2012年06月10日

ゼロエネルギー・ハウスを8000棟も!  一条のイノベーション(上)


一条工務店という会社は、メディアにとっては嫌な会社。
ともかく、テレビ広告もしなければ、一般紙誌だけではなく、業界専門紙誌への広告出稿もない。
メディアにとっては、広告主は神様。
大新聞の「住宅特集」というと、広告主である大手プレハブメーカーなどが取り組めるテーマを掲げて、しきりにヨイショしている。
大手住宅メーカーが取り組める範囲内での「長期優良住宅」とか、省エネ、高性能住設、太陽光発電などの創エネ、エネルギー管理システムのHEMSなどのスマートハウスがどこまでも中心。

ところが、今年はゼロエネルギー・ハウスが中心になり、経産省が施主に350万円支払う補助金制度を今月22日締め切りで進行中。ゼロエネルギー・ハウスとゼロエネルギー・ビルの両方で予算は70億円。 半分が新設ハウス用だとすると1000棟の枠。
一方、国交省は年間50棟以下の中小ビルダーに対して、32.1億円の予算を計上して、1棟当たり165万円を補助する。対象棟数は1400棟。これも今月22日が締め切りで、各ビルダーはてんてこ舞の最中。
ご案内のとおり、経産省・国交省が言うところのゼロエネルギー・ハウスとは、一次消費エネルギーがゼロであることが条件。
まず、躯体の熱損失係数(Q値)が、TU地域は1.4W以上、VW地域は1.9W以上であることが求められている。
それにプラスして冷暖房、給湯、照明など家電製品の高性能化が求められている。
さらに、太陽光発電、太陽熱発電、燃料電池などの創エネが絶対条件となり、加えてHEMSの管理システムや蓄電池なども求められている。

ともあれ、経産省枠で最低1000棟、国交省枠で1400棟、計2400棟以上のゼロエネルギー・ハウスが誕生しょうとしているのだから、記念すべきお目出度いことであり、本来はメディアが大騒ぎしなければならないところ。
ところが、国交省枠が年間50棟以下の中小ビルダーに絞られたということもあってか、それほど動きが目立たない。
もちろん大手住宅メーカーは、経産省枠に的を絞っている。
各展示場のモデルハウスで靡いている、いわゆる「○○社のスマートハウス」のノボリがそれ。

さて、2400棟の補助金は嬉しいが、正真正銘のゼロエネルギー・ハウスにするためには、一体どの程度コストが嵩むのだろうか?
そこで、大変ラフな計算をしてみた。
日本全国の住宅資材価格や坪単価が違い、発電効率が違うので一律には論じられない。
このため、3大都市圏を中止にした大雑把な数字と考えて頂きたい。
まず、住宅の規模を延べ40坪 (132.2u) に限定する。
この40坪住宅のQ値が2.7Wで、外構工事や消費税や諸経費は含まない、照明やカーテンまでを含めた本体工事費を坪55万円と仮定する。つまり本体工事費が2200万円。
この住宅のQ値を1.9Wにまで上げるには、断熱材を厚くして、サッシを性能のよいペアに変えねばならない。その費用に坪5万かかるとして、本体工事費は200万円アップして2400万円。坪単価は60万円になる。

さて、一次消費エネルギーを120kWh/uに抑えようとしているパッシブハウスの場合は、3大都市圏でQ値を0.9W以上としなければ不可能のよう。1.0Wではムリ。
一次エネルギーが120kWh/uで上げるには、二次エネルギーが44kWh/uであらねばならない。
44×132.2u=5817kWhが必要。これだけのエネルギーを賄うには発電効率の良い地域でも最低5kWの太陽光発電を搭載しなければならない。
つまり、Q値を1.9Wから0.9Wにアップするには、断熱気密性能や換気性能の良くしたり、サッシをトリプルしたり、あるいは特殊な工夫を凝らさなければならない。その費用が大雑把に見て坪10万円はかかろう。
となると、これだけで本体工事費は2800万円になってしまう。坪単価は70万円へ。
そして、さらに5kWの太陽光を搭載するとなると、補助金があっても工事費などを加えると坪5万円高くなると考えねばならない。
つまり、本体工事費は800万円高い3000万円となる。太陽光を含めた坪単価は75万円。

この概算が正しいと言い張る気持ちはサラサラない。
それぞれに間違いを指摘していただいて結構。
ともかく、次世代省エネ基準レベルの普通の住宅を、ゼロエネルギー・ハウスに変身させるには800万円ほど余分にカネがかかる。そのうちの350万円を経産省が補助してくれる。
うまく経産省の補助金にパスすれば、3000万円ではなく2650万円の予算で済む。プラス金額は450万円で、坪単価は55万円から66.25万円へ11.25万円高くなるだけ。メデタシ、メデタシ。
そして、経産省の枠が狭いので、国交省の中小ビルダー枠で申し込み、165万円ではなく200万円まで値切ったとしたら2800万円。坪70万円でなんとかゼロエネルギー・ハウスが手に入るという勘定。

もちろんこれは次世代省エネ基準の40坪住宅の本体価格が坪55万円とした場合の話であって、これが50万円であれば200万円出費が少なくて済む。
逆に単価の高いメーカー品でオプションが多く、本体価格がもともと坪65万円の場合は、400万円出費が増えて3400万円となる。坪85万円ということも大いにあり得る話。
一般常識で考えると、40坪の住宅をゼロエネルギー・ハウスにするには、太陽光発電の設置費までを考慮すると、坪単価は75万円が最低で、高い場合は85万円から100万円ということになろう。
このように、坪単価がどうしても高くなるので、経産省や国交省の補助金頼りということにならざるを得ない。

ところが、この日本で、今年度中にほぼゼロエネルギー・ハウスを1000棟とか1400棟という規模ではなく、国の補助金の有無にかかわらず8000棟近く供給するであろうというメーカーが出現してきた。

その名は、一条工務店。

最初に書いたように、同社はテレビや一般紙誌にPRしないので、同社の動きをどこも取り上げてくれない。
一般紙誌が取り上げなくても、普通は業界紙誌が大きく取り上げる。ところが、業界紙誌にも広告しないので、専門誌の記者も同社の動向やイノベーションを追わない。
このため、一条だけがブラックホールに入ったまま。

しかし、一般紙誌や業界紙誌が追わなくても、熱心な消費者はウェブで同社を追い続けている。
そして、よく私へメールが入ってくる。
一般消費者に促されて、記者でもないのに私は一条を追わねばならない立場に。
このため、一部の人からは、「鵜野は一条からカネをもらっているスパイだ」 というひどい罵言まであびせられる始末。

だから、「専門紙誌の記者さんよ。 あなた方は業者の立場に立っているだけで消費者視点が抜けていますよ。 消費者視点で、一条工務店の取材をしてください・・・・」 と切望しているのだが・・・。

posted by uno at 09:34| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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