2012年08月25日

金子建設のゼロ・エネ住宅報告とスパン7Pのメガビーム


8月23日と24日、東大・安藤研の連続セミナーが開催され、参加してきました。
23日は、私のホームページのリンク先の岐阜の金子建設工業の「ゼロ・エネルギー・テンバー・ハウス (東濃のゼロ・エネルギー木造住宅) 」の報告。
そして、24日は会場をビックサイトに移し、「28回ジャパン建材フェア」の会場を使っての新しい木質構造材の紹介と安藤先生のレクチュアー。

ご案内と思うが、岐阜・恵那市の金子建設工業は室工大・鎌田先生が主宰する新住協の、内地における最有力メンバーで、秋田の西方設計と共にその実績を誇っている。
もともとは材木屋。
しかし、いろんな情報を提供し、地場の工務店が強くなってもらわない限り資材が売れない。
地場工務店がプレハブメーカーに負けたのでは、商売はあがったりに・・・。
このため、自ら長期優良住宅の認定をとるなど いろいろ新しい試みを繰り返して、そのノウハウを地元の工務店に広く公開してきている。
これは、何も金子建設工業に限ったことではなく、ツーバィフォー工法を推進したり、R-2000住宅を普及したり、高気密・高断熱住宅に取り組んできた全国の木材や建材、サッシ、住宅設備機器の先進的な販売店が辿っている道。

しかし、金子建設工業が少し変わっているのは、金子一弘社長が、東大農学部の安藤研の社会人学徒として数年間木質構造の勉強をし、無事卒業をしていること。 後は論文さえ書けば農学博士号がもらえるまでになっている。 多分50才台だと思うが、高い向学心に感心させられる。
そして、最近は東濃の地場材を利用した木軸工法に特化したゼロ・エネルギー・ハウスに取り組み、林野庁や国交省などの委員会に呼び出されている。
だが、安藤研の出身だから、LVLやCLTなど、新しい構造材にチャレンジし、新しい住空間の創造に邁進していると考えがちだが、木質構造的にはそれほど新鮮さは感じられない。
むしろ、デザインセンスなどは古臭く感じられる。
木材屋の域を脱しておらず、住宅屋に成り切れていないように感じる。

金子建設が中心になって働きかけ、設立された「協組 東濃地域木材流通センター」で開発したのがゼロ・エネルギー・テンバー・ハウス (Zero Energy Timber House)。
その特徴は、まず地場の「ぎふ証明材」「ぎふ性能表示材」の地杉材を採用していること。
モデルハウスは約164u (49.5坪) で、開口部にはトリプル及びペアの樹脂サッシを採用し、Q値は1.3W程度らしい。気密性能については標示なし。
そして、9.2kWの太陽光を搭載し、24kWの日産リーフの電気自動車用蓄電池を装備している。
面白いのは、ダイキンのビル用デシカ250m3を試験的に採用し、3.2kWのヒートポンプエアコン1台だけで冷暖房を賄っている点。

東濃.JPG

このモデルが、今年の3月に完成し、4月からいろんなデータ取りをしている。
しかし、紹介されたのは完成写真ではなく、上の美しくないパース図。
このパース図のあまりの魅力のなさに、呆れてしまった。
「よくこんなもので商売が出来ている・・・」と。
そして、1時間余に及ぶ金子社長の話は、大上段に構えた「省エネ談議」。
いかに安藤研で勉強したからと言っても、誰も地場の材木屋さんの一般的な省エネ談議などはそれほど聞きたいとは考えない。
それよりも、このゼロ・エネルギー住宅の建設費の内訳比率は何がどれぐらいで、実際のランニングコストはどうであったか。
また、梅雨時や夏期の温湿度はどの程度で、そのコントロールはうまくいったのかどうか。
そういった具体的な話が、データおよび写真で示されることを期待した。
それなのに、それがなかったので、消化不良でイライラさせられてしまった。

そこで、夕方6時にセミナーが終わった後で、安藤先生にムリを言って金子社長とアルコール入りで会談出来る席を用意していただいた。 東大農学部内には、恰好の場所がある。
その席上で、このモデルは5寸の柱を使っており、蓄熱のためにコマイを組んで70ミリの土壁を配しているということが分かった。
いまどきコマイを組み、土壁を弄れるのは名古屋や岐阜以外には見当たらない。
そういった意味では地域の特徴を最大限活かしたモデル。
さらに、土壁を配するためにベバーバリア層を内壁側に設けることが出来ず、土壁の下に非透湿性の断熱材をベバーバリア変わりに入れていることなど、新しい断熱手法を教えてもらった。

また、原発を大前提にした深夜電力を活用するエコキュートの能力が、電力会社や電機メーカーが言うほどの優れた効率がなくて湯冷めが激しい。
もっと太陽熱を利用するなどの工夫をこらさねば、日本の住宅は給湯の省エネ面で大きなネックになる、
という貴重な指摘。
このほか、いくつかの企業秘密に近い情報を得ることが出来た。
つまり、セミナーは期待はずれだったが、その経験値から教えられた点は実に多かった。
しかし、デシカに関する夏期のデータがダイキンよりまだ示されていないらしく、細部が教えてもらえなかったのは残念。

そして、昨日のジャパン建材フェア。
このフェアは、充実していた。
しかし、政府が唱える「スマート・ハウス」が展示のメインになっていたのは、いただけない。
住宅の断熱性や気密性、除加湿という肝心の性能面は棚上げされている。
そして、大手プレハブが採用可能な範囲のスマート・ハウス用省エネ機器が、この工務店対象のフェアでもメインになっていたのは ポリシーの欠如そのもので情けない。
スマート・ハウスと言われる内容の中心は、LCCMハウスであり、HEMSであり、エコキュートであり、太陽光であり、蓄電。そういった設備機器が必要以上に前面に出ており、本質が見失われていたのは残念な限り。
その中で、コロナの地中熱ヒートポンプ空調システムが唯一目にとまったが、地中に100メートルもの100ミリφの穴を掘らねばならず、その費用の元がとれるまでには20年以上もかかることが分かって一気に興醒め。あとは目ぼしいものが見当たらなかった。
ダイキンはデシカを出展していなかった。

そうした中で、一番目に付いたのがキーテック社。
従来の国産カラ松材のIジョイストのほかに、LVLの門型フレームやLVLのストレスキンパネルなども展示していた。
中で注目されたのは「メガビーム」という新商品。

メガビーム.JPG

写真のように38ミリ厚で、セイが356ミリのLVLの上弦と下弦部分に、同じ38ミリ厚でセイが65ミリのLVLを両側から接着剤とビスで固定して幅114ミリのI型ビームをつくる。
これだと7P (6370ミリ) までスパンがとばせる。
オーバーハングは1間まで可能という。
これを、三菱地所ホームは本格採用しているという。
つまり、3間半まで壁のない空間が可能だということ。
今までの212のIビームでは4550ミリの2間半までが限界だった。
300ピッチとかダブル入れれば、3間までは可能だったが・・・。
それが、このメガビーム方式だと、セイは356だけでなく500ミリも可能であれば600ミリも可能。
そして、455ピッチで最大スパンは12メートルまで可能という。
学校建築にも十分に応用が出来る。
なお、セイが356ミリのものだと、支点から1700ミリ離せば、220ミリのダクト用の穴も開けられる。

I型梁のダクト.JPG

しかし、356のセイでは、側根太や端根太にも356のLVLを採用しなければならず、どうしても価格が割高になる。
やはり一般住宅で使えるのは212のIジョイスト。
これだと、写真のように200φのダクトを配することが可能。
支点から穴までの距離はスパンによって異なる。
220ミリの穴だと、スパンが1820だと670ミリ。 2730だと1000ミリ。 3640だと1330ミリ。
4550だと1660ミリ。
そして、220ミリの穴と穴との間隔は440ミリが必要だという。
これだったら、セントラル空調換気用や、デシカ用のダクト配置に十分に対応出来る。

置き式3X3.JPG

これ以外では、ウッドワンが新開発した6ミリ厚の3×3尺の床置き型フロアー材が目についた。
価格は3×3尺物が2枚で設計価格は1万9000円。
アパートなどのリフォーム用などとして面白いかもしれない。








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