2012年08月20日

2030年に原発比を15%にするのは困難? (下)


前回、世界で3番目という2347万kWもの資源があり、2030年度までにそのうちの600万kWの開発を期待している資源エネ庁の地熱発電の実態を見てきました。
もしそれが可能であれば、100万kWの原発5〜6基に匹敵するので、見通しは明るい。
しかし、200億円を投資しても、必ずしも3kWの地熱発電が約束されていないとなると、投機マネーは見向きもしません。
2020年に福島県で27万kWの開発を予定している出光興産のような計画が、あと22ヶ所も出現してくる可能性は、非常に低いのではなかろうか。
地熱発電では100万kWの原発3基分がマキシマムだ、と考えるのは間違っていないはず・・・。

となると、次に期待したいのがバイオマス発電。
8月16日の夕刊では、政府は2020年までにバイオマスの比率を全消費電力の5%にまで上げ、再生可能エネルギーの柱に育てる方針だと報じている。
5%というと、100万kWの原発7基分くらいに相当する。
地熱よりも多く、しかも2030年でなく2020年までの到達が目標だというから頼もしい。
もし、これが可能であれば、2030年までだと100万kWの原発10〜14基分まで可能になるかもしれない・・・。
しかし、新聞発表では 「消費電力の5%をバイオマスで賄うのが政府の目標」 とあるだけで、具体的な数値が示されているわけではない。
つまり、林業残材による発電がどれくらいで、藁やモミ殻によるものがどれくらい。産業廃棄物の糞尿、下水汚泥、生ゴミ、建設廃材がどれくらいになるのか・・・。
そして合計すると500億kWh程度になると言う裏付けが示されていない。
ただ、昨年度までの実績は地熱の4倍強の210万kWあるから、2030年までには100万kWの原発10基程度は期待でき、再生可能エネルギーのエースとなり得るかもしれない。
ただ、発電効率がどの程度なのか。50%なのか70%なのかを確言出来る状態ではない。

次に期待されるのが太陽光発電。
そこでもう一度、資源エネ庁の下記の固定価格買取り制度の解説書の29ページを開いていただきたい。 

http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/120522setsumei.pdf

これによると、昨年度までに住宅用の太陽光発電の実績は約400万kW。
そして、今年は昨年度の40%増の150万kWを見込んでいる。
これに対して、7月から始まった再生エネ買取り制度による1ヶ月の実績が、18日付の日経に掲載されていた。
それによると、太陽光発電が圧倒的に多く、44万kWで約79%を占め、残りの21%の12万kWが風力で占め、合計で56万kW。
水力が3件あったが規模が小さくて取り上げるほどの額ではなく、また地熱とバイオマスは買取り申し込みが7月はゼロ。
そして、太陽光発電の10kW以下の小規模施設の申込者が3万2659件で、97%も占めていたと書かれている。 だが、肝心の出力では10kW以下の住宅用が何%を占めているかの記述がない。
出力で住宅用の比率が70%を占めていたと仮定すると、7月だけで約30万kWとなる。この調子が9ヶ月連続すると270万kWとなり、エネ庁の見込んだ150万kWの2倍近い申し込みとなる。
7月の高い水準があと8ヶ月連続するとは考えられないが、200万kWの突破は堅いだろう。

上の資源エネ庁の説明資料の12ページを開いてもらいたい。
10kW以上のいわゆるメガソーラーは、ドイツの税抜きの買い入れ価格が税抜きで21.5円に対して、日本は40円と2倍近い。しかも、ドイツの買上価格は1セント1.2円の計算で、最近の実際のレートは1円以下であるから、実質は18円以下。
何回も書くが、こんな高価では投機資本を呼び、このままでは10年後の各家庭の毎月の余分な負担はドイツ並みの月1000円以上になってしまう。
低所得者には、「第2の消費税」 として家計に重くのしかかってくる・・・。
ドイツの住宅用太陽光の買い上げ価格は29円。メガソーラーよりも35%高く買い上げている。
これに対して日本は、税込では同じ42円とメガソーラーと同じ買上価格。ただし、住宅用は消費税がかからないはずだから、2円分だけ有利。
そのほか、10kWまでの太陽パネルには3.5万円/kW の国の補助金がついている。これを勘案すると、家庭用太陽光の買い上げ価格は48円/kW になるとエネ庁では言っている。
都道府県の補助金は今年からなくなったが、市や区によっては最高額で2〜15万円程度の補助金がついているところもあり、実質買い上げ価格は50円を上回っているとこもある。

そして、来年度は補助金を含めても住宅用の買上価格が48円ではなく36〜42円程度になることを覚悟すべきだと思う。
だが、20年後でも住宅用太陽光の買上価格は30円前後を制度としてキープすべきだと私は考える。
これだと投機スジの介在はなくなり、パネル価格と施工価格の低下で、7kW程度の太陽光を搭載すれば、約10年間で償却出来るという理想的な形が実現出来るかもしれない。
現在、住宅用太陽光でその先鞭をつけ、もっともすぐれたシステムを発表しているのが一条の夢発電。
7kWだと38万円/kWと高く、266万円もパネル代がとられる。
ただし、施工費は一式6.6万円で、金利は1%と安く設定しているので、1万戸に近い施主は平均で7kWの太陽光を搭載している。そして、今年の42円の買い上げ価格だとパネルが38万円/kWと高くても、その設置費は一条で立て替えてくれて、約10年間の売電で償却出来る。
つまり、施主は一銭の負担もなしに、10年間の売電でゼロ・エネルギーハウスを入手できるというのが、一条が開発したイノベーション。
私は、これは画期的なイノベーションだと思う。

つまり、住宅本体へのローンとは別に、7kWの太陽光を搭載すれば、売電で太陽光発電にまつわる一切の経費が10年間の売電で処理出来る。 住宅の性能が良く、Q値が1.0Wを上回っておれば、国の補助金が無くてもゼロ・エネルギーハウスが、8000棟以上の規模で誕生しょうとしている。
これこそが、国家が目指す省エネの本来の姿ではなかろうか。
トップランナー方式のQ値1.9Wという鉄骨プレハブの低い性能にこだわっているのではなく、木質構造でQ値が1.0Wを上回る住宅に対して、各銀行が今までの住宅ローンとは別枠を用意してゆくべき。
つまり、太陽光の売電で一切を償却する新しい「住宅用太陽光の特別融資制度」を新設し、住宅金融公庫がそれを補完してゆくという制度を、今こそ立ち上げるべき。
一民間企業である一条工務店の画期的なシステムを、国家の根幹の政策として採用するならば、メガソーラーなどという投機資本に依存しなくても、日本は国内産業を育成しながら、これから新設される全ての住宅に太陽光を搭載してゆくことが出来る。
そして、ゼロ・エネルギーハウスに向けて、力強い一歩が踏み出せる。

仮に、各戸に7kWの太陽光が搭載出来、新しい融資制度でコンスタントに年間30万戸の太陽光搭載住宅が建てられたとしたら、2030年度の住宅用太陽光発電のキャパシティは約4400万kWとなる。
これは、100万kWの原発約7基分に匹敵する。
メガソーラーかどんなに力み、大切な農地を潰してやっても、100万kWの原発1〜2基分が関の山。
ともかく、菅前総理やソフトバンク孫社長の唱える売国的な投機メガソーラーを、叩き潰してゆきましょうよ!!
それが日本の国民のためになります。

水力に関しては、日本の河川は70%利用されており、残されたのは地域限定の小さな発電しかないという気がします。

最後が風力。
北欧のように台風がなく、常に北風が吹いていてくれる立地だと、風力発電は意義がある。
しかし、立地的に見て、日本では可能性が高いのが北海道と東北。
台風銀座の四国などでは、ほとんど期待が持てない。
しかも、風力の発電効率は30%程度。
とすると、風力で期待出来るのは2030年度で100万kWの原発換算で2基程度というのが私の見通し。

さて、私の信頼性の乏しいラフ計算で、2030年に可能な再生可能エネルギーは、100万kWの原発換算で次のようになります。
・地熱発電            3基
・バイオマス発電    10〜14基
・住宅用太陽光発電     7基  
・メガソーラー発電      2基
・風力発電            2基
●合  計         24〜28基

これだと、2030年の選択としてどこに位置づけられるか。
24〜28基では、2030年に原発をゼロにするのは困難。
15%を原発に依存して、足りない分は石炭のガス化発電とかシェルガス発電に依存するしか方法がないようです。
そして、原発をゼロに出来るのは、2030年ではなく2050年近くになるのではないでしょうか。

                           
          (2010年実績)      ………………(2030年の選択)………………
                         原発ゼロ  原発15%  原発20〜25%
化石燃料        59.3%        65%     55%      50%
原  発         30.8%         0%     15%    20〜25%
水  力          8.7%         9%      9%       9%
他の再生可能エネ   1.2%         26%     21%    21〜16%
100万kWの原発換算             37基    30基    30〜23基

断っておきます。
私が作成した資料は、非常に不完全なものであり、これをもって判断の材料になるなどとは考えてはおりません。
しかし、確実な代替エネルギーの見通しがないのに、大受けを狙って原発ゼロを叫ぶ政治家などは、無責任極まりないバカ野郎だと言いたくなります。
そんな政治家には、絶対に投票しないようにしましょうよ・・・。

posted by uno at 17:04| Comment(0) | 太陽光・太陽熱・風力ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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