2012年06月20日

三井ホームは2×4住宅 No.1から転落?  一条のイノベーション(下)


ネット上の情報によると、一条工務店が売上高で三井ホームを僅かながら上回ったのは2010年。
それまでの一条は、どこまでも木軸工法が主体で、住友林業に大きく水を開けられている田舎人好みのダサイ住宅会社にすぎなかった。

ご案内のように、日本の新設住宅着工戸数は08年までは100万戸台をキープしていたが、リーマンショックを受けた09年には100戸を大きく割り込んで79万戸、そして10年は81万戸、11年は83万戸と低迷を続けている。
爾来 住宅業界は、どこを探しても不景気な話ばかり。
その中で10年、11年、今年と、好調な受注を見せている唯一が一条。
場合によっては、今年は1万戸の大台を突破するかもしれない。
そして、これはどこまでも私の個人的な推測に過ぎないが、今年は受注の70%以上がツーバィフォーで、場合によっては戸数で三井ホームを凌駕し、ツーバィフォーNo.1企業になる可能性が高い。

ツーバィフォー工法がオープンしたのは1974年。
その年に三井ホームは産声を上げ、以来37年間にわたって 「ツーバィフォーNo.1企業 三井ホーム」 という大看板を守り通してきた。
これに対して、木軸でスタートした一条が ツーバィフォーに本格的に参入したのはたった4年前。
09年の秋に、一条は206の壁パネルで、札幌・手稲に初めて i-cube というモデルハウスを建てた。

壁パネル施工_1.bmp

これはQ値が0.74Wというパッシブハウスに匹敵する超高性能住宅。しかも価格が50坪で53万円とこなれていた。
しかし、札幌の地元のビルダーの中には、同程度の性能住宅だと50坪ではなく 40坪で53万円を切って施工している会社があったので、それほど強烈な印象は与えなかった。
しかし、大手住宅メーカーは、セキスイハイムを除いて1.0WのQ値を切ることが出来なかった。
その中で、一条が0.8Wを上回ったと言うニュースは、衝撃的だった。

この札幌・手稲に I-cube を建てた年に、一条は太陽光発電の自社生産化計画を練っている。
これが、前回述べたように国土交通大臣認可を10年10月に得ている。
この太陽光の開発と並行して、一条は3つの大きな開発を同時に進めていた。
1つは、それまでのi-cube の場合は2階の床根太に採用していたのは210材。
これだと、スパンがどうしても2間半しかとばせない。
そこで、床根太に212を採用した i-smart を開発。
そして、この i-smart は太陽光の搭載をほぼ絶対条件とし、屋根勾配を1.5寸とした。

それと、もう1つ進めていたのが内装部材、部品、設備機器のデザインと機能の一新。
一条を貶す合言葉は、「ダサイ!!」。
この言葉さえ使えば、大手住宅メーカーは一条を圏外へ追放することが出来た。
住宅業者が内部造作や部品、設備機器を新しいものに変えるのはいたって簡単な仕事。
今まで使っていたものを止めて、建材・設備メーカーの新しいものを採用すればよいだけ。
全てをアウトソーシングしている住宅メーカーにとっては、内装の変更などは鼻歌まじりの出来ごと。
ところが、原木や合板から自社で加工している一条にとっては、内装部材、部品、設備機器を一新するということは大ごと。生産ライン全部を見直し、在庫を一掃し、生産マニュアル、設計マニュアル、施工マニュアルを変えねばならない。
これは、口で言うほど簡単な仕事ではない。
実際に切り替え途中のモデルハウスを見て、人ごとながら冷や汗が出てきた。
八王子に建てられた i-cube のモデルハウス。11年の春に訪れたのだが、洋室は新しいものに変わりダサさがなくなっていた。しかし、階段室の造作や色彩には手がつけられておらず、和室にしても一部のケーシング類にしても古いまま。
一部が新しくなったことで、逆にアンバランスさが強烈に印象づけられた。
そして、11年の夏が過ぎて同社のデザインは一新。ダサさが完全に失せた。

それともう1つがPVCの防火サッシの認定取得。
09年に発覚したPVCサッシの防火認定偽装事件。エクセルシャノンからノウハウを導入していたHRDシンガポールも被害者の一人。
偽物に高価な対価を払わせられていた。
早速防火試験炉をつくり、PVCのFIX、開き窓、2枚引違い、3枚引違いで認定番号を得ている。
サッシメーカーの対応の鈍さに対して、その対応の早さは称賛もの。

私はこれを、 「一条の2010年の歴史的イノベーション」 と名付けたい。
●住宅の性能値を、世界のトップクラスのQ値0.9W以上の高性能とし、C値も0.6cuというコン
スタントな測定値を担保。
●販売価格も、消費税や諸経費、外構・照明・カーテンを抜きにして40坪で60万円台を維持している。
もちろん、床暖房やセントラル換気設備費込み。
●今までのダサかったオールドファッションをモダンで機能的なものに一新。
●太陽光発電機能を備えた屋根材を開発し、平均して7kWを搭載。
●しかも、搭載に要する設備資金は一条が負担し、売電で10年以内に償却して消費者に還元出来るシ
 ステムを考案した。 このシステムにより、太陽光の搭載率が90%を越えるまでになってきている。
●自社によるPVCサッシの防火認定の取得により、準防火地域にも対応出来ている。(ただし、教えて
もらったECとEBの認定番号を、国交省の厖大なネット上で確認出来ないでいるが・・・)

ソーラーパネル施工[1].jpg

写真は、i-smart の1.5寸勾配と異なり、急勾配屋根における太陽光発電機能を持った屋根材の施工例。

こうしたことの結果として、たった4年間で一条工務店はツーバィフォー工法におけるトップメーカーに踊り出た。 極論すれば太陽光付きの高性能住宅は入れ食い状態で、一条の独断場。
誰もが考えられなかった奇蹟のイノベーションを、遠州の田舎サムライにすぎなかった一条が、この大不況の中で成し遂げた。
ところが、この歴史的な事件を、ほとんどのメディアが取り上げていない。
また、地場ビルダーも相見積のチャンスが与えられていないので無関心のままでいる。
貴方の会社の売上が落ちているのは、決して不況だけの影響ではないですよ。
自分の知らないところで、一条に仕事が取られているからですよ・・・。

考えて見て欲しい。
あのパッシブハウスにしたところで、一次エネルギーは120kWh/uもかかっている。
しかも建築コストが高い。これをゼロエネルギーするには、さらに百数十万円の投資が必要。
それなのに、一条の i-smart は燃費がゼロ。 文字通りゼロエネルギー・ハウス。
太陽光の搭載費が10年以内で償却出来るほどの高いエネルギー効率。もちろん、これは42円という強制的な売電買上制度によるのだが、この制度が出来てから一条が考え出したのではない。3年前から買上価格が30円を切っても実施しょうと考えていた・・・。
そこに、値打ちがある。

プロが知らないうちに、消費者はドンドン動いている。
一条で建てた人や、これから建てようと考えている人が、太陽光までも含めると約300人近くがせっせとブログを書いている。
世の中が大きく変わろうとしているこの現実を、まず知って頂きたい。
そして、敵はドイツのパッシブハウスではない。  国交省や学者先生が弄んでいるLCCM住宅などは問題外の外。
手ごわく、年間8000戸ものゼロエネルギー・ハウスを、補助金なしで横取りしょうとしている一条工務店こそが最大の競合相手。

さて、この競合相手と闘ってゆくにはどうすべきか?   どうしたら消費者を呼び戻せるか?
これが今、すべての地場ビルダーとメーカーに課せられた非常に重い課題。
今までの常識の延長線上では、絶対に解決策はない!!
一条以上のイノベーションが、どうしても不可欠!!

(注) なお、太陽光の記載に関して、ハンドルネーム「まか」さんのデータを多用させていただきました。




posted by uno at 14:07| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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