2011年11月25日

胡錦涛主席とメル友?  中国で最も有名な27才の日本人 (上) 


中国で反日デモが起き、あるいは尖閣諸島問題が起こると、民主、自民、公明、共産党をはじめほとんどの政治家は発言を控える。 左翼系の人々も黙る。
そして、桜井よしこという右傾おばちゃんなどが担ぎ出され、「中国人なんかやっちまえ。正義は常に日本の側にある」 と、典型的な内弁慶の負け犬が、遠吠えする。
だが、他に真相に迫るコメントがほとんど見当たらない。 このため、中国に対する概念は、非常に悪いものにならざるを得ない。

たった1回しか中国を訪れたことのない私には、中国を語る資格がない。
しかし、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国になった中国には、否が応でも関心を持たざるを得ない。
年に最低数冊は、中国関連本を漁る。
ごく最近読んだ本に 尹銘深著「中国で勝つ10の原則と50の具体策」(東洋経済) がある。 これは商売の実用書で、中国人の考え方や習性を的確に理解させてくれる。
そして、実際に中国で商売をしている多くの知人の、信頼関係を構築するまでの苦労の並大抵でないことを 痛く感じさせられた。 
隣国だから付き合いをしなければならない。 だが、一党独裁で民意を無視したワイロ役人の天下。自分の出世しか考えない自我慾の塊の国民性。 インターネットも規制と検閲だらけの国・・・・・本音で言うならば、「付き合いたくない相手」 というのが私を含めた大多数の日本人の考えではなかろうか。
そういった私共の考えを、根底から突き崩してくれるのがこの著。
加藤嘉一著「われ日本海の橋とならん」(ダイヤモンド社 1500円+税)

P1050180.JPG

内容は、政治そのもの。
本来だと、政治問題に触れるのはタブー。
だが、この著の政治談議はやたらと面白い。私の偏った浅い常識を次から次へと破壊してくれる。
27才とは信じられないユニークさ。
いや27才だからこそ、こだわりのない発想が出来るのであろう。
ただ、経験が乏しい若者の最後の章の提言は稚拙でいただけない。
1つの提案として聞くが、経済的な裏付けを欠いたこの程度の提言で日本が立ち直れと思ったらなら大間違い。 最終章にはがっかりしたが、それ以外は必読に値する。
あえてタブーを破り、2回にわたって日中間の政治問題を俎上にのせる。


父親が事業で失敗し、恵まれない家庭で育った筆者は、中学1年生の時に 「日本を出て国連の事務局で働く」 という明確な目的を持ったというから驚く。
厳しい生活環境という試練が、中学生を鍛えたのだろう。
国連で働くには英語力が不可欠。
このため毎日飽きることなく英語の辞書をめくり、自転車での往復時は声を出して一人二役で英語の会話を続け、図書館で辞書を引きながら英字新聞を読んだ。
このおかげで山梨学院高校の2年生の時には ほぼ英語をマスターし、貿易会社からの英文和訳のアルバイトで月に10万円程度稼ぐようになったというからすごい。 コンビニやファミレスのアルバイトとは訳がちがう・・・。
そして、2003年に北京大と山梨学院大が学術協定を結ぶことになり、北京大幹部の2人が訪日することになった。国連職員になるためには母国語、英語以外にもう1ヶ国語を喋れねばならない。もしかしたらと考えていたら、偶然にも学長室で北京大の幹部に会うことが出来、得意の英語で意見を述べるチャンスに恵まれた。 ここぞと語った。
「面白い学生だ」 ということになり、北京大初の国費留学生として学部4年間、修士2年間、計6年間の学費、寮費、生活費が中国の国費で賄われることが決定した。またとない僥倖。

4月に北京大に赴いた筆者に、もう1つの幸運が待ち構えていた。 
例のサーズ・ウィルス大騒動。 
このため、北京大は半年間休校。 もし休校していなかったら、中国語の語学力が身についていないまま授業を受けることになり、途中で落伍していたかもしれない。
何しろ北京大の定員は東大と同じ3000人。 しかし、東大生は受験人口75万人から選抜されるが、北京大生は1000万人の受験者の中から選ばれる。 分子は同じでも分母が13倍。 
それだけに東大生よりはツワモノぞろい。全員が毎朝6時に起きて 寒い外で英語の専門書を音読。
語学力は東大生の比ではない。
3年後の2006年に、著者は日中の交流を目的に企業やメディアの協力を得て、東大生と北京大生が相互訪問し、経済協力、安全保障、歴史認識、環境問題などを徹底的に討論するフォーラム「京論壇」を立ち上げている。 
フォーラムに参加した東大生の全員が、「語学力、プレゼン力、パソコンを駆使する能力の全ての面で北京大生の方が上回っている」 ことを認めざるを得なかったという。

そんな環境に入ったのだから、中国語が出来ないのは大きなハンデ。 
たまたまの休校を利用して、筆者は語学力、中でも話す力の習得に全力を傾注。
その勉強法が 独創的で面白い。
毎日、大学内の売店の2人の中年女性と 1人は5時間、もう1人とは3時間、いろいろ工夫をこらしながら計8時間の世間話。
そのあと警備員と1時間世間話をして、彼が読み終えた「人民日報」をもらい、全頁を4時間かけて音読しながら読みつくす。
その外、食事時には単語を覚えたり、ラジオを聞いたりで 朝から晩まで中国語漬け。
この成果で、「ニーハォ」 程度しか知らなかった18才の青年が、3ヶ月後には翻訳のアルバイトを始めたというから畏れ入る。

この筆者に、訪中2年目の05年の4月10日の午後4時過ぎに、ある韓国人留学生から、「香港のテレビ局が、反日デモの現場を見た北京大生のコメントを求めているらしい。受けてみないか ? 」 と話しかけられた。
「面白そうだね。やってみるか」 と言ったら5分後に香港フェニックステレビのディレクターから携帯へ電話が入った。
番組は今日の夜の10時半からの生放送。 キャスターは中国全土で人気のある通称 「タイガー」 と呼ばれる胡一虎氏。 北京と上海と香港をつないでキャスターと対話をするという三次元中継。 北京のスタジオにはスーツ姿で午後9時半までに入ってほしいとのこと。
中学時代から駅伝に打ち込んできた筆者は、あれこれ考えるよりランニングをすることにした。 1時間ほど走って汗をかき、シャワーを浴びたら心の迷いはすべて消え、頭脳がすっきりした。

生放送が始まると、キャスターのダイガー氏は著者に語りかける。
「加藤さん。貴方は昨日の反日デモを見に行ったそうですが、どんな理由からですか ? 」
「日本人としてデモの様子は気になるし、直接自分の目で確かめないかぎり彼らの主張がわかりませんから・・・」
「身の危険は感じなかったですか ? 」
「感じません。大学の中国の友達はフレンドリーに接してくれています。 周りの日本人留学生も多少動揺していますが 元気に生活しています」
「このような事態に巻き込まれて、あなたは不快な思いをしたかもしれない。 そこで聞きたいのですが、こうしたデモを招いた原因は、中国と日本のどちらにあると思いますか ? 」
いきなり、剛直球が投げられてきた。
日本人である以上、中国におもねて日本批判をする気は毛頭ない。 かといって安易な中国批判をしたのでは反日の火に油を注ぐことになりかねないし、身の安全も保障されない。

大きく息を吸って、一気にこう言った。
「デモが起こるにいたった背景には、日本の国連常任国入りの議論、総理大臣の靖国神社参拝、日米同盟の台湾への影響力強化など複合的な要因が存在しました。 それに対して、愛国主義教育の強化によって高揚していた中国人民のナショナリズムに火が付き、爆発したのです。
中国人も日本人も、今回のデモは外交的な案件であることを理解しています。 外交的な案件である以上、どちらかの一方に非があるというものではありません。
双方の国にはそれぞれの考えがあり、歴史的なバックグランドがあり、国内に特殊な問題を抱えています。 ですから、問題を解決するには日中双方が抱える原因を慎重に探りつつ、互いが建設的に議論してゆかねばなりません。
ただし、もし日本の政治家の中に、今回の反日デモに対して頭ごなしに中国を見降したり、侮辱する発言をする人間がいたとすれば、それは日本人として恥ずかしいことです」
一瞬、スタジオに静寂が流れた。
そして、翌日から著者の北京生活は一転。 中国メディアからの取材が殺到するようになった。

現在では年間300回以上の取材を受け、北京大学のどの教授よりも多くのコラム・論説文を各種メディアに執筆している。中でもイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」の中国語版は、中国の知識人の必読紙と言われている。そのフィナンシャル・タイムズの筆者の「第3の眼」というコラムは、世界がどのような目で中国を見ているかという視点が注目を集め、胡錦涛国家主席も読んでいるらしい。
このほか、CCTVや香港のフェニックステレビの人気報道番組にも出演しているし、年に100回余の講演もこなしている。
胡錦涛国家主席とは、主席が訪日した08年5月の直前に、北京大の学生代表として握手をし、歓談している。 そして、08年3月に開設したブログは半年で1000万アクセス、現在は5500万アクセスを突破。 メル友であるかどうかは分からないが、著者のブログに国家主席も時折訪れているという。
ともかく、中国共産党の幹部とのコネクションを持っている。
この結果、27才の若僧が、「中国でもっとも有名な日本人」 であるらしい。
まさに、メディア時代の落とし子。

伊藤忠商事の元会長の丹羽宇一郎中国特命大使の存在は、日本では有名。
しかし、中国の一般人には無名。
むしろ、27才の加藤嘉一の名の方がはるかに通っており、中国人に大きな影響力を持っている。
まさに、民間の日本人大使といっても過言ではない。

その民間大使が、どのように 「内側から中国を見ているか。その中でどのような視点が中国人の心を捉えているのか」。
そのポイントを、次回は見て行くことにしょう。


posted by uno at 08:42| Comment(2) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この人、中共の飼い犬だって、中国人が言ってましたが、真相はわかりません。
Posted by 大連人 at 2011年11月28日 03:05
しっ!馬鹿な爺に言っても分かる訳無いって
Posted by at 2012年10月01日 21:57
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。