2012年07月20日

不燃LVLで、14階建の木造住宅が日本でも可能に !?


18日から20日の今日まで、東京ビックサイトで 「建築再生展」 が開催されている。
内容は、ビルやマンションのリフォームやリニューアルが主体の展示会。したがって、参加する気がサラサラなかった。
ただ、一般社団法人として認定間際の、「都市防災不燃化協会」 が、国産のスギのLVLで14階建の住宅計画のセミナーを行うと仄聞したので、炎天下の中を19日に出掛けてきた。 運動不足を補うために駅までの往復を含めて2万歩以上歩いたので汗ビッショリ。
しかし、それだけの価値があった。

さて、講師の小林博人慶応大学院政策メディア研究科教授。 木質構造や不燃木質関係では聞いたことがなかった名前。 帰ってプロフィルを調べたら、京大建築科卒で、日建設計に籍をおいたこともあり、ハーバードデザインスクールで学んだ建築・都市設計が本職。
木質構造には、とくに詳しいわけではないらしい。
http://k-ris.keio.ac.jp/Profiles/0180/0011568/profile.html

それと、もう1つ予備知識が必要。
それは今年の4月21日に、石巻市で行われたホウ酸で不燃化処理を行った合板とLVLと、無処理の合板とLVLで建てられた小型の躯体の火災実験。
主催は都市防災不燃化協会の準備室で、支援者には石巻市と森林組合、セイホク、アサノ不燃、慶応大学などが名を連ねている。
用いられたのは国産スギ材で作られた15ミリ厚の壁・床合板と30ミリ厚のLVL根太。
片方はホウ酸処理をし、片方はホウ酸処理なし。
住宅の火災実験は、少なくとも30坪の住宅で、サッシも取り付けられた本格的なものでなされる。
しかし、この実験は、「簡易・燃焼確認実験」 と呼ばれる程度のもので、サッシも入っていないむき出しの合板の箱に火をつけただけのもの。
http://www.cellfunen.co.jp/f_seinou/jikkenn1.html

この簡易実験では、ホウ酸処理のしていない箱は3分間で2階床が燃えだし、7分には2階床が燃え落ち、9分間でLVLの根太をも燃えて倒壊。
一方、ホウ酸処理をした方は、常に新しい酸素が供給されていたが、箱が燃えておらず、煙も臭いも皆無。
実験は15分程度で終了し、2階の燃焼状況を確認したところ、床、壁、障子、カーテン、家具は一つも燃焼しておらず、煙も臭いもないのでそのまま居住していても安全だったという。
つまり、アサノのホウ酸処理だと、間違いなく不燃と言える。
同社は、このホウ酸処理のことを、「セルフネン処理」 と称している。 この「セル」 は、木質の「セルロース内にホウ酸が定着コーティグ」 しているところから名づけられたもの。

小林教授.JPG

さて、ここまでの予備知識の上で、小林教授の話を聞いて頂きたい。
ただし、都市防災不燃化協会 (審理中) が設けた小さな会場は、天井に大きな照明が2つ付いており、この照度を落とすことが出来ないので、スクリーンに写される絵や写真はことごとく薄く霞んだものにならざるをえなかった。 数十枚をデジカメで撮影したのだが、残念ながらほとんどが紹介出来ないようなものばかり。 このため、説明がどうしても不十分に…。
確かに私の腕も悪いが、主催者側の準備不足と会場の設定の不十分さが大きく物を言っていることをご了解いただきたい。

20センチLVL.JPG

14階建ての住宅を建てる時、まず建築物の中心に20センチ厚の不燃LVLで、階段室とエレベーターのコアをつくる。
上が20センチ厚のLVLの壁。

コアの原型.JPG

その20センチ厚のLVLで、このような形状の原型を造る。

コアを組み合わせ.JPG

それを交互に組み合わせることにより、14階建のコアが完成する。

コアに床や壁.JPG

このコアに、壁パネルと床パネルが合体したものを、金物併用で取り付けてゆく。
残念ながら、この木質構造が、どのようなシステムで水平力に対応しているかが理解できなかった。

外壁を最後に.JPG

そして、最後に外壁を取り付ける。
この外壁は床を支えているが、水平力に対する剛性はどのように計算されているかが不明。
つまり、プラットフォームの床剛性にも、壁剛性にも、納得出来る説明がなかった。
そういった諸点を質問したいと思ったが、いきなりLVLの燃焼実験に移ったので、聞き出すチャンスを逃してしまった。
残念。

燃えるLVL.JPG

写真はホウ酸処理のしていないLVL。
1分も経つと、たちまち炎が上がり、煙が出る。

着火しないLVL.JPG

燃えないLVL.JPG

しかし、ホウ酸処理をしたものはなかなか着火せず、3分経っても煙が出ない。臭いもない。

表面だけが炭化.JPG

ほんの表面だけが薄く炭化したのみ。

この計画は、単にLVLの不燃化だけで進めているのではないらしい。
新日鉄も加わって、LVLの中にH型鋼を内蔵させたものを併用することも考えているらしい。
無垢のランバー材の芯にH型鋼を組み込んだものがすでに市販されており、実用化されているから あり得る話ではある。

木造駅舎.JPG

そして、将来は上図のような木造駅舎建築物も可能になる。

木造ビル.JPG

また、H型鋼と組み合わせた柱・梁構造によるビル建築も可能だという。

いずれにしろ、防火認定機関の試験装置が満杯のために実験が遅れているが、今年度一杯には国交省の正式な認定を得て、14階建の住宅の建築が可能になる見通し、とか。

また、不燃LVLが加工された場合の予定設計単価は、40〜50万円/m3 という。
まだまだ不明な点が多いが、日本ではクロス・ラミネーテッド・ティンバーよりも先に、不燃LVL建築が姿を現すかもしれない。

それにしても、我ながらあまりにもお粗末な取材で恥じ入るばかり。
だが、一つの可能性が拓かれようとしていることには、ご同慶としたい。


























posted by uno at 11:50| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。