2012年01月30日

消費税の前に円高・デフレ対策を!  それには体制維新が!


安達誠司著「円高の正体」(光文社新書 740円+税)

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円高には、「良い円高」 と 「悪い円高」 があるようにマスコミは書き、テレビやラジオで放送している。
たしかに、円高の時に旅行をすると 普段は20万円もする旅行代が14万円で上がったりするので儲かったような気になる。
輸入サッシも安くなり、ドイツのU値1.0Wのサッシなどが使えるようになる。だから、これを良い円高と言いたくなる。

これに対して、自動車や家電などは国際的に割高になり、韓国などに大きなハンデをつけられて負け、国際収支は赤字に転落。
それだけではない。
本来、1ドルは100〜120円程度のはず。
これだと、単に工業製品だけでなく、日本の木材や農水産物が海外へ売れる。
それが売れず、日本の山は税金を大量に投入しているのに間伐や林道整備が進まず、環境が破壊され、雇用機会が失われ、所得と賃金は下がる一方で国内の建設需要も先細り。
多くの林業関係者や木軸の工務店は、狭い視野で外材を目の敵にしている。
頭を冷やして考えて欲しい。 外材が悪いのではない。
本当の敵・・・・犯人は、円を高くして、国産材を輸出できない環境をつくっている日銀と財務省。
その日銀や財務省の方針を、政治家が強く糾弾して改善させるべきなのに、菅さんも野田さんも谷垣さんも 財務省や日銀の代弁者となって、専ら消費税の増税を叫んでいる。
ミイラ取りがミイラに成り下がっている。
箸にも棒にもかからない、大バカ者たち。

特定の業界とある立場の人だけを瞬間的に見れば、よい円高があるように考えてしまう。
しかし、長い目で見た場合は、「円高は悪」 ということがハッキリしている。
下の内閣府・日銀の資料を見れば一目のように、円が高くなると、日本の名目GDPが大きく減ってきている。日本全体の所得がガタ落ち。

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つまり、一部の旅行者は喜んでいるかも知れない。
だが、お土産をたくさん買い込んで帰国したら賃金が下がっているとか、最悪の場合にはリストラされるということになりかねない。
よい円高というのは、歴史的に見てもあり得ない。
それなのに、09年に死去した速水元日銀総裁は、05年頃の著書の中で、「円高は日本経済にとって良いことだ」と述べた。
「自国の通貨が強いことを、各国の中央銀行が目指している。円高は、日本の発言力に直接、間接的に影響を持ってくる。したがって国際的な発言力を持つためには、円高を目指すべきだ」 と書いている。
ほかならない日銀の総裁が言うのだからと 「そうかな」 と思ってしまった人も多かった。
しかし、速水総裁がやったことはデフレの推進であり、円高による国民所得の低下であった。
その愚策を、前福井、現白川総裁が反省もなく引き継いでいる。
アメリカが 恥も外聞も捨ててドル安を実現するために努力している時、殿様商売の日銀だけが民間の苦しみを顧みず、国益を失うことに全力を傾注している。

為替レートは、一部のトレーダーの考えによって動くものではない。
トレーダー達は瞬間的な儲けるために動物的な勘で動いているだけ。
為替レートは見えない神の手によって動かされている。
その神の手とは、各国の 「予想インフレ率」。
日本のインフレ率がどの程度になり、アメリカのインフレ率はどの程度になるか。
日米のインフレ率の差を予想して、トレーダー達は先行する。
著者は、各国の予想インフレ率は、「各国の中央銀行の金融政策で決まる」 と書いている。
一例を上げれば、次のような経緯をたどってインフレ率は上昇する。

@金融緩和政策で、中央銀行が取引市場に積極的に資金を提供する。
Aこれは、中央銀行がもっとインフレ率を上げたいと言うメッセージだと、銀行は捉える。
B中央銀行は本気でインフレ率が上がるまで金融緩和を続けるようだと、やがて銀行が受けとる。
Cすると、銀行の予想インフレ率が上昇し、国債や株を買ったり、貸し出しを増やしたりする。
D予想インフレ率が上昇すると普通国債の価格が下がり、インフレ連動債の価格が上がる。
Eそして、自国の通貨安という為替レートの変動が起こる。
F予想インフレ率が上昇すると、株価も上がる。
G銀行の貸出しが増えると、予想インフレ率はさらに上昇する。
H現在のドル安円高は、アメリカの予想インフレ率が高く、日本は低いと誰も予想しているから。
Iこれは、日本の円の総量が、アメリカのドルの総量よりも少ないということ。
J国のモノやサービスの総量より国全体のお金の総量が少ないと デフレになる。
Kデフレはモノの値段が下がるだけでなく、社会全体の賃金も減り続ける。

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上図は総務省、厚生労働省の資料。
コアコアCPIとは、消費者物価指数からエネルギー価格の変動影響を除外したもの。
これを見ると1997年から物価よりもサラリーマンの平均給与の方が下回っていることが良く分かる。
こんなひどい経済運営をしているのに、なぜ日銀がその責任を追及されないのか ?

L賃金が下がるとデフレスパイラル現象が起こり、ますますリストラや企業の海外移転が起こる。
Mデフレの原因の一つが現役世代の減少にあると言われているが、世界中で現役世代が減少している
 中にあって、デフレが起こっているのは日本だけ。現役世代の減少がデフレの原因ではない。
Nそして、日銀の態度が改善されないから、いつまでも日本のデフレが続くと世界の人が考えている。
だから日本の円高は止まらない。

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この図の出所はOECD。世界の先進国のすべてが 物価が上昇するインフレ政策をとっているのに、日銀だけがデフレ政策を固持している。このため、日本だけが名目経済成長率がマイナスもしくは横ばいという情けない現実。

筆者は日本が名目2%成長を目指すには、現状の121兆円のマネタリーベースにあと29兆円を余分に供給して150兆円にすれば到達できると書いている。
名目4%成長を目指すなら79兆円を追加してマネタリーベースを200兆円にすれば可能だと断言。
日銀が、各銀行の当座預金口座に十分なマネタリーベースを供給し続けると、次のような変化が起こってくる。
@銀行はインフレがくると予想し、株や外債の運用を増やす。
Aすると株高と円安が進む。
B企業の収益が改善し、景況感がよくなり、日本全体の予想インフレ率が進む。
Cそれが、株高と円安をさらに進める。
D設備投資が起こり、関連企業にも波及する。
E給料が上がり、新規採用が増え、失業率が低下する。
F日本がデフレから脱却出来る。

さて、日銀という ならずものの首に、誰が鈴を着けられるか、である。
それは、単に政策の変更だけで解決できる問題か、どうかである。
単なる政策転換だけでは出来ない。
それには、日銀だけでなく財務省や政治家を含めた体制維新が必要であると説くのが下記の著書。
橋下 徹・堺屋太一著「体制維新――大阪都」(文春新書 850円+税)

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この本は、昨年11月27日の大阪市長選挙を目標に10月31日に出版されたもので、きわめて政治色の強い本。
語っている内容は、自民党でも民主党でも日本を変えられないのは、現状に合わなくなった既存システムを変えようとしていないから。
同じものを大量生産するためのシステムと、同質の人間をつくり続けようとする教育と意識が、世界の需要にマッチしなくなってきた。
したがって、政党の選択とか政策の転換程度の表皮的なことでは、日本を変革出来ない。
今、求められているのは体制そのものの維新。

そのことを、橋本新大阪市長と、堺屋太一氏が熱く語っている。
堺屋太一氏だけでなく、大前研一氏、古賀茂明氏、高橋洋一氏らも、この維新運動に加わろうとしている。
そして、大阪維新の会は、名古屋などの地方と結びついて、大きな動きになろうとしている。
これに、石原都知事や亀井氏なども加わろうと参画しているようだが、違和感が否めない。
かつては、民主党に期待した。
しかし、鳩山由紀夫、小沢一郎に続いて菅直人、野田佳彦も維新派ではないことが明確になってきた。
自民党には中川秀直、塩崎恭久、世耕弘成、山本一太などの維新派が大勢いるし、民主党にも前原誠司をはじめ最初に成長戦略ありきとする仲間も多い。みんなの党は最初から維新の会と一心同体。

いわゆる守旧派と縁を切った大きなイノベーションのグループが党派を超えて結集し、橋下氏のような若者が核になって日銀と財務省を解体してゆかない限り、世界の中で最も秀でた能力と優しい心を持つ日本国民だけが 沈下を強いられてゆく。
それにしても財界の若手の発言力と行動力は、本当に弱くなったものだと思う。
(図が3点とも見難いことをお詫びします)

posted by uno at 05:40| Comment(0) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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