2011年10月30日

消費税だけで財政再建を果たすには5%ではなく50%が必要 ?!


小泉改革内閣の後に誕生した福田、麻生と続いた自民党の派閥内閣。
古色蒼然とした派閥の親分衆が威張っているようでは日本は救われないと、多くの人々が自民党を見限って民主党を選んだ。
政治主導で、天下り先の増殖ばかりを考えている官僚機構を刷新し、20%の人件費削減をしてくれる。
予算のムダ使いを省いて、子ども手当や高速道路の無料化を図ってくれる。
平均世帯よりも所得が高いサラリーマン農家への戸別所得補償制度はおかしいが、自民党に出来ない刷新的な政治をやってくれるだろうと、大きな期待を寄せたのは2年前。 そう、たった2年ちょっと前。

ところが、鳩山・小沢コンビは、自民党の派閥以上にカネに汚い内閣だと判明、あっという間に失速。
そして、新しく選ばれた菅総理は、党にも図らずマニフェストを破って消費税の増税を掲げ、参議院選挙で国民から総スカンを食った。
ただ、菅氏にとって幸いだったことは東日本大震災が起きたこと。
しかし、国民にとっては一番大切な時期に、決断力と実行力と責任感を持っていない総理を抱えていたことは最大の不幸。
その菅氏が、ソフトバンクの孫正義の「自然エネルギー制度を日本に導入出来るのは貴方しかいない」というエセ褒め言葉に舞いあがって辞任を引きのばし、災害復旧を大幅に遅らせた。

そして、経済のことが分からない財務省の操り人形・野田総理が誕生。

野田総理の実直さに期待したいのだが、聞こえてくる話は1にも増税、2にも増税。
日本は、今までにない国難に直面している。
日本の借金は1000兆円にも及ぶ。この借金を子孫に残すことは罪悪。
世界一の少子高齢化が進み、高齢者の年金や医療費が増える一方だから、せめてその分は消費税で賄ってゆかねばならない。
財務省と口裏を合わせて、全てのテレビや新聞が毎日のように、「このままでは日本は第2のギリシアになってしまう」 と叫んでいる。
こうなれば、増税に反対している私などは絵に描いたような国賊もの。

そこで、国賊から財務省に問いたい。
「日本の1000兆円の財政危機を救うには、どれだけ消費税を上げればよいのですか ? 」
「消費税のアップだけで財政危機を救った国はありますか ? 」
「本音でどこまで消費税をあげたいと考えていますか ?  いや、上げられると考えていますか ? 」
「財務省の言うように日本の財政危機を救うのは消費税しかないとすれば、これからの20〜30年の間に、日本の消費税は5%ではなく50%にしなければならないのではないですか ? 」

皆さんはどう考えられますか。
財務省の言うように、あるいは野田総理や自民党の谷口総裁の言うに任せた結果、消費税が50%になっても文句を言わないつもりですか ?
それが、国民としての美徳でしょうか ?
消費税の高い国にすることが、子孫に対する思いやりと言えるのでしょうか ?
もし、経済政策として増税以外に選べる方法があるとしたら、まずそれを選択すべきではないでしょうか ?
そして、最後の手段として増税を考えるべきではないでしょうか ?

そんな悶々とした気持ちを抱いて、飛びつく思いで下記の本を買った。
高橋洋一著 「財務省が隠す650兆円の資産」 (講談社刊 税込み1680円)

P1050153.JPG

正直なところ、著者ほど財務省の手の内……というか官僚の習性を熟知している人はいない。
どんなに綺麗ごとを並べても、全て見破られてしまう。
著者の書いた本を今までに数冊紹介してきた。
そろそろネタが尽きる頃だと思うが、次々と財務省をはじめとした官僚の正体と手練手管を暴き続けてくれている。
そして、埋蔵金は後から後から出てくる。
これほど手ごわい相手はいない。
財務省幹部の溜息と嘆き節が聞こえてくる。

しかし、冷静に考えてみたい。
こんな優秀な人間が、小泉内閣の中心にいて、省庁のためではなく国民のために頑張ってくれていた時期が、つい数年前にあったことを。
だから道路をはじめ郵政改革が進み、日本経済が立ち直りかけていたことを。
小泉・竹中改革に対して、「弱肉強食」「市場原理主義者」「格差拡大」 などのネガティブなレッテルを貼ったのは、ほかでもなく財務省。
その財務省を相手に一歩も引かなかったのが小泉・竹中改革であり、きちんとした資料と筋書きを用意したのが筆者。
「さらなる改革」の旗を掲げた民主党。
だが、実務経験不足と、著者のような優秀な官僚を味方に組入れなかったために残念ながら官僚組織との戦いに敗れ、菅内閣以降は財務省の言うなりに踊らされている。
「政治主導ということは官僚と対立することではなく、官僚を使いこなせないからうまくゆかないだけ」 ということが言われている。
しかし、省庁の代弁者である官僚は面従腹背で、組織として使いこなすことはムリ。
要は、「改革という大仕事は信念を持った人間にしか出来ず、その信念に共感する官僚を選別してゆくしかない」 ということ。 小泉以降の1年限りの 「正味期間限定・総理」 を見ているとつくづくそのことが分かる。 
残念ながら野田さんも、その1人にすぎないだろう。

さて、この著書が言わんとしていることは、今までと全く変わらない。
今回、特に強調しているのは、題名が示すとおり650兆円にも及ぶ国民資産のこと。
たしかに、日本国の借金は1000兆円に迫ろうとしている。
しかし、政府資産のバランスシートによるとその資産も膨大で、650兆円にも及ぶ。
アメリカの資産が150兆円。つまり日本はアメリカの4倍以上の資産をもっており、世界一の資産国。
たしかに、650兆円の資産の中には土地や建物などすぐに換金できないものも含まれている。だが、おおまかに言って300兆円の金融資産は、数年以内に現金化して使えるもの。その1/10を使うだけで復興財源になるし、大不況と円高で苦しんでいる日本経済をV字回復させる気付け薬にすることも出来る。
なぜ、財務省は緊急時なのにそのカネを使おうとしないのか。
答えは簡単。 自分たちが自由に使えるカネ……ポケットに入る税金を増やしたいから。
今度の東日本大震災は、財務省にとっては増税の絶対的チャンスと考えている。
東北の人々の苦しみを救おうなどとは本気で考えてはいない。復興構想会議で、いきなり五百旗議長の口から「復興」策ではなく「増税」の話が飛び出したのは、財務省のお抱え会議にすぎないということと、本音が奈辺にあるかを雄弁に物語っている。

それなのに、新聞やテレビでは財務省のマインドコントロールが効いてか、1000兆円の借金のことしか言わない。そして、国民は常に脅かされている。
しかし、新聞が消費税に対して及び腰なのには訳があると筆者はいう。
そもそも、「日本の消費税」 と 「ヨーロッパの付加価値税」 では内容が違う。
ヨーロッパでは領収書で消費税を払うインボイス(送り状)方式が一般的。なぜインボイス方式なのかというと、最も重要な公平性が保たれるから。領収書が必須となると脱税が起こりにくい。
これに対して、日本の場合は 「帳簿方式」。現に脱税があちこちで起こっている。消費税の増税を言う前に、インボイス方式に移行すべき。
と同時に、国民総背番号制を導入すれば、アングラーマネーも一網打尽に出来る。それだけで数兆円の税収アップになり、消費税の税率アップも防げる。
そういった、やるべきことをやらずに消費税アップ一本ヤリで進んでいるのに、新聞は反対しない。
消費税が次第に高くなってゆくと、食料品などの生活必需品の税率を低くしなければならない。イギリスでは食料品と新聞が生活必需品としてみなされて税率がゼロ。
新聞の税率をゼロにするため、読売新聞は社外監査役に財務省OBの丹呉氏を迎い入れたと筆者は説く。ネットなど最新のメデアには消費税をたっぷりかけ、新聞だけは必需品という名で税金を逃れようと画策している証拠だという。
もしこれが事実だとしたら、国民の新聞に対する信用ますます無くなり、一段の新聞離れが進もう。

次は、大問題になっている円高対策。
著者は1999年にノーベル経済賞をとったコロンビア大マンデル教授の「マンデル・フレミング理論」を紹介している。それは、「財政出動による景気対策の効果があるのは為替が固定相場の時代であって、変動相場の時代はむしろデメリットになりかねない。効果があるのは金融政策」 というもの。
1980年代から90年代に日本が犯した過ちがこれ。
たしかに大規模な公共投資で内需も雇用も拡大した。しかし、国債を発行して民間からカネを集めるから金融引締めになる。当然金利が高くなり、円が買われて円高になる。当然のこととして輸出産業が打撃を受け、公共投資による効果を相殺し、国債と言う借金だけが積み重なって残る。
1992年から2000年までの補正予算の規模は総額130兆円。これは、経済政策に無知な自民党をはじめとした政党と霞ヶ関の官僚の責任によるもの。
もっと早く金融緩和に踏出しておれば、あのときの円高は阻止出来た。
そして、阪神・淡路大震災の復興過程では財政支出が先に決まり3ヶ月後には円高になり、6兆円もの円高対策費を追加せざるを得なかった。
この苦い反省に立って、今回の復興財源は日銀直接引受しかないと著者は断言する。しかし、3月25日の衆議院財政金融委員会で、当時の野田財務大臣がこの日銀直接引受方式を知らないことを暴露した。こんな財務大臣で円高対策が出来るのか・・・と疑問を投げかけている。
もちろん、現在の円高はアメリカやヨーロッパ経済の足踏みが大きく影響している。
しかし、大震災と原発被害とタイの水害に苦しんでいる日本の円が買われるのは、財務省と日銀の無策のせいだと、素人の私なども考える。

すでに何回も紹介しているので詳細説明は省くが、20年来の日銀のデフレ政策を根本的に変え、4%の経済成長なくして借金を減らすことは絶対に出来ない。「最初に増税ありき」 であってはならない。 まず、デフレ根絶と4%の経済成長策を議論すべき、との論調は一貫している。

そのほかにも、紹介しなければならない点が山ほどあるが、紙数が尽きた。
最後に、著者が挙げている 「日本が復活するには7つの処方箋」 だけを羅列する。
詳細な説明をしておれないので、各自で読んでいただきたい。

@600兆円を超える政府資産を「国民資産」に。
A政府主導による大胆な金融緩和。
B基幹税の時限減税。
C税制改革の推進。
D政治主導を実現するための公務員制度改革の断行。
E公務員の給与と人員の削減。
F地方への分権移行。

考えてみれば、2年前までは全ての政党が唱えていたことばかり。
変質したのは、民主党をはじめとした政党の方。ポイントを押さえない改革意欲は、虚しく空回りするだけ。その結果、財務省だけをのさばらせてきた。
この本を読めば読むほど閉塞感にとらわれて絶望したくなる。
たしかに、著者の言う通り戦後の日本は輝かしい経済成長の成功体験にとらわれ、つい油断をして この半世紀に亘って改革らしい改革を行ってこなかった。
唯一の小泉改革も、そのメリットを評価せずデメリットだけを並べで、臭いものにフタをしてきた。
だが、客観的にみるとこの国の潜在力は低くない。老朽化したシステムの重圧でポテンシャルが発揮出来ないでいるだけ。
時代に適合出来ない古い物は必ず滅びて行く。
財務省主導と言うバカげた時代は、不慣れな民主党政権が生み出した一時的な現象。
「この国は、きっと生まれ変わる」 という著者の言葉を信じたい。


posted by uno at 11:14| Comment(0) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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