2011年12月15日

家庭用デシカの発売開始が来秋になるのは避けられない


ビル用のデシカはたしかに画期的な商品。
RC造そのものは気密性がよい。
このため、中層RCビルにデシカを採用しても、隙間からの湿度の侵入出を考える必要がなく、Q値が低くてもそれなりに湿度コントロール機能を発揮している。
高層建築は風雨に曝されるので、鉄骨カーテンウォール造もそれなりの気密性能があり、Q値が低くて冷暖房費はかかるけれども、デシカの湿度コントロールに支障をきたすほどのことは生じていないよう。もっとも、気密や断熱性が悪いビルだと、ダイキンの方で事前に断っている。
ビル建築は、吊り天井になっており、その懐の中でITを含む配線、給水・給湯・排水・スプリンクラー・ガスなどの配管、空調・換気のダクトを配している。ビル用デシカ500m3のダクト径が断熱材を含めて250φであったにしても、問題になることはない。

ところが、来秋から発売予定の250m3の家庭用デシカ。
すでに、東北で2台の試作機を実際の住宅に取り付けて、一年に亘るデータを取得済み。
この意義は非常に大きく、データ内容は社外秘となっているので一切発言するつもりはない。
ただ、現時点のシステムには改良して欲しい点が何点かあるし、データから改善点も多く発見出来たよう。
こうした改良、改善点を取り入れて、10点程度の試作機を春頃までに手造りし、再度データをとる予定と聞いている。
したがって、春頃につくられる第2次試作機については、いろいろ試行錯誤してアイディアを練っている最中と推定。

ただ、大きな問題点が浮上してきたのは事実。
それは、現在のビル用250m3のデシカには、若干だが暖冷房機能が付いている。
したがって、夏期に冷房運転するとダクトの外側に結露が生じる。
これを防ぐために25ミリの断熱材で包み込む必要がある。
したがって、ビル用250m3のデシカの径は150φだが、外径は200φになる。
すでに触れたように、全面的な吊り天井を前提にしたビル工事では、この200φなど問題になることはない。しかし、木造住宅ではこの200φのダクトをどう処理するかは大問題。
住宅用デシカのダクト径が150φではなく125φで良くなったに仮定しても、外径は175φ。
問題そのものの本質は変わらない。

ダイキンはビル工事で大きくなってきた会社。
ダイキンの社員や関連会社のダイキンエアテクノという工事会社でも、住宅用のダクト工事を実際に担当した経験のある社員はごくわずか。
住宅用では、今まで200φのダクトはセントラル空調換気システムでしか使ったことがない。
ダイキンの全館空調換気システムには、エアーカルテットがある。
ハーティホームは98%がセントラル空調換気システムだった。
しかし、東京以外のエアテクノ社で聞いたところでは、エアーカルテットを販売し、施工した経験者はほぼゼロ。
つまり、木造住宅で本格的なダクトの経験がない者ばかり。
それが、いきなり家庭用デシカで200φのダクトを扱わねばならないのだから、この壁は予想以上に大きな障碍。

私が初めてダクト工事に取り組んだのは25年前。
その時は、ビル用工事業者に頼みこんで、何とか板金で箱型のダクトをつくってもらった。
その後、かつてGE社(ゼネラル・エレクトリック)の大型の空調機の施工をやったと言う工事店に巡り合え、なんとか手離れ良くダクトをこなすことが出来るようになった。
そして、最終的にはオリエンタル冷熱の三澤社長を中心とする優れた工事業者に出会えて、ダクト工事の苦労から解放された。しかし、設計面のチェックは 最後まで目が離せなかった。
現在、コンスタントにセントラル空調換気システムをこなしている住宅メーカーは地所ホーム、三井ホーム、東急ホームなど数社に限られている。このうちの地所には菱電が、三井には東芝、東急にはデンソーが付いているので、ダイキンにコンスタントな需要が全国的に回ってこない。
つまり、社員にも住宅専門の下請け工事店にも手慣れてプロがあまりにも少ない。
これがネックとして浮かび上がってきた。

ダイキンには大勢の技術者がいる。
大卒者のあこがれの職場として、日経新聞の調査では上位10数番目にランクされるほど。
英語と中国語が喋れるのが当たり前。
利益の70%以上を海外で稼ぐ文字通りのグローバル企業。
ただし、ほとんどが機械科とか電気科、化学科の技術者。
建築や住宅に精通した技術者はいない。
とくに、世界の住宅換気基準を熟知している技術者が不在で、木造住宅のディテールや構造、現場に明るい技術者となると皆無とは言わないが、現在の中枢には見当たらない。
したがって木造住宅のダクト対策として、外部の専門家を交えたプロジェクトチームを編成し、まず問題点を把握して対策を用意することが最優先課題。
どんなに頭が良くても、現場を知らないと発言権はない。

家庭用デシカの特徴は、まず気密性が良い家でないと湿度コントロールが出来ないという点にある。
その最低の気密性能については、メーカーでいろいろデータを取っている。
これはどこまでも私の推測だが、C値は最低で1.2〜1.5cm2/m2になるのではなかろうか。
しかし、私の仲間には内規として最低でR-2000住宅並みの0.9cm2とし、出来たら0.5cm2以上とすることを提案したい。
そして、デシカの空調機能を活かすためには、最低のQ値も問題になる。
その辺りの検討も進められていると思う。

そして、問題になるダクト設計のポイント。
第1は、絶対に排気ダクトと給気ダクトを交差させないこと。
重ね合わせると400φにもなる。木造住宅で、40センチもの上下の空隙をつくることは不可能。
第2は、ダクト工事を安くするポイントはダクトの長さを可能な限り短くすること。
よく、開口部のすぐそばまでダクトを伸ばし、天井から冷暖房を吹き降ろす設計を標準仕様としているメーカーがあるが、これは明らかにQ値が低い住宅用の不快設計のダメ見本。
第3は、上下階を結ぶ最低のダクト空間をあらかじめ確保すること。
第4は、メンテナンスが容易な設計であること。クレームが発生した時、即時に対応出来る位置に機器が設置されていなければならない。
第5は、ダクトスペースとして天井の一部を下げる窮余の設計は極力避けること。
これらを設計のマニュアルとしてまとめ、若手設計士を研修して簡単に活用出来るようにしてゆかねばならない。

この設計マニュアル作りに併行して工事マニュアルづくりも急がねばならない。
第1のポイントは、吹き出し口の位置。
住人に出来るだけ風を感じさせない位置と方向に、さりげなく設置すること。
第2のポイントは風量の調整。
これは個々の部屋の吹き出し口ではなく、分配器でミリ単位での調節が可能なノウハウがすでに存在している。ノウハウ料を払ってもその技術を一般化することが肝心。
第3は、ダクト送風による騒音のクレームを皆無にすること。
これは一見難しそうに見えるが、いろんなシステムで皆無化が進んでおり、それほど難しいことではない。
第4は、200φのダクトをうまく配するために、メーカー、工事店、あるいはビルダー側のいずれかで、平行弦トラスを用意してゆくことも考えてゆかねばならない。
第5は、比較的低額料金でのメンテナンス契約を顧客と締結し、その実行を長期間に亘って確実に保証すること。
これは本来ダイキンの仕事だが、信頼出来る優れた工事業者との直接契約の方が有効な場合が多い。企業が大きくなるとどうしても役所的な対応になってしまう。大学病院の先生よりも、地元の診療所の主治医の方が消費者にとって安心出来る場合が多い。
こうした施工マニュアルと家庭用デシカの取説に基づいて工事業者の研修を行い、チェック表に基づく検査を確実に行なわなければならない。

それだけてはなく、施主のための「住まい方マニュアル」作りも併行して急がねばならない。
これは、いきなり完成品が出来るとは限らない。
施主の多面的な意見と経験を汲み上げて、順次改良してゆくことがベター。

家庭用デシカを売ると言うことは、今までの「うるるとさらら」のように、店頭で売り放しというわけにはゆかない。
施主の生活習慣を一変させる機器。
そして、どちらかというと施主の方から採用希望が出されてくる商品。
ビルダーにとっては、今までになかった200φのダクト工事が伴うので最初はそれほど乗り気がしない商品。しかし、一旦軌道に乗れば差別化が出来る有力商品。
そして、ダイキンにとっては今までのビル用とは別に、ビルダーの意見や工事業者の意見を吸い上げる住宅専用の組織を立ち上げてゆかねばならないだろう。
家庭用デシカを採用するには、このような段取りが不可欠。

したがって、これらをすべて用意し、生産を開始するまでにはやはり時間が必要。
2〜3の方から何故早く出来ないのかとのメールをいただいた。
ここに書いたことは、すべてメーカー側に確かめたわけではない。私の推量もかなり入っている。
そして、価格的な問題を含めてまだまだブラックボックスも多い。
それらを含めて、やはりじっと待つしかないようだ。
だが、春頃にはダクト径を含めた最終商品のメドが得られるだろう。そしたら、事前にダクト工事をしておいて、本体だけを後で取り付けることが可能になるかもしれない。


posted by uno at 06:59| Comment(2) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 中山大障害 2011 at 2011年12月17日 07:30
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Posted by モバゲー at 2011年12月18日 03:04
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