2011年11月29日

究明された福島原発事故原因・・・細野原発相&大前研一の快挙 !


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このブログは11月20日付で掲載したもの。
しかし、内容の一部に間違いがありましたので、訂正して再掲載したものです。
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1週間前にY.Sさんに電話した時、「福島第一原発はメルトダウンしたが、実は福島第二原発も東海第二原発もクビの皮一枚で事故から免れていたのです・・・」 と教えられ、びっくりした。
その2日後の15日に、日経BPのネットに大前研一氏の長い記事が掲載され、同時に10月28日に大前研一氏から細野豪志原発相へ提出された中間報告書が発表された。それを読んでY.Sさんの発言内容の重大さを再確認しました。
最近、原発に関する著書がやたらと多い。私も10冊以上読んだが、事故原因を追究した科学的なものはなく、ほとんどが昔の繰り言や憶測ばかり。 正直なところ読むに値しない。
その中にあって、この原因追究の報告書は光っている。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111115/290563/?ST=rebuild
http://pr.bbt757.com/2011/1028.html

この2つを開くと、おおよそのことは分かるが、小学館の月2回刊雑誌「SAPIO」の12月7日号に投稿された大前氏の記述が一番わかりやすいので、それを中心に紹介したい。

P1050159.JPG

そういえば、大前研一氏は東工大原子核工学卒。
日立で2年間、高速増殖炉の設計に携わっていた経験がある。その後マッキンゼー社に転職し、経営コンサルタントとして名を上げてきた。
したがって、原発問題を語らせるには最適任者。
福島原発事故に対する国の動きはあまりにも鈍重。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告はやっと12月26日に行うことが決定。 国会の事故調査委員会にいたっては未だにメンバーも決まっていない。 こんな有様では来年5月には全国の原子炉が止まり、日本は深刻な事態に直面する。 それなのに、与野党も民間も発車ベルの鳴らない鈍行列車に座って、ひたすら待ったまま・・・。
ともかく事故原因を正しく究明し、それに基づく的確な安全対策を早急に実施して、地元住民の理解を得なければならない。

事故直後からその必要性を痛感していた大前氏は、7月に細野豪志原発相に会い、密やかに次のような提案を行った。
「政府が、必要な情報にアクセスするのを許してくれたら、ボランティアで事故原因を分析して3ヶ月以内に再発防止の「セカンド・オピニオン」をまとめる。 次の3ヶ月でIAEA (国際原子力機関) に説明し、電力業界に必要な改善策を実行させる。 そして次の3ヶ月で地元住民の理解を得て、再稼働出来る原子炉は再稼働させる。 つまり9ヶ月あれば、全ての原子炉が止まるという最悪の事態は回避出来るかもしれない。今すぐ着手することを認めてもらえるかどうか・・・」 と。
これに対して細野原発相は素早く反応し、「ぜひ、お願いしたい」 と同意し、秘密裏にプロジェクトが動き出した。

このプロジェクトが秘密裏に進んだのには訳がある。
もし、報告書がまとまる前に、「大前が勝手に調査に乗り出している」 などと報道されてしまうと、保安院をはじめ学会など外野席からの雑音で、リポートの正確さが担保出来なくなる怖れがあったから。そのため、極秘裏に調査を進めた。
そして、細野原発相の指示もあり、東電、日立GEユニークリア・エナジー、東芝などの関係企業、並びに原発の実務経験者、原子炉の設計者などプロ中のプロからこぞっての協力が得られた。
その人たちに、大前氏がプロとしての質問書を提出してデータを出してもらい、そのデータの分析を進めたところ2ヶ月で事故原因調査作業は終了。 3ヶ月も必要なかった。
これが、原発村の委員会に任せていたら、立場への配慮とか思惑が絡んで、簡単な作業が意味不明なものに変質してしまう。 そういった意味でも、秘密裏のプロジェクトへGOサインを出した細野原発相の英断に敬意を表したい。

この調査でわかったことが2つあると大前氏は言う。
1つは、必要なデータは、ほとんど直ぐに入手が可能だったということ。質問してからデータが出てくるまで1週間以上かかったケースはなかった。
2つは、政府が説明してきたことと、今からやろうとしていることには真実のカケラが1つもないこと。
例えば、福島第一原発1号機は、大震災が発生した3月11日の午後6時46分ごろにメルトダウンが始まり、翌12日の午後3時36分には水素爆発が起きている。 メルトダウンなくして水素爆発が起こるわけがない。 それなのに、菅内閣がメルトダウンを認めたのはそれから2ヶ月後のこと。 如何に菅内閣は危機管理能力がなかったかという証左。
また、政府がIAEAに提出した報告書では、事故原因が、「想定外の津波によるもので、津波対策が不十分だったから」 と書かれている。 このピント外れの報告書に基づいて原子力安全・保安委員会がやろうとしているストレステストというコンピューター・シミュレーション。 こんなストレステストで地元住民の納得が得られるわけがない。

事故を起こした福島第一原発の1〜4号機と、同じ大津波に襲われながら事故が起こらなかった福島第一原発の5〜6号機、福島第二原発、女川原発、東海第二原発。
福島第一原発1〜4号機と 他の原発ではどんな違いがあったのか ?
この点に絞って調査・分析を行っている。
すると、両者の違いは全電源を喪失したか否かの差であることが判明。
全電源を喪失したから冷却水を送り込むポンプが動かせなかったというだけ。
福島第一原発の5〜6号機。 同じ立地なので地震で変電所が壊れ、津波に襲われている。
ところが6号機の空冷式非常用ディーゼル発電機が水没しない高所においてあったから、1台だけが動いた。 このおかげで5号機にも電力を融通して冷却が出来、冷温停止にまで持ってゆくことが出来た。
ちなみに、福島第二原発と女川原発は、外部交流電源が1回線のみ健全。 東海第二原発は外部交流電源のすべてを喪失したが、非常用ディーゼル発電が健全であったため、いずれも“首の皮一枚”で事故を免れた。

P1050171.JPG

一方、福島第一原発1〜4号機は、非常用ディーゼルは全て地下1階に設置されていたから水没。海水を汲上げる非常ポンプも海側に並んでいたから津波で壊滅。外部電源を取り組む電源盤も水没。直流電源は3号機だけが中2階にあったため生き残ったが、充電を取組む所が水没して8時間しか持たなかった。
ということは、非常用電源の冷却用ポンプが常用電源の冷却ポンプと並んで設置されていた「設計思想」そのものに問題があったのでは、という疑問が浮上。
そこで、原子力安全委員会の「設計指針」を読み返してみたら、こんなことが書いてあり、びっくりさせられた。

「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が期待出来るので、考慮する必要はない」
「非常用交流電源設備の信頼度が高い場合においては、設計上、全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい ! 」
今回の原発事故の直接的な原因は、この設計指針を作成した経産省とお抱え学者にある。
つまり「人災」。
東電も日立も東芝も、この設計指針に基づいて原発を造ってきた。
こんなバカな設計指針を作成した原子力安全委員会が、全ての責任をとるのがスジ。
それに、安全神話の最後の砦であった格納容器が、実はメルトダウンに対して全く弱いと言うことが今回判明した。これは、世界の技術者が直ちに共有すべき重大事項 !!

しからば、解決策は何か ?
冷却さえ出来ればメルトダウンが防げるのだから、どんな大きな地震や津波があろうとも、あるいは飛行機の墜落事故やテロに襲撃されても、「原子炉の電源と冷却源は絶対に確保する」 と言う設計思想に大転換をすることこそが肝心。
その対策は意外とシンプル。
「電源と冷却源を多様化・多重化すること」 だとして、具体的な提案を行っている。
その具体論は多岐にわたっているので省略するが、それほど難しいことではなく、例えば20メートルの防潮堤を築くよりもコストは格段に安く、工事も数ヶ月で完了すると強調している。

保安院のストレステストが終わったからと言って、地域住民は絶対に安心しない。
何が起きても電源と冷却源を確保出来る原子炉でないと、絶対に再開してはならない。
この原則が完全に守られていることが納得できると、地元の行政長も地域住民も安心出来る。
このプロジェクトの提言が、どれほど早く与野党の賛同を得て実施に移されてゆくかを、皆でしっかりと見守りたい。

最後に、大前氏は次のように述べている。
もはや、日本では新しい原発建設は不可能だろう。 既存の原発の延命も難しいので、30年後には日本の原発はゼロになる。
それまでは、「何が起きても電源・冷却源を確保出来る」 という条件をクリアした原子炉を、地元住民の理解の上で再稼働させてゆく。
そして、寿命がくるまで利用する。
その間に、再生可能エネルギーへの転換を30年計画で進める。
「これこそが、もっとも現実的な選択ではなかろうか ? 」 と。



posted by uno at 14:03| Comment(0) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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