2012年11月06日

本格的自然エネの増加は、投機ではなく投資から !!


先週11月2日 (金) のBSフジのプライムニュースは、「縮小する日本社会にどう対処してゆくか」 という内容だった。 内容そのものはそれほど面白くなかった。 問題提起した京大松下名誉教授の問題提起が薄っぺらで、議論に耐えられるほど練り上げられていなかったから・・・。
ただその中で、現在の日本の再生可能エネルギー政策に対する 出席者3氏の意見は、非常に批判的で参考になった。
要約すると、日本の再生可能エネルギー政策は、手っ取り早い投機的な要素の強い太陽光と風力発電に偏重しており、「本格的な投資を必要とする地熱発電とか、バイオマス、あるいは小型の水力発電などを 実質的にないがしろにしている」 というもの。
この批判論には、なるほどと肯かせられた。
本来だとメモに取るところだが、たまたま来客があったので聞き流しに。
「明日になって、ハイライト・ムービーをネット・フォーラム欄で紹介すれば良いはず」 と安易に考えたのが間違い。

このハイライト・ムービーというのは実質1時間半の番組を、前後編を合わせても30分ぐらいに縮小される。 
テーマが 「経済成長のない縮小社会への対応」 だから、「日本の再生可能エネルギー政策の矛盾を突く」 という議論は本題から外れたオマケの発言。 そこで編者は、折角の面白い発言を 思い切りよくバッサリとカット。
メモが無いので、誰がどのような発言をしたかが定かではない。しかも、一杯やりながら聞き流していただけだから うかつなことは書けない。 
このため、プライムニュースの紹介ではなく、どこまでもプライムニュースに触発された私個人的な考えだということで読んで頂きたい。

600日前までは、つまり1年8ヶ月前までは、日本のエネルギー問題とCO2を削減するために、日本はあと原発を9基増やして、全電力に占める原発の比率を50%にまで高めることが不可欠。 このことで政府も、学界も、産業界も一心不乱の努力を誓いあっていた。
学術会議で、諸先生からその目的と意義を滔々と述べられ、反論すれば国賊扱いされない雰囲気だった。 つまり、原発が主力になるのだから、深夜電力を如何に活用するか。また、五月の連休時などの電力を、どうして消化して行くかということが緊急問題だとして、学会で報告されていた。
こうした発表に対して、ある学生から、「本当に日本は原発一本ヤリに舵を切っていいのでしょうか。便所の無い高級マンションと言われている原発。その基本的な問題について、何一つ解決策が用意されていません。 原発の安全神話について科学的な解明をするのが学術会議の仕事。その仕事をやらないままに、過去の戦争と同じように玉砕を強要していいのでしょうか」 と言うような疑問が出されたが、建築学会を含めた学術会議の諸先生方は、誰一人まともに答えようとはしなかった。

学術会議を、このように原発推進一本ヤリにまとめ上げた影の功労者は、間違いなく経産省。
経産省のもとに国交省も農林省も環境省も、ひれ伏していた。
つまり、原発の開発さえ推進すれば、日本は化石燃料から脱皮することが出来るし、CO2の削減と言う国際的な約束事も果たせる。 
再生可能エネルギーというチマチマした発電に力を入れても、せいぜい3%程度のエネルギーが改善されるだけ。 そんなことに力を分散させるよりも、原発に絞りこんでいった方が効率的で、国際公約も遵守出来る。 まさに一石二鳥ではないか。

こうした国家としての基本方針が認められていたので、新しいエネルギー投資はもっぱら原発に集中していた。石炭のガス化発電とかバイオマス発電の試みもなされていたが、あくまでもサイドビジネスという位置付けでしかなかった。
まして、百億円単位の投資が求められる地熱発電は、経産省の意向で、この20年来は完全に封印されてきた。
一頃は、太陽光発電では、日本は世界のトップを走っていた。これは、シャープや京セラの技術開発が優れていたと言うよりは、経産省の補助金が大きく物を言った側面が強かった。
その経産省が原発一本に絞りこみ、太陽光などを歯牙にもかけなくなり、一切の補助金が打ち切られて日本の太陽光産業は、落日の道を歩み始めた。

この時に、東日本大震災が起こり、こともあろうに福島第一原発がメトルダウン。
絶対にあり得ないことが、この技術大国・日本で起こった。
そして、いろいろ調べて見ると、安全神話はいろんな事実の隠ぺいの上に構築されていた。 原発立地では動員された地震学者のいい加減な同意書で建築されていた。 そして、アメリカなどからの津波危機の忠告を、日本の政府と電力会社は意識的に無視してきた。
そんな現実が告発され、原発は安全とは言えない構築物であり、それを管理する保安委員会と運用する電力会社の組織のいい加減さが白日のもとに曝け出された。
そして、経産省をはじめとする政府と電力会社は、完全に国民の信頼を失った。

現在稼働している原発は、関西電力の大飯原3号炉と4号炉の2基だけ。
それで、今年の夏を乗り切ったということで、「原発がなくてもやってゆける」 という無責任な意見が出はじめてきている。
しかし、おんぼろ火力発電を総動員しての一時的な危機の克服に過ぎず、オイルとガスの購入費の急増で日本の電力原価は急速に高騰に転じている。
そして、CO2は出しっ放し。

安全性に問題がある原発の再稼働は、認めてはならない。
しかし、今すぐに全ての原発を停止させられるとか、2030年までに全ての原発を停止させられるということは、とてもじゃないが出来ない相談だと私は考える。
つまり、原発に匹敵する省エネ化が次世代省エネ議論をみても遅々として進んでおらず、代替出来る再生可能エネルギー産業が育っていない。
2030年までに、せめて原発20基分に匹敵する新エネルギーが育っていないと、安易に原発を廃棄したことを悔やむことになろう。
それにもまして、原発廃炉には膨大な技術開発が必要。
その膨大な人材確保の見通しもなく、イノベーションの準備も全く揃っていない。 とくに若手技術者の参入がほとんどない。
原発問題は、運転を停止しただけで済む問題ではない。 原発廃炉までには最低で40〜50年はかかるし、使用済み燃料の廃棄までに要するとてつもなく長い時間が必要。 そして10万年間も埋設する地下の立地予定地の見通しは全くない。
決して稚速に走ることなく、それこそ日本の英知を結集して考えていただきたい。

前書きが長くなりすぎた。
経済学的に投機と投資はどのように定義されているかは知らない。 
投機も投資も利益を得る目的で、事業、土地、証券などに資金を投下する点では同じ行為。
ただ、素人の印象としては、アメリカの金融資本に代表されるように、投機というのは短期的に利益を上げる利ザヤ稼ぎなどを目的としている行為に見える。 今期利益が挙げられない経営者は、能力がないと見なされ、首になる。したがって、どうしても短期的な利益追求に走らざるを得ない。
一方、製造業とか鉱業や農業は、工場や設備、鉱山、農地に投下した資本を回収するには、どうしても長期的な視点が求められる。今日投資をして、明日から利益が得られるというものではない。投下した資本の回収には、10年と20年かかることを覚悟して投資をする。
私が言いたいのは、自然エネルギーへの投下資本の回収は、長期視点に立たない限り、国民の利益と敵対するということ。

今年の7月に発表された、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」。 この制度そのものに反対する者はいまい。 誰もが、新しい投資に対して、ある程度の電気代の費用負担は覚悟している。
しかし、資源エネ省の言っていることが、正しいと感じている人は少ない。
例えば、太陽光発電で10kWの発電所をメガソーラーの名で作ったと仮定する。
この建設費は325万円とエネ庁は認めてくれている。さらに10kWの運転維持費として年間10万円は認めてくれている。そして、年間買上価格として48万円としたら、10年間で元がとれ、あと10年間で380万円の利益がでる。それをエネ庁が保証してくれている。
リスクのない投資。 これは、投機そのものではなかろうか。

これが、例えば10kWではなく、1000倍の1万kWであれば、イニシアルコストもランニングコストも最低で30%は安くなるだろう。 そして、国産ではなく中国産の安いパネルへ必ず走る。 そうすれば、投機資本は5〜7年間で完全に回収出来、残りの13〜15年間で40〜50億円強は、濡れ手にアワで儲かる計算になる。
メガソーラー一社の儲けのために、各世帯は最低で100円ずつ電気代が高くなる。 これが50社だと5000円以上。 しかも20年間の間に1000社になるとすると、20年後から20年間に各世帯の年間の負担は2万円以上にもなるのではなかろうか。
つまり、自分の家でいくら節電しても、メガソーラーへ20年間継続して高い電気代を払わねばならないという悔しい勘定になる。 現にそれに近い形がヨーロッパに出現して、大問題になっているではないか。

私のラフな計算に間違いがあることを切望する。
私が言いたいことは、メガソーラーに有利なエネ庁の固定価格買取制度は、かつて土地に群がった金融資本と同じバブルを演出することになるのではなかろうか。 菅前総理や孫ソフトバンク社長を潤すことはあっても、日本国民を決して潤してはくれない劇薬ではなかろうか。
posted by uno at 06:51| Comment(1) | 太陽光・太陽熱・風力ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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