2012年11月15日

家庭用デシカは135キロ全部がボンネット!!  2012ジャパンホームショー


今年のジャパンホームショーは昨14日から16日までの3日間ビックサイトで開催中。
実はノロウィルスにやられ、医者からは絶対安静中と言われたが、初日にムリをして出かけてきた。

今年の最大の見ものは、何と言ってもダイキンの家庭用デシカ。
発売開始を1週間後に控えての、初公開。 
実はデシカに出会って、今年で3年目。その間、覆面走行する試作カー同様に、業務用にしても家庭用にしても外観のスタイルは良く見てきたし、走行データもそれなりに把握していた。 しかし、ボンネットを空けて中を見たのは今回が初めて。 撮影禁止と言われたのだが、下記の遠距離からの撮影を何とか担当課長に許可をしてもらった。 

ダイキン.JPG

この写真では、ボンネットの中身がどうなっているかが良く分からない。(分からない位置から撮っているのだからご了承あれ)
しかし、顕熱交や全熱交などの熱交換機を見てきた者にとっては、内部がまるきり異なることに驚かせられる。
今までの熱交というのは全熱なり、顕熱のエレメント (熱交換素子) がドカーンとあって、後は給排気のダクトに接続されているだけ。あとはプレヒーターが内蔵されているかどうかが違う程度で、それほど驚くべき機能は詰まっていない。 言ってみればスカスカ。
ところが熱を交換するだけでなく、湿度を交換するということは、私どもの想像を絶する作業だと言うことが良く分かった。

家庭用デシカの外形は700×720で高さが1410の床置き式。正直なところ、これほど大きな図体は不要ではないのかと考えていた。
ところが、内部は虫取りフィルター、外気用花粉フィルター、ファン、2つの空気通路切替えダンバー、ハイブリッドデシカ素子、空気通路切替えダンバーやプラスチック製の防水板、圧縮機をはじめとする各種電気制御装置などが目一杯に詰め込まれている。
このため、当初よていされていた120キロより15キロも重さが増え、135キロにもなっている。
よくもこれまで詰め込んだものだと、工場の技術者に脱帽。
つまり、自動車のボンネット以上にいろんな機能が詰め込まれている。
熱交換機のように空気が流れているだけのスカスカ空間とは全く異質のもの。
したがって、前回「本体価格だけで100万円だと軽自動車よりも高い」と難癖を付けたのはどうやら間違いで、不徳の致すところと言わざるを得ないようだ。
潔く頭を下げるが、今まで最大の理解者だったはずの者に、ボンネットの中を隠していたメーカー側にも大きな責任があるはず。

ただし、この商品がその性能を最大限に発揮してパカパカ売れるかとなると、その販売価格からみて大きな疑問符がつく。
何回も指摘するが、この商品は大きな2つの特徴を持っている。
その2大特徴が住宅メーカーやビルダー、さらには設計者工事店に正しく理解されず、デメリットとして評価されている向きすらある。
1つは、このデシカはQ値が1.0W以上の高性能住宅で、C値が0.6cu/u以上の高気密住宅に最適な商品だという点。 その最大のメリットをメーカーは声高に謳っていない。 
日本の大手住宅メーカーの実力に遠慮してか、超高気密・高断熱住宅に最適商品であることを謳うことが、悪いことであるかのような卑屈な態度が見えすぎる。 
ご案内のように、日本の省エネ基準はQ値 (熱損失係数) からU値 (熱貫流率) へ舵を切り替えようとしている。 熱交換換気を含めたQ値ではなく、躯体のU値だけを問題にしょうというのは、世界の常識に逆行する犯罪行為とも言える。 これは、どこまでも消費者のためではなく、大手住宅メーカーとタッグを組んだ国交省の陰謀。
それが、家庭用デシカにとっては逆風となって吹き当たる可能性が高い。大手メーカーは、今まで以上に知らぬ顔を続けよう。

だから、逆説的に言えば、地場ビルダーにとってはこの家庭用デシカを扱うことが最大の差別化商品として活用出来る絶好のチャンス。
ところが、関東以西の地場ビルダーで、Q値が1.4W以上、C値が0.9cu/u以上の性能をコンスタントに保証しているところは、かつてのR-2000住宅業者しかいない。 
新住協のQ-1業者はあまりにも玉石混交。関東以西ではまともにQ-1と言える業者は1〜2社。 
パッシブハウスのクループは、いずれも試作品段階で、「面展開」の動きが見られない。
ダイキンの営業部に、こうした地場ビルダーを掘り起こし、きちんと経営と技術面で武装させ、一つの勢力を構成して行ける猛者の存在を期待するのは、残念ながら経験値的にムリ。
こうしたこともあって、ダイキンがHPのカタログで表示している省エネ性能は、Q値が1.9Wのトップランナーの数値に過ぎず、C値は2.0cu/uの数値。
デシカにとって最低の数値と考えたらよかろう。
これで、年間冷暖房費+換気+除加湿費が家庭用デシカを採用することで30%削減出来ると言われても有難味が全然ない。
換気に、デシカを採用することで50万円高になるとしたら、年間電気代が3万円強安くなるにしても償却に16年はかかる勘定。
したがって、単純な省エネ談議のセールストークでは、消費者も業者も振り向いてはくれない。

もう1つの特徴は、これが超高気密・高断熱住宅と結びつき、除加湿機能付きセントラル空調換気システムとして採用した場合は、その快適効果が抜群のものになる。
ともかく、家の中で風邪を引く心配がなく、夏は上高地か軽井沢なみの爽やかさで、冬は沖縄なみの快適さ。
もちろん、掃除は週に一度でよく、室内で洗濯物が乾くし、布団は干さなくても一年中ポカポカ。花粉や土ホコリ、騒音は一切入ってこず、安眠が出来てストレスが吹き飛ぶ。
その最上質の快適さを保証してくれるのがデシカと言う名の調湿機能。
ところが、残念なことにダイキンの役員も社員も、ほとんどがその快適さを自分の家で体験していない。実感がなさすぎる。
したがって、年配者や幼い子供を抱える主婦層に本気で訴える迫力がない。
いや、これはダイキンだけではなく、本当は住宅を売るビルダーの方で確信がないと、絶対に需要を開拓出来ない。

家庭用デシカには、「除加湿換気」だけを売ってゆくやり方と、「除加湿機能付きセントラル空調換気システム」として売って行く2つの方法がある。
しかし、私の経験値からの判断に過ぎないが、私にはどこまでも「除加湿機能付きセントラル空調換気システム」にしか興味がない。 「除加湿換気」は消費者に薦めたいとは考えない。
つまり200φのダクトを効率よく設計・施工してゆくシステム。
このダクト設計というのがことのほか難しい。 私は今まで300戸近く経験してきているので、根太間を活用して最短距離で、しかも風を一切感じない設計方法を体得してきている。
そのノウハウを、ボランタリーで消費者に提供してゆきたいと考えている。
そして強調したいのは、このセントラル空調換気システムのポイントは、その施工精度とアフターメンテナンスにある。
私がボランタリーで協力させていただくダクト設計の場合は、その工事業者はどこまでもオリエンタル冷熱に限定させていただく。 同社が考案した機能的な分配器や光触媒機能、メンテを含めてこれを上回る企業が当面は存在しないから。
ダイキンはデシカ、空調機、ダクト工事を含めて一式286万円という標準価格を発表している。
この価格を出せる人は限られる。だが、オリエンタルとのタッグを組み、優れた地場ビルダーと組んでゆけば、200万円を下回ることは困難でないはず。


さて、この家庭用デシカを採用して行く条件として、冬期の相対湿度を50%に維持し、ガラスに結露を起こさせないためにはどうしてもU値が1.0W以上のサッシが不可欠。
スウェーデンハウスが採用しているアルミのカバーのないウッドサッシだと、間違いなく入手出来る。
しかし、東京以西の施主にウッドサッシの塗装を強要することはとても困難。
このため困っていたところだが、今度のホームショーに恰好のPVCサッシが展示されていた。
スタイルテック社のトリプルサッシで、北総研の試験をクリアーして、1.0WのU値を近く取得する予定というもの。

ステインドPVC.JPG

写真は木目がカラープリントされているためにやや高いが、普通のホワィトの0812の外開きだと、場合によっては5万円台で消費者が入手出来る可能性が高い。
ただし、品ぞろえなどにまだまだ問題があり、簡単にお薦めするわけにはゆかないが、一つの大きなステップになることは間違いない。

真空断熱+.JPG

また今回、初めて真空断熱材が登場していて、注目された。
上の写真がそれで、クラボウが自社の20ミリ厚の真空断熱・ビグラスを充填断熱材の奥に設置し、ウレタンの吹込みで囲うというもの。
なにしろ、木部にクギが打たれて充填断熱材が破裂するのを怖れ、左右に3センチ以上の空隙があり、幅一杯に施工していない。このため性能は思ったほど出ていない。そして、価格も普通の吹込みに比べると2倍近く高い。
しかし、これが改善されてゆけば、防火面で心配のある外断熱材よりは面白くなるかもしれない。だが、まだまだ道は遠い。

アイシネン.JPG

それと、東濃の業者仲間から、水発泡ウレタンの吸水性が問題だと言われていたので、アイシネンにいろいろ実態を訪ねてみた。
水に浮くアイシネンは、たしかに水蒸気を少しは通すが、耐久性にはほとんど問題がないとのこと。
ウレタンの水発泡の場合は、メーカーにいろいろ確かめて、厳選する必要があるようだ。

このほかにも数点気になる商品が目に付いたが、今回はこの範囲にしておく。






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