2012年02月05日

烈震で怖いのは外断熱の剥落より気密性能の喪失 !!


先月26日付の西方設計のブログで、「Q値が0.35Wで、坪単価49.8万円のリフォーム工事」 を取り上げていた。
ネットを調べたら、昨年暮れに江別の棟晶と言う会社がプレスリリースを発表していた。

http://www.best-worst.net/release_90173_1.html

その内容によると65キロのロックウールを天井70センチ、床センチ60センチ、外壁に55センチ施工している。
そして換気はドイツ・パウル社の熱回収91%のもので、サッシは1.4W。
アースチューブを大前提にしているドイツの換気装置を、アースチューブのない北海道の家に採用して結露を起こした例があったので、念のためにカタログの再点検を。
その性能をそれなり鵜呑みにし、サッシの内側にダブルハニカムを取り付けたとしても、私の概算Q値は0.66Wにしかならなかった。
1.4Wのサッシがあまりにも悪すぎるから。

今、注目を集めている札幌版の次世代住宅基準。
そのトップランナーのQ値が0.5W。
この数値を出すために各社がどれほど苦心していることか !
その苦労談議を聞いているので、上記の仕様で0.35Wを謳われると いささか疑るしかない。
ともかく、私は棟晶という会社が信用出来ないし、同社の発表数字に基づいて開いたセミナーも信用できないでいる。
きちんとした設計事務所から、SMASHで計算した責任のある数値を発表して頂きたい。
それがあれば、私は発言を取り消し、全面的に訂正文を掲載します。

さて、棟晶のQ値問題もさることながら、充填断熱の15センチは問題ないが、外断熱40センチという厚さがどうしても気になる。
地震のないドイツ。
木骨土壁造で、6階建の中層建築物を 昔から平気で建ててきている。
16センチ角の柱を使い、もっぱら鉛直荷重のみを計算すればOK。
水平荷重のことは、ドイツの建築家の頭の中からはスッポリ抜けている。
したがって、40センチの外断熱を行うことは、彼らにとっては日常茶飯事。
しかし、地震国日本では、ドイツの真似をするのは本当に許されるのだろうか ?

2004年の10月23日に発生した中越地震。
最初の発表は震度6強だったが、川口町の震度計が7を記録していただけではなく、ガルがなんと2515ガルという信じられない数値に訂正された。
その川口町で もっとも被害率が大きかったのが田麦山と武道窪。
倒壊率は史上最悪の90%。
この山間の激震地域にはツーバィフォー工法もプレハブ工法も建てられていなかった。
旧来の木軸工法以外で建てられていた唯一がスーパーウォール。
外壁にスジカイでなく面材を使っていたスーパーウォール工法のみが、この烈震地の中にあって倒壊を免れていた。

震度7の直下型の地震の怖さは、夕食の料理をしていた主婦の言葉が雄弁に物語ってくれている。
「台所で、フライパンで料理をしていました。そしたら、下からドーンと突き上げられ、空中に30センチも飛び跳ね上げられたように感じました・・・」
この強い突き上げで、ホールダン金物がナットの部分で先端が千切られたのをはじめとして、何本ものホールダンが大きく変形していた。
ホールダン金物がこの有様だから、角金物、プレート金物、コーナー金物などは気休めに過ぎず、ひとたまりもなかった。

RIMG0186.JPG

この現実を目撃してきたから、直下型の地震が間近いと騒がれている東京周辺では、出来るだけ外断熱を避けたいと言うのが懸命な願い。
サッシと除加湿換気の方にカネをかけて、出来るだけ206の充填断熱材だけにしましょう !
外断熱なしで、必要な0.8W〜1.0WのQ値を得るようにしましょう ! 
との提案しているのは、この中越地震という強烈な経験値があるため。
もし、どうしても外断熱を採用するなら、タイル張りでも安全と言うKMブラケット方式にしたい。
KMブラケットによる外断熱厚は10センチまで。
それ以外で可能な方法はないかと考えたが、次の案しか浮かばなかった。
1階の206の床を20センチ程度オーバーハングさせる。20フィートの206のスタッド材をそのオーバーハング床と210の屋根タルキに金物で固定する。そして、構造用合板で外周全体を固める。
これだったら外断熱の剥落は避けられるだろう。

しかし、窯業系のサイデングやモルタルではなく、北海道ではガルバリウム鋼板の外装仕上げが増えてきているという。
たしかに軽量だが、40センチ厚のものが突き上げられると大きく揺れる。
どの範囲までなら安全かを、北総研辺りで実験をしていただきたい。 
ただし、直下型ではない震度6弱までの横揺れだったら、40センチでも剥落の心配はすくないはず。
そして、万が一剥落した場合はビルダーが責任を持って復旧工事を行う と言う特約が交わされていて、お互いに合意の上での40センチの外断熱なら問題はない。

そして、ほとんどの人が気付いていないが、一番問題になるのは断熱よりも気密性能。
断熱性能は、外断熱だといくらでもリフォーム改修が出来る。
しかし、直下型地震で構造躯体に生じた隙間を補修することは、非常に困難。
川口町の武道窪で、倒壊しなかった唯一のスーパーウォールに住んでいる奥さんの、次の言葉が私の心にグサリと突き刺さった。
「倒壊しなかったことに、心から感謝しています。しかし、この家は前の家ではありません。全ての柱が浮き上がって沈んだので、あちこち隙間だらけ。昔は静かな家でした。しかし、今は前の坂道を通る車がふかすエンジン音がうるさくて、安眠できません。気密性がこれほど大切だということを初めて知りました。しかし、いくら直しても、前には戻りませんよね・・・」

直下型の大きな地震から木軸工法の気密性能を守るには、私の素人判断だと内壁の間仕切り壁も含めて全ての柱にホールダン金物を付ける必要がある。
突き上げられて変形したのは、何も外壁だけではない。
内壁の柱と壁も浮き上がって、一列全部の柱がフロアーの上にズレて落ちていた現場があった。
外から見れば外傷がなく被害はゼロ。
しかし、ほとんどの開口部の隅のクロスには亀裂が入り、ベバーバリアに損傷が懸念されるものもあった。
このクロスの亀裂は震度6のスーパーウォールの現場でも目立った。 長岡のツーバィフォーのスーパーウォールの現場ではこの亀裂被害がなかった、とトステムから聞いている。
さらに、震度7地域は多雪地域なので、柱が4寸どころか5寸のもが多い。
その2つ割とか3つ割のスジカイは厚い。
その厚いスジカイが圧縮を受け、面外へ坐屈し、主要な内壁の石膏ボードを吹き飛ばしてしまっていた。
揺れの方向にもよるが、2つ先の部屋まで丸見えというところもあった。
倒壊は避けられたが、このような被害は枚挙にいとまがない。

ところが、建築界のエキスパートや木構造のプロや大手住宅業者の誰一人として、全壊しなかったスーパーウォールの現場へ入っていない。
地震の専門家も、撮影して回っていたのは倒壊現場だけ。だから建築学会の中越地震の発表内容は、非常につまらなかった。
倒壊しなかった現場にこそ木軸工法の改善のヒントが転がっていたのに・・・。
私は資料と考えをまとめて杉山英男先生に報告に行こうと考えていた。
ちょうどその時、先生逝去の悲しい知らせ聞いた。新しい木質構造についての素案の提案先を失った。

残念ながら、トステムには木質構造に精通した社員が私の知っている範囲ではいなかった。
このため、貴重な資料は死蔵されたまま。
渡部建築の貴重な体験は、ほとんど語り継がれていない。
せいぜい私が、ブログ・今週の本音で囁いてきただけで、杉山先生のような社会的影響力が全然ない。
そして、最近の木軸によるQ-1運動やパッシブハウス運動を見ていると、気密性能に対する構造的な対処が少なすぎるように感じる。
木質構造が分からない人が、Q値だけで木造を語ってもらっては困る局面もある。
次の大震災に襲われた時、高気密住宅の評価が一気に崩れ去りかねない・・・。
杉山先生が亡きあと、本来は安藤先生に検討して頂き、安藤先生から発信して頂いてこそ社会的な意味があるとは考えるのだが・・・。
ともかく素案を述べてみたい。

私の考えは非常に単純。
北海道の多くのビルダー仲間が考えて、実行している木軸とツーバィフォーの良いとこ取りをした合いの子工法。
まず、1階の床は206材プラットフォーム。北側斜線の関係でセイの大きな材は都心では使えない。
柱の太さは、外周が14センチの206角。内部は9センチの204角の集成材。
この柱を2.0間から3.0間の間隔に入れ、間に206と204で組んだ壁パネルを入れて、2階の床外周に410または412の胴差を金物工法で取り付ける。
その上に2階の壁パネルを取り付け、406ないしは408の敷桁を金物で取り付け、屋根は206〜210のタルキ架け。

工事はまず土台と大引きを敷き、その上にHD-N25のホールダン金物をダブル使用で 外周は606の集成柱を建てる。
その間へ、206で加工した壁パネルをはめ込んでゆく。
国産スギの206材だったらより歓迎。
そして、合板は工場で張っても現場施工でも良い。ポイントは隅から455ずらした位置から張り出す。

P1050540.JPG

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柱から柱へ面材を張っていた今までの木軸の最大欠点は、柱間隔だと上図のように震度6以上だと絶対と言ってよいほど開口部周りのボードに亀裂が入る。
それが隅から455ミリの間柱から張り出すと、開口部の4隅はくり抜いたボードの中に収まり、亀裂はほとんどなくなる。
それと、公庫の枠組壁工法の仕様に基づいたクギとピッチを守れば、12.5ミリ厚の石膏ボードが耐力壁として認められ、耐震性が大幅に増す。
と同時に内壁にスジカイを入れる必要性がなくなり、いざという時の面外坐屈という被害から逃れることも出来る。

P1050558.JPG

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そして、運送面の関係から、最大2間から3間のパネルをはめ込んでから胴差と敷桁で壁パネルを抑える。
そして、壁パネルから柱へCN90クギを打って一体化。
今、ツーバィフォー工法のパネル化に伴って、長いパネルが運べず、外壁が一体化していない危険な現場を時折発見して背筋が寒くなる。
それが、柱――壁パネル方式だとツーバィフォーパネル化が持つ最大の懸念が解消できる。
また、胴差と敷桁が窓マグサを兼ねさせているので、壁の断熱部分が増え、壁の熱貫流率はそれだけ良くなる。
そして、理想は3×9合板を現場で張って、より一体化すること。これだと耐震性がより完全になる。
だが、3×8の合板を工場で張ってくる方式も認められよう。
ただし柱を跨ぐ合板と隅合板は、必ず現場施工とすることが一体化のための絶対条件。

P1050575.JPG

上図は、横架材の収まり関係図。
1階の床根太は、束立ての土台・大引きの上に206材を架けて29ミリ合板でプラットフォームを構成。
敷地に余裕があって北側斜線上 問題がなければ210でよい。
このプラットフォームが、木軸の柱の浮きあがり現象を抑えてくれる。
2階の床根太は、原則として212でありたい。そして、南側はTJIとして、北側はダクトスペースとして使うために平行弦トラスであることが理想的。
もちろんスパンの小さな住宅の場合は210でもよい。
天井根太は206を原則とし、小屋裏を機械室などとして使用する時は、根太は208または210として、必要なところだけ合板張りとする。

これを、金物工法推進協議会あたりで共同申請して特認を取ってくれれば、誰でも金物と一緒に簡単に使えるようになる。準オープン化工法として期待出来る。
国産材の活用に道が拓けるし、木軸の欠点と パネル化した時のツーバィフォーの欠点がカバー出来、耐震性能が一段と増す。

それだけではない。木軸で一番懸念されている烈震時の気密性能の劣化が、この工法を採用することによってほぼ一掃できる。
これこそが、これからの高気密・高断熱時代の最大のメリットと言えると思う。


posted by uno at 19:27| Comment(2) | 木質構造と林業・加工業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by ご近所Mail at 2012年02月07日 10:23
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Posted by マッハ55 at 2012年02月10日 05:15
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