2012年06月15日

平均7kW弱の太陽光の搭載率が90%以上  一条のイノベーション(中)


一条工務店が、「太陽電池入り合わせガラス屋根材」として、国土交通大臣の防火・準防火地域での認定を取得したのは2010年の10月。
どこまでも、太陽電池入りガラスの耐火屋根材という点に特徴がある。

それより1年前に、ドイツなどが自然エネルギーの優遇買取り制度で需要を大幅に拡大しているのを見て、経産省が4ヵ年限定で太陽光発電の優遇買取り政策の再開を発表。
私の記憶が正しければ、2009年11月1日から2010年度の買上価格は48円/kWhで10年間継続。
そして2011年度は42円、2012年度は36円、2013年度は30円と下がってゆき、2014年度には普通の23〜24円/kWhに戻るというものだった。
この優遇買取り制度で、各プレハブメーカーは色めいた。
当然、一条でもいろんな意見や要望が営業マンから出された。
しかし、国や都道府県、さらには市による補助金制度があるにしても、太陽光発電を搭載すれば100〜200万円以上の経費が増加する。その増加した分が負担となり、住宅面積を小さくするか 仕様を落とす方法でしか対処出来なかった。
「太陽光発電の費用を一般建築費から外し、その設置費を一条が立替え、なんとか売電価格で相殺するというシステムが開発出来ないものだろうか。そうすれば、家を小さくしたり、仕様を落としたりしないで済む・・・」 というのが、営業マンの最大公約数の要望。
太陽光発電では後発に過ぎない一条の試行錯誤が、そこから始まった。

経産省の優遇買取り制度の再開が動機になっているはずだから、一条が取組みを開始したのは早くても2009年の春以降と考えるべきだろう。
そして一条の場合は、サッシやダブルハニカム、あるいは真空断熱がそうであるように、シャープや京セラなどのメーカーの出来あい品を叩いて買うのではなく、どこまでも太陽電池セルをフィリピン工場で自社生産するという前提で考えた。
ちなみに2008年の世界の太陽電池セル製造用装置メーカーの、年間売上高のトップ5は下記。  6位以下は年間売上高が1.4億ドル以下と、大きく引き離れている。

1位  アップライド・マテリアル (アメリカ)  4.55億ドル
2位  Roth & Ran (ドイツ)          2.75
3位  Centrotherm (ドイツ)          2.7
4位  OC Oerlikon (スイス)          2.5
5位  アルバック ALVAC (日本)        2.4

一条は、このアルバック社の 多接合アルモファスシリコン (a-Si) を選択した。
私はセルのことは良く分からない。 
a-Si は温度上昇時の効率低下が少ないという点に特徴があるらしい。つまり、温度係数がすぐれている。
この温度係数というのは、太陽電池温度25℃を基準にして、電池の温度が1℃上昇すると発電効率が何%落ちるかを係数にしたもの。 ちなみにa-Siの温度係数は、−0.255%/℃と抜群によい。
屋根材として使うには好都合。
しかしこの a-Si は、単価は安いが面積当たりの発電量が少ない。
このため、一条が a-Si を選んだ時点で、他のソーラーメーカーは a-Si 離れを始めていたという。

さて、ここからは開発担当者に直接話を聞いた訳ではなく、営業及び設計関係者から聞いた話を私の方で勝手にふくらませたもので、どこまでも推定・・・。
それゆえに、マユツバで聞いてもらいたい。
各ソーラーメーカーは屋根一体型という商品も持ってはいるが、どこまでも屋根材の上に太陽電池を搭載するという形が基本形。 面積当たりの発電効率が最重要課題だから・・・。
これに対して、一条はどこまでも屋根材として太陽電池を考えた。
単価の安いものを、広く葺いた方が消費者のメリットになる。売電が多くなって早く償却出来る。
まして、太陽光発電に関しては施主に負担をかけず、一条がその搭載分を金利1%の超低利ローンで負担し、売電で償却してゆくには、大量の面積を確保した方がよい。
当時はシンプルモダンブームで、軒の出ていない夏の日射遮蔽性能の悪いフラット屋根の住宅が横行していた。 このシンプルモダンブームのフラット屋根に一石を投じたのが一条。

つまり、軒の出の部分や、ケラバの出を長くして日射遮蔽効果の高いデザインを採用。
陸屋根ではなく北側斜線を考慮して1.5寸勾配の片流れ屋根とし、軒の出やケラバの出の部分にまで太陽電池入れの屋根材を葺きつめた。
ただし、家庭用太陽光の買上量が10kW以下となっており、税制面でも優遇がない。このため、屋根面積が大きく確保出来る家でも、屋根材として搭載するのは9.88KWに限定。
ということになると、一部分に異なる屋根材を採用しなければならなくなる。
これは、デザイン上では大変にみっともない話。
そこで、太陽電池の入っていない同形状で同色の、屋根材のみのパネルも開発している。

あまりにも技術的になりすぎるので、屋根材の施工詳細は省略する。
ただ、概略を説明すると、208あるいは210かのいずれかで1.5寸勾配屋根パネルを工場でつくる。
それにEPS特号相当の断熱材を充填し、表面は野地合板で固める。
その上に1.1ミリ厚の改質アスファルトルーフィングを重ね代10〜50センチで葺く。
この改質アスファルトルーフィングはアスファルトを中心に、けい砂・炭酸カルシウムの鉱物質、ポリエステル不織布、SBS系合成ゴム、アクリル系塗料を一定の比率で組成したもの。
この上に受け金物、束、ジャンクションボックスなどを介在させ、空気層で浮かせるようにして屋根材が取り付けられる。
当初はいろんな施工ミスもあったが、a-Si を採用したこともあり、温度上昇や雨水漏水に伴うクレームは皆無に近いという。
そして、全ての太陽光発電のモニターをネットでつなぎ、一条が全戸の発電量を一括管理するようになってから、当初に見られた搬送時の傷や熱収縮によるひび割れ、パワーコンディショナの連携エラーによる発電不良が影をひそめてきいていると聞く。

さて、一番問題になったのは買上価格。
最初に見たように、国土交通省の認定を得たのが2010年の10月。
それ以前の段階から、同社のオリジナル太陽光発電システム「夢発電」は売られていた。
私がパンフレットを入手したのは2010年の夏。
しかし、2010年度の48円/kWhという買上価格に間に合った施主は少なかったよう。
私の知っている大部分の施主は42円/kWhが多い。
しかし、2012年度には36円になり、2013年度には30円という買上価格となる。
したがって、夢発電の消費者に対する訴訟力は一時的なもので、私はたいした影響力は持っていないと考えていた。
一条は、36円や30円、あるいは23〜24円になり、償却に15年やそれ以上かかっても、1%の金利で搭載費用を負担し、低い売電費の中から如何に早く償却してゆくかを真剣に考えていたはず。
ここにこそ、一条の太陽光発電のイノベーションの最大の特徴がある。
それともう1つは、i-cube 、 i-smart と続いたQ値が0.9Wを切る高性能住宅の開発とその急激な普及。
この高性能住宅によって単にゼロエネルギーとなっただけでなく、償却が大幅に早まった。

そして、2011年の3.11事件。
あれほどの安全神話が、福島原発事故で吹き飛んでしまった。
私は日本の技術力を信じていた。
全ての原発が、直下型の震度7近くに耐えられるように設計されており、津波対策がなされているものと考えていた。ところが、原子力村と日本地震学会は、日本の国民を裏切り、経産省を中心に不条理な安全神話をばら撒いていた。これは正しく犯罪。
そして、一転して自然エネルギーブームへ。
今年の7月から42円での買上義務が法律で決められた。
今年の3月の時点で私は慌てた。
私は、これからの十数年間という短期間に限って42円と言う高価格で買い取る制度は、正しくないと考えている。
家庭用太陽発電は、これから数十年間にわたって30円/kWh程度で買取り、日本の全ての住宅の屋根に発電装置を整備してゆく政策こそが、最も公平で、太陽光発電を確実に推進するはず。
菅前総理やソフトバンクの孫社長の言うような、投機マネーが日本の耕作放棄地にメガソーラーを敷設したら、光や雨公害が増えるだけでなく、耕作意欲の高い農家に土地が集約されず、将来の食料不足時代に大きな禍根を残すことになる。ビルの屋上や壁、あるいは工場用地以外のメガソーラー計画は、即刻停止させるべき。

しかし、いずれにしても世の中が一変し、本来は今年からの買上価格が36円から30円になるはずのものが、42円で当分の間は据え置かれる見込みになってきた。
こうなると、断然有利になってきたのが一条。
消費者は太陽光発電の搭載費用を用意する必要がなく、7〜8kWを搭載すれば10年間で払い終わり、残りの15年間は黙っていてボーナスが入ってくる。
しかも、40坪でQ値が0.9W以上で、C値が0.6cu/uという超高性能住宅が、坪70万円を切る価格で入手出来る。
ということで、今年の一条の全受注戸数は9000戸から1万戸程度と予想される。うち、木軸が30%で、i-cube、i-smart のツーバィフォーの比率が70%以上に達するのではないかと言うのが私の予想。
そして、特筆すべきは太陽光発電の搭載率 (太陽電池屋根) が90%を越えている。i-smart だと100%。
しかも、平均kWは7kWを若干下回っている程度。
したがって、どこまでもアテズッポウの私の予想だと、今年だけで6.3万kW〜7万kWにも及ぶ。
セキスイハイムの20年間に及ぶ太陽光搭載住宅は10万戸と言われている。延べで40万kW〜50kW程度。これだと一条は10年程度で追い抜いてしまう勘定。

流山おおたかの森.jpg

写真は、つくばエクスプレス・流山おおたかの森駅の近くで、今春引き渡されたばかりのオール外壁タイル仕上げの i-smart。
南側の両方のバルコニーの屋根面には持送り梁が渡され、軒の出は1.5メートルにも及ぶ。
こうして日射を遮り、屋根面積を稼いでいる。これで、太陽光発電はタダ。
そして、実際の坪単価はいくらぐらいかを、想像していただきたい・・・。



posted by uno at 11:57| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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