2012年10月30日

パソコン、携帯電話、スマホが惹き起す精神の病


ラリー・D・ローゼン他著「毒になるテクノロジー  iDisorder」 (東洋経済社 2400円+税)

iDisordet.JPG

次の場面を思い浮かべて欲しい。
◆仲間と交流を深めるサイトSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス) で、嫌味を言われた若
 者が、侮辱的な表現でやり返したので、激しい罵倒合戦が数日間も続いている。
◆大学に向かっていた学生が、キャンパス間際の駅で携帯を忘れたことに気付き、1時間目の授業を欠
 席するのを承知の上で、自宅へ携帯電話を取りに戻る。
◆会社員の夫が、家族での久しぶりの外食の席なのにテーブルの上の携帯電話から目を離さず、妻や
 子供から話かけられても、上の空の返事しかしない。
◆母親が夕食の支度が出来たと何度も声をかけるが、ゲームに夢中になっている11歳の息子は、その
 声が聞こえないないかのように画面にクギづけになっている。
◆慢性的な足の筋肉痛を覚えている女性が、同じ悩みを持つ人が集まるインターネットで情報を得て、
 通風やガンにかかっていると思いこみ、大量の情報を印刷して病院に持参し、医師に病状を訴える。
◆試験勉強をしている高校生が、無自覚のうちに教科書を数行読んだかと思えば、SNSチャンネルを覗
 き、iPodの音楽を聞き、テレビの番組に見入る。この動作を延々とくりかえしている。
◆若い女性が、フアンの女優が主演するテレビドラマに影響されて、完璧なスタイルを手に入れようと
 過度のダイエットに走る。
◆映画館で上映が終わって明るくなると、観客が一斉に携帯電話を取り出す。そうかと思えば帰りの電
 車に乗って周りを見渡すと、ほとんどが携帯電話やスマホを覗きこんでいる。

アメリカの精神衛生研究所の最新の統計データによると、アメリカ人の46%は生涯のうちに一度は何らかの精神的な疾患を患っているという。
子供や若者が不安神経症やADHD (注意欠陥/多動性障害) などの疾患に罹る率も同じほど高い。
テクノロジーが悪だというつもりはない。
テクノロジーは人々の健全な暮らしに大きく役立っている。だが、往々にしてそのテクノロジーが 自分で完全にコントロール出来ない状態になってきているのは、まぎれもない事実。
このようなテクノロジーやメディアの過剰な利用によって生ずる精神的な疾患の症状や兆候を、筆者らは
「iDisorder」 と名付けた。 Disorder (障害) という言葉に 「 i 」 を付けた造語。

◆自己愛性パーソナリティ障害   SNSという名のナルシズムなメディア・・・・私、私、私。
アメリカの精神医学会は、自己愛性パーソナリティ障害 (NPD) を「成人期の初期に始まり、様々な局面で称賛を求め、共感が欠如した広範な傲慢さのパターン」 と定義している。
そして次の特徴のうち、5つ以上が該当する場合は、自己愛性パーソナリティ障害を持つ者とされている。
(1) たとえば十分な才能や業績がないのに、優れていると認められることを過剰に期待する。
(2) 限りない成功、権力、才気、美しさ、理想的な愛の空想にとらわれている。
(3) 自分は特別でユニークな存在であり、特別な人にしか理解されず、その人々とのみ関係すべきだ 
   と信じている。
(4) 過剰な称賛を求める。
(5) 自分の望は叶うはずだと、特権意識を持っている。
(6) 自らの目的のために、他者を利用しようと搾取的。
(7) 他者の感情や欲求を認識する共感力が欠如している。
(8) 他者を嫉妬し、また他者から嫉妬されていると思いこむことが多い。
(9) 傲慢で、不遜な行動や態度を示す。

そして、自分がこの病気に罹っているかどうかを判断する40項目のテストがある。そのテストの点数が20点以上の場合に対処方法が開発されてきている。
・テクノロジーからの情報インプットを適度に調節し、出来るだけ自然の中で時間を過ごす。
・SNSとは本来意見の交換や交流を楽しむもの。頻繁な書き込みに一喜一憂していると相手を傷つける。
・電子的コミュニケーションは、生身の人間を相手にしていることを常に忘れてはならない。
・送信や投稿のボタンをクリックする前に、「私」ばかりを主張していないかを確かめる。
・メールなどは身振りや表情、抑揚などが伝わらない。勢いに任せず、読み返して表現を和らげる。
・健全な人は友達や家族を大切にしている。結びつきの弱い人とのコミュニケーションを減らす。

◆強迫神経症   24時間365日の強迫観念的なテクノロジー・チェック。
ワイヤレス・モバイル・デバイス (WMD) は、外出先でも使える便利なものだが、反面常に携帯を覗かないと落ち着かない強迫観念に取りつかれる。 マナーが失われ、心の世界を破壊する大量破壊兵器になりかねない。 
つまり、僅かな時間でもWMDを見ないと、何かを逃がしたような感覚に陥る人が増えている。 常にチェックせずにはいられない強迫観念にとりつかれた経験のあるアメリカ人は90%にも及ぶ。
メディア利用に関する不安の13項目からなるチェックリストが開発されている。 もし3項目以上が該当したら、ハイテク機器の過度な使用を控えるしかない。

◆依存症   スマートフォン、SNS、携帯メール中毒。
テクノロジー中毒になり易い性格として、衝動的、刺激追求、精神病質、社会的逸脱などが挙げられている。良く考えずに行動し、強くて楽しい刺激を追求し、攻撃的でルールに従おうとしない傾向がある。
一般的に、中毒行動は自尊心の低さと関連がある。 自尊心が低いと自分に対する良くない評価を過大に気にするようになる。 自尊心は、インターネットに費やす1週間の時間とインターネット中毒と大きく関連している。
インターネットの匿名性を利用して、無力感を一時的に忘れることが出来る。 インターネット中毒は、薬物中毒とよく似ており、多くの人がなり易い。
これを避けるには、外へ遊びに行く。植物を育てる。スポーツをする。良書や新聞を読む。囲碁や将棋などコンピューター依らないゲームをする。などがあげられる。

◆躁鬱性障害   浮き沈みの仮想世界の共感と躁鬱。
インターネットテクノロジーに関わることで、鬱や躁の症状に似た兆候が現れるのは明らか。
躁鬱性障害 は、人口の4%が発症し、アメリカの平均発症年齢は25歳。
躁の特徴は、 ・長期間続く高揚感、多幸感。 ・過度におこりっぽくなり、動揺が激しく神経過敏の興奮状態。 ・早口で喋り、気がコロコロ変わる。 ・すぐ気が散る。 ・目標指向の活動が増える。 ・落ち着きがない。 ・睡眠時間が短い。 ・自分の能力を過信。 ・衝動的に派手な散財、セックス、向う見ずな投資などに走る。

これに対して鬱の特徴は、 ・長期間続く不安や空虚感。 ・以前は楽しんでいたセックスなどへの興味を失 う。 ・疲労を感じ動作が緩慢。 ・集中力がなく決断が出来ない。 ・落ち着きがなく怒りっぽい。
 ・食事、睡眠に変化。 ・自殺を試みたりする。
ともかく、ミディアを多用するほど症状が進行する。
ともかく、躁鬱症と判断されれば、専門家に相談して、薬と心理療法で手当てする以外にはない。

◆ADHD (注意欠陥、多動性障害)   テクノロジーが注意力を奪ってゆく。
ADHDはアメリカの3歳から17歳の子供520万人も罹っており、全体の8.4%にも及ぶ。
その典型的な症状は、 ・宿題や仕事で不注意のミスが多い。 ・細かいところまで注意が及ばない。
 ・作業に集中することが困難。 ・離しかけられても耳を貸さない。 ・指示に従わず仕事を完成出来な  い。 ・計画的行動が出来ない。 ・長時間の努力が精神的に出来ない。 ・必要な道具をなくする。 
 ・直ぐに気が散る。 ・日常的に忘れごとが多い。 
こうした中で、もっとも重大な事故を起こす可能性が高いのが、運転中の注意力の低下。 とくに、運転中の携帯電話の使用による重大事故が続発している。

このADHD症の対応には時間が必要。 ・気が散る原因を出来るだけ身の回りから排除する。 ・テクノロジー休暇を設ける。 ・気が散る対象を把握する。 ・ストレスの原因と度合いに注意する。 

◆コミュニケーション障害   対面と対面しないコミュニケーションとの段差。
電子的なコミュニティ手段として初登場したのが電話。これが社会に浸透するまでには20年かかっている。社会の新しい習慣として根付くにはそれほどの時間が必要。
しかし、その後の電子的コミュニケーションに普及は早い。携帯電話は当初は高価過ぎて、小型化するまで時間がかかり、普及に12年かかったが、インターネットはわずかに4年。インスタント・メッセージは4年、ブログは3年、SNSはさらに短期間で日常的なコミュニケーション・ツールになった。
コミュニティ・テクノロジーの増加は、オンラインで他者との交際の場を広げ、新しい友人づくり、知り合いを増やすことを容易にした。 しかし、直接会ってコミュニケーションをとる機会が少なくなり、円滑な人間関係が失われていったという面もある。

コミュニケーションが苦手の人は、対人恐怖症、社会的パーソナリティ障害、内向的な人、人付き合いが苦手など様々だが、共通しているのは対面型コミュニケが苦手だということ。
それが、まずコミュニケーションのやり方を最初から学び直し、作法を理解するとテクノロジーのおかげで簡単に出来るようになっている。 画面を介することで対面型よりもリラックスしてコミュニケーションが行える。
しかし、仮想空間でコミュニケーション能力を高めても十分ではない。オンラインで身に付けた技能を現実社会で実践してゆく努力が伴わないと、障害を取り除くことは出来ない。

このほかに、◆心気症  ◆摂食障害/身体醜形障害  ◆総合失調症  ◆覗き見趣味 などをとりあげている。
ともかく、パソコン、携帯電話、スマホなどの新しいテクノロジーが、さまざまな神経疾患に類似した兆候や症状をひき起し、既存の症状を悪化させてきている。
この本には、その具体的な事例をいくつも取り上げており、この問題の深刻さを知らされる。

著者は特に次のことを強調している。
子供が成長して、スマホやタブレットを与えたり、コンピューターの前に座らせる時がきたら、必ず毎週15分でよいから家庭や社会でのテクノロジーの役割について子供と話し合いの場を設け、信頼関係を築くことが非常に大切。 子供の年齢に合わせて言葉を選び、親が1分間話したら。子供の話を5分間聞くことが大事。
それと、子供と信頼関係を築く上で大切なことは、週に3回から4回 家族で食卓を囲むこと。
子供との信頼関係の上にテクノロジーに関する約束事を決め、子供が破った時は最低1日 スマホやコンピューターを没収する。
そうした訓練を子供のうちから身に付けさせることによって、テクノロジーの毒を自動的に排除してゆけるようになる。


posted by uno at 11:11| Comment(2) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そもそも強迫観念と言う精神病でしょう。爆笑
他人が持っているから持って無いと時代遅れになるって言う価値観でそれを強迫観念って言う精神病なんだよね。爆笑
そもそも 学校の○○君がファミコン持っているから買ってくれと言うのと同じでマスコミに踊らされてるんだよね。爆笑
こんなくだらない物に踊らされるよりもっと健全に生きていきましょう。爆笑
Posted by 世界の爆笑 at 2013年10月04日 18:38
警察も規制しないとマナーが悪いし
持ってないと時代遅れになるとかって強迫観念だろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
もはや宗教みたいになっちまってるなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いつの時代にも流行りはあるが 携帯電話はかなり質が悪いですね。爆笑

精神病なんで さっさと精神病院に行きましょう。爆笑
そもそも携帯電話持ってないと困るような田舎にでも住んでるのかよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
Posted by 世界の爆笑 at 2013年11月19日 18:54
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