスの展示会を見ても、感動を覚えない。

その中で唯一面白いのは、ドイツを中心にした海外のブースに新商品が多いのと、元気な日本の中堅メーカーが大活躍するジャパン・ホームショーだけだった。
もっとも、海外ブースといってもこの2〜3年間注目を集め続けたのはドイツパビリオン。
カナダ館とかアメリカ館は見るべきものが皆無。
まして、中国館は石とか木材関連しかなく、イノベーションには程遠いものばかり。
LED照明とか太陽光発電になると、途端に中国、台湾、韓国などの頑張りが目立つが、ホームショーの建材では人が寄りつくだけの魅力がなく、影が薄かった・・・。
その頼りとしていたホームショーの展示会場が2/3のスペースになってしまったのはショック。

ホームショーを効率的に探訪するには、ある程度のレベルの揃った異業種の人と3人で歩くのがベター。
自分がうっかり見落としていたものでも、きちんとフォローしてくれる。
そして、新しい知識と情報が自然に得られる。
しかし、最近は異業種の人と探訪するという機会が少なくなった。
今年も残念ながら2日前は一人旅。
しかし、最終日の今日は、異業種の古い仲間と歩いたら、それぞれ関心事が異なり、私の知らないことをいくつも教えてもらった。
この項は、2日前の2時間近くの時間をかけた一人旅の見聞記。今から考えると見落としは多い。
しかし、今さら全面的に書き換えるのが億劫。
したがって、どこまでも一人旅の見聞録にすぎないとお断りしておきます。

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一番印象深かったのが、旭有機材のゼロフロンER。
この会社は旭化成の子会社だから、それほどウソは言わないだろう。
今までのウレタンの現場発泡は、100倍発泡と言う水発泡で、熱伝導率は0.032と相場が決まっていた。
ところが、新製品はフェノールウレタンの現場発泡。
熱伝導率は当初は0.023Wだが、90日を過ぎると0.028Wで安定するという。
写真右の薄いピンク色に見えるのがそれ。
会場で施工実演をやってくれるわけでもなく、ただ単にこんな簡単な展示物を並べているだけ。
したがって、見過ごされた方も多いと思う。
しかし、0.032が、0.028と0.004下がるということは1つの事件。
この数値が正しいとしたら、木質構造で外断熱は全く不要となる。
206(14センチ)の壁にこの断熱材を充填した場合の熱貫流率を概算してみたら、0.23Wとなった。
サッシと換気を良くすれば、関東以西ではこの外壁性能で0.8W近いQ値が確保出来る
狭い土地で、やたらと外壁を厚くして、生活空間を削る必要はない。

問題は価格。
206の壁一杯に充填した場合の価格を聞いてみたら、メーカーの設計価格で1万円/m2程度ではないかと言う。はっきりした答えではない。
少し高すぎるが、ロットをまとめれば、外断熱をやる手間と費用を考えれば、使いこなせる範囲に収まってくれるという気がする。
石油化学系の断熱材だから、ナチュラル派にとっては許し難い断熱材だろう。
だが、羊毛系の0.04Wの断熱材を使って自己満足し、高い電気代を払い、CO2の排出量を100年間に亘って増やすのとどちらが地球のためになるか・・・。

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次は、フロンティア社とレンゴーで共同開発した全熱交換素子。
これは、前回も展示されていたし、ローヤル電機やトステムの全熱交換機に採用されているので、珍しくはない。ありふれたもの。
ところが、この素子のどこに特許性があるのかがさっぱり分からなかった。
今までは、外観だけしか展示されてこなかった。このため、外側を取り巻いているレンゴーの段ボールだけが目立っていた。
ところが、今回初めてその内部を公開していたのが上の写真。
段ボールを通じて入った空気が、数種類の径路を通って熱交換をする。写真はその流れのほんの一例で、素子の中の空気の流れが違っていて面白い。それを写真に撮らせて欲しいと頼んだが、断られてしまった。
私は、浴室から24時間排気をしない全熱交は、カビ問題からして基本的に欠陥商品だと考えている。
だが、フロンティア社のこの技術には敬意を表したい。
そして、浴室からの排気問題を解決し、使用電気代の半減化が図れたら採用したい。

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それと、隣接するブースで、この素子を使ったマーペックス社の換気システムが初公開されていた。
床下に換気装置を設置したことと、夏冬は1種換気で行き、春秋は3種換気で行くと言うのが特徴。
しかし、3種換気の場合の気密性能の確保に言及しておらず、各室の必要換気の供給も心もとない。評価はかなり低くならざるを得ないが、給気のフィルターには降参。
写真のように、直径20センチで、高さが60センチ近い花粉フィルター。これは3ヶ月ごとの水洗い可能で、寿命は2年間という。
当然、金属のカバーで覆われているのだが、この99.8%花粉を捕獲するフィルターの価格が送料・税込でなんと3150円。
昔、スウェーデンからの輸入3種換気の薄っぺらなフィルターが個所2000円だったことを考えると、如何にボラレていたかが分かる。

なお、同じ全熱交で、ダイキンが90%熱回収のベンテエールを初展示していたが、展示方法や内容の見せ方でフロンティア社に完敗していた。

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最後に、私が出展を強要したテクノフォルム・ジャパンのアルアルサッシの参考展示。
U値が1.0Wのサッシが上の写真で、アルミとアルミの熱をコア断熱と充填断熱材で見事に遮断しているのが良く分かる。と同時に、RC用だから見付け寸法が大きすぎる。これを木造用にどう改良して使えるようにしてくれるのか。 期待は大きいのだが、簡単にゆくまい。

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それと、同じくドイツの防火サッシの数々の断面。そのほんの一部の紹介。日本と違ってアルアルの中心部にコア断熱材と鎮熱材が装填されており、日本の防火サッシのいい加減さが良く分かる。
是非、ゼネコンや設計事務所、マンション開発業者と国交省関係の人には見ていただきたいもの。
それと、この展示のおまけとして展示されてU値0.82Wの慶弔を連想させる黒枠のハイブリッドサッシが、
仲間のプロにも意外な人気があったのには驚いた。
これを、どのように改善してくれるかを見守りたい。

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このほかでは、写真のような蓄電池の展示が2〜3あり、注目された。
実は、この国際展示場から10分ぐらいのところにナショナルの特設館がある。その4階で、蓄電池の特別講習を受けるチャンスに恵まれた。
写真撮影は一切ダメ。非常にゴーシャスな雰囲気の中で、実際の蓄電池を見ながらのレクチュアーは非常に参考になった。径1.5センチで高さ6センチ強の電池140本を1つの大きな弁当箱に並べて1.5kWhの電池となる。電気自動車の電池の能力は24kWh。ということは弁当箱が16個装填されていることになる。
なんと小さな電池が2240個も並んでいる勘定。これは、大変勉強になりました。

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会場では様々な講演会。28日は、そのうちの3つのサワリだけを聞きました。
1つは、次期東大の木質構造の主役になるであろう稲山准教授の「一般的に流通している木材を使って、鉄骨造より安い大型木構造を造る秘訣」。
私は既に数回先生の話を聞いているので新奇性はなかったが、話しぶりから先生が一皮むけたと感じられた。屋台骨を背負う責任感が見えてきたので、期待したい。

つまらない講演だったが、工務店サポートセンターの「木軸工法で省令準耐火を取るには」と言う講義は私には面白かった。
木軸の簡易耐火化するということは、木軸工法を如何にしてツーバィフォー化するということに他ならない。そして、現在の木軸の中途半端さを、嫌と言うほど知らされた。
皆さん。木軸をベースにして物事を考える愚をやめましょうよ。
木質構造と言う杉山先生の原理に従って、物事を考えるクセをつけてゆきましょう。

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最後は、芝工大の秋元先生の「今年の電力事情の実態を踏まえながらの住宅の省エネの方向」。
なかなか面白かったが、それよりもナショナルの蓄電池の方に関心があったので、途中で退席してしまいました。


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