2012年05月15日

ハーティホームOB客に対する朗報。3.2万円+出張費でエレメント交換 !


住宅メーカーでセントラル空調換気システムをほぼ全面的に採用している三菱地所ホームを除けば、三井ホームと東急ホームのツーバィフォー系が一部に採用しているだけ。 北米に比べるといちじるしく見劣りがする。
その地所ホームは三菱電機、三井ホームは東芝、東急はデンソーという具合に色分けされている。
ダイキン工業は15年前の1997年に除加湿機能付きのセントラル空調換気システムを開発し、新宿のホテルに住宅メーカー、報道関係者など500人を招いて盛大な新商品の発表会を開催した。
ダイキンは住友系。したがって、住友不動産ホームや住林が、率先してダイキンの新商品を採用するはず。
ところが、両社とも断熱材を巻くと約200φという太いダクトを処理する技術スタッフが揃っていないことと意欲がなく、ダイキンの画期的な新製品の採用を見送った。
そして、この新商品を本格的に全面採用したのはハーティホームだけ。 スウェーデンハウス他が時折採用する程度にとどまった。

ダイキンが開発した当初の除加湿機能付きの空調換気システムは、下図のようなものだった。
img001.jpg
右手前のダクトから新鮮外気が導入される。
それを花粉フィルターでろ過し、夏期は独自の室外機を持つ除湿器で除湿されエレメントへ送られる。
四角い2個の顕熱エレメントで熱交換をするのだが、このエレメントだと温度差でどうしても水分が発生した。
したがって、エレメントの下部には両側に2枚ずつの水切りフィルターがつけられていて、溜まった水は防水盤で受けて外部へ排出。
熱交換された空気は、冬期は左側の新しく開発された透湿膜の加湿器エレメントを通過することにより、電気代がかからずに加湿された。
ただし、加湿効果を上げるには、空調機で加温した後に加湿エレメントを設置した方が、より加湿効果が高まるので図のようなシステムは次第になくなり、空調機の後に加湿エレメントを設置する方式に変わってきた。

このシステムは当初は非常に好評だった。ただ、想定外だったのは水道水には予想以上にカルキが多く、3年ぐらいたった時に透湿膜へ水を供給する電磁弁が、カルキのために閉まらなくなり、水を流し続けるというクレームが連続して4件ほど発生した。
透湿膜の周囲には水道水が注入してあり、膜の中を空気が通過する時に膜から滲み出る水分が空気層に浸みるというシステム。この水は毎日新鮮なものに取り換えられる。その時、電磁弁にカルキが挟まり、閉まらなくなって水を垂れ流したというわけ。
直ちにダイキンに修理してもらうと共に、この除加湿換気ユニットの正しい管理方法やエレメントの手入れ方法を入居者にマスターしてもらうため、毎週土曜日と日曜日にダイキンの部長と課長に交代で同行してもらい、全世帯を訪問してまわった。私が退職するまでは、間違いなくダイキンは誠意をもって対処してくれた。

しかし、今年の冬に初期の施主邸2軒を訪問した折、相対湿度は30%を切っており、いずれも過乾燥気味だった。
原因は、10年余は持つと考えられていた透湿膜が、余分なカルキのせいで10年でダメになったこと。
透湿膜エレメントの交換だけだとそれほどでもないが、給水排水の電磁弁の交換、水タンク、ゴムホースの取替え工事が伴うので8〜10万円程度の費用が嵩む。
自動車の修理代はあらかじめ予算化している家庭が多いが、24時間・365日連続運転している除加湿換気の10年毎のメンテナンス費を考慮している家庭は少ない。透湿膜の寿命は10年前後だと事前に担当者から説明させていたはずだが、伝わっていなかった。
このために、今年の秋までには透湿膜エレメントの取替えでなく、顕熱交換エレメントの取替えか、費用がかかるけれどデシカへの取替えのいずれかを選択していただくことになる筈です、と伝えた。

その家庭用デシカだが、既存のダクトはそのまま使えるので、S邸で行ったように除加湿換気ユニットをデシカに切替えるだけでよく、いたって簡単。
ただ、家庭用デシカの生産計画と価格が未だに決まっていない。
セントラル空調換気システムは、最低でも年間500〜1000棟の実績が不可欠。デシカも同じこと。
果たしてそれだけの需要を集約出来るかどうかでダイキンは迷っている模様。
なにしろ、「除加湿機能が命」 のデシカだから、気密性能が大きくものを言う。
隙間だらけの鉄骨プレハブだと、除加湿機能が大きく損なわれる。
私は、個人的にはR-2000住宅の0.9〜1.0 cu/uのC値が必要だと思う。悪くても1.5 cuの性能が必要だろう。しかし、1.0 cuにこだわると、R-2000住宅で大手メーカーが全滅したのと同じことが起こりかねない。
つまり、最低1000棟が見込めないと、設定価格はどうしても高いものにならざるを得ない。
これが家庭用デシカの思案どころであり、泣き所。
ウソでも1万棟が見込めたら、大幅に安く出来るのに…。
なんとか皆さんのために早く結論を得たいのだが、おいそれと引き出せない…このもどかしさ !

これに対して、オリエンタル冷熱が執念を燃やして頑張ってくれ、フロンティア産業のトップに話をつけて作らせた全熱交の新しいエレメント。 これだと、すぐに使える。

P1050930.JPG

写真のように、エレメント(右)の大きさはダイキンの顕熱交のエレメント(左)と同じ大きさに作ってくれている。
したがって、簡単に取り換えが可能。
そして、このシステムの特徴は、全熱交だから湿度も交換してくれ、冬期は透湿膜加湿エレメントがなくても30〜35%の相対湿度が期待出来る。
昨年暮れからオリエンタルとフロンティア産業の両社でこの機種を実際の家庭にとりつけ、データ取りを行った。残念ながらそのデータは、「温度とり」で測定したものではなく、何回かの都度の測定によるものらしい。
したがって、全面的に信頼することは出来ないが、30〜35%の相対湿度は信頼して良さそう。
というのは、Y.S邸がダイキンの全熱交ベンティエールを取り付けたとき、相対湿度は30〜35%はあり、「簡易加湿器が不必要だった」 とY.Sさんから話を聞いたことがある。
全熱交は、夏期の除湿力は期待出来ないが、冬期の加湿力についてはある程度の信頼を寄せられる。
したがって、初期のハーティホームの施主には、加湿エレメントを交換するよりは全熱交エレメントの採用をお薦めしたい。これだと防水盤に水が溜まることがないのでサビの発生が回避出来、水を供給しないので電磁弁に対する懸念も回避できる。そして、何よりも低価格。
オリエンタルでは、新しいエレメントの価格は1個が1万6000円。2個必要だから3万2000円。
それに出張取付け代がメンテナンス契約者の有無、距離の遠近によって3000から8000円程度の差がある。 いずれにしろ4万円以内で収まる。
ガスバリア.jpg
レンゴーのガスバリア性透湿膜についての理論的な説明を、メーカーの技術者から聞いていない。
和紙をセルロース膜で加工したビスコース加工紙を採用しているので、水分が当たっても劣化の心配がないという。
さらに透湿度加工されたガスバリア性透湿膜は、図のように熱と水分は透すけど、CO2、CO、臭気は遮断してくれる。つまり、今までの全熱交とは異なり、浴室やトイレからの換気もOKで、全然問題にならないとのこと。
どうもこのあたりは、私の理解力を越えている。
フロンティア産業の6角形の形状では、顕熱は90%熱回収をし、潜熱は74%。したがって全熱の熱回収率は78%と高効率。しかし、4角のダイキン型エレメントだと若干性能が落ちる。
疑問のある施主の方は、是非メーカーに聞き質して頂きたい。

お断りしておきますが、エアカルテット以降の商品については、私の退社後に登場したものなので、残念ながら私は語る資格を持っていません。
あくまでも初期のOB客対象の話だと割り切って、参考にして頂ければ幸甚。

posted by uno at 06:18| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一条工務店が現行の全熱交ベンティエールの代替としてデシカを採用すれば、条件とされる年間1000棟や住宅性能がクリアできて、ダイキンとともにwin-winの関係になれる気がするのですが、世の中そうは都合良く行かないものでしょうか。
Posted by warrior at 2012年05月15日 21:03
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