2012年12月15日

電力の化石燃料比が88%にも…。記念シンポジウムで霞むEV車。


10月上旬に開催された中小企業総合展。小さなコマで920社も出展していた。
それに対して出展者数は711社と数では及ばないが、何しろ2倍の広い会場一杯に日本を代表するほとんどの企業が出展している 「エコプロダクツ2012」。
13〜15日の3日間で、約19万人近い人々の動員を予定している。 
日本で最大の環境展示会であることは間違いない。 
なかでも毎年 小中学生が集団で見学会に参加しており、どのコマも幼い好奇が溢れていて、文字通り芋を洗う状態。

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しかし、ジャパン・ホームショー、PV Japan (再生可能エネルギーフェア) と続いたあとだけに、住宅関連では目新しい技術や展示物には出会うことは希少。
したがって、「使える新しい技術を探る場」 ということではなく、「日本の産業界全体の実態と、全体としてどの方向へ向かおうとしているかを知る場」 と割切って考えれば、必見となる。
中でも、私の最大の関心事はシンポジウム。
昨年は、「山は海の恋人」 の畠山重篤氏の記念講演に巡り会えて、味をしめた。
「海藻や魚を育てているのは、広葉樹がもたらしてくれるフルボ酸鉄だ」 という初めて聞く新しい学説にびっくりさせられた。
日本には2万1000もの川がある。 日本の山に広葉樹を植えて、日本列島のぐるり一周1kmの幅をノリシロのような汽水域としてコンブ類を植える。 そうすると、日本が放出するCO2のほとんどをコンブ類が固定してくれる!!  という説。 (2011年12月20日付、《海藻や魚を育てるのは鉄》を参照されたし。カテゴリ《シンポジウム・講演・展示会》から入るのが便利)

これに変わった今年のシンポジウムのテーマが、「環境を軸としたグローバル成長戦略」。
正しくは、「企業の成長戦略」 と書くべき。
経団連の副会長でコマツの坂根正弘会長が30分の基調報告をし、味の素の伊藤雅俊社長、ホンダの山本芳春社長、日鉱日石の西島弘也常務がそれぞれ45分ずつ講演するという内容。
会場は超満員。 そして、各社のトップが語る話は、たしかに参考になった。
しかし、私が紹介したいと思ったのは坂根会長の短い基調報告。 
ただし、入場するのが遅れ、空席が見当たらなかったので最後部での立ち聞き。 メモも満足に取れない状態だったので、発言のニュアンスがかなり違っている部分がある。 その点は、あらかじめお許しいただきたい。

エコプロシンポ.JPG

かつてテレビや新聞は、京都議定書をはじめとして気象変動を抑制するCO2削減については、非常に熱心であった。
ところがさる8日に閉幕した中近東・カタールのド―ハで開かれたCOP18に関しては、日本では報道らしい報道がなされていない。 CO2削減という基本的なテーマが、いつの間にか置き忘れられている。
そうした中にあって、多忙な坂根会長は ドーハへ飛んでいる。
そして世界各国から、先進国の義務として鳩山元首相が提案した25%削減公約の実現を、強く求められたという。
日本国は何百年に一度という大津波に遭遇し、原発が大きな被害を受けたことは世界の人々は熟知している。 
しかし、だからといってCO2削減という公約を免罪符にしてはくれない。
津波は津波、原発事故は事故。 津波や事故に対してはそれぞれの国が出来る範囲で支援をしてくれた。
原発事故があったから、CO2の削減を猶予してもらえると考えるのは日本人のとんでもない甘い考え。
とても許してくれそうにはないという。

たしかに2011.3.11以前は、電力に占める化石燃料比は62%だった。
それが、ほとんどの原発が稼働していない最近の日本の現状は、化石燃料比が88%へと大幅にアップし、世界で最も高い水準に。
このままでは、CO2を削減するどころか20〜30%の増になりかねない。
そのことを、世界が許してくれると考えている能天気な政治家が、なんと日本に多いことか!!
また、再生可能エネルギーが、いとも簡単に開発出来るかのように喧伝している無責任な政治家たち。
自然エネルギーというのは非常に密度の薄いエネルギー。 この比率を大きくしょうとするなら膨大な土地とか空間が必要になる。その大事なことを等閑視している。
原発を新設することは不可能だろう。 
だが、原価償却が済んだ安い原発、安全が確認出来たものは 今暫くは稼働させる。そして化石燃料の比率を減らし、CO2の削減を実現してゆかないと、日本は国際社会から完全に信用を失ってしまう。
脱原発で、88%も化石燃料に依存していることを、《最大の悪》 と考えねばならないということ。

原発に依存しているフランスや、水力に依存しているブラジルでは、電気自動車を採用することは即CO2削減に結びつく。
この場合は、非常に有効な選択。
しかし、電力の生産そのものが化石燃料に88%も依存しだした日本では、最近では電気自動車の方が、ハイブリッド車に比べてトータルでのCO2の排出が大きくなってきている。
EV車がCO2削減に貢献するからとの固定観念で、補助金を出すのは間違った政策。
ハイブリッド車の普及に努めるべき。 これが正しい選択。

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写真は会場に展示されていた、今年の夏よりセブン&アイが、配達に採用したトヨタの超小型EV車。

当社で発売しているショベルや大型ダンプなどは、生産工場段階でのCO2の排出量は全体の10%程度のものにすぎない。
如何に作業現場でのCO2の排出を減らして行くかと言うことが大きな課題になってきている。
このため、製品そのものの省エネ化に最大限の努力を払っている。
その一方で、国内の需要はたったの15%に過ぎないのだが、国内生産高は55%にも及んでいる。
そしてこれからは、工場の海外移転を出来るだけ少なくし、国内での生産比率を高めてゆきたいと考えている。
一週間前の日経が取り上げていたように、今後の3年間にコマツは国内の工場の合理化投資に300〜500億円を投資して、生産性を30〜40%上げて行きたいと考えている。その高い生産性をもたらす工場の具体的なディテールとロードマップも完成している。
これが実現できれば、あえて外国へ工場を移す必要がなくなる。
この生産性向上運動は、徹底した現場の見える化とエネルギー分析によるムダのカットの積み重ね。

ところが、われわれがそこまでシャカリキになって頑張っているのに、化石燃料比が88%になっても脱原発の方が最優先だと言うことで電気代がやたら値上がりするようだと、私どもの努力は水泡に帰してしまう。 
工場という就労の場とチャンスが、国内から脱出せざるを得なくなる。
そのことを、為政者は深く考えて頂きたい。
円高対策と、電力料金の安定化こそが、国内に産業を根付かせるポイントであるということを、真剣に考えていただきたい。

私は、これからは環境技術が核になる時代だと思う。そして、日本には優れた環境技術がある。
こうした技術を逃避させないための円高対策と電気料金の安定化に、最善の努力が払われることを切望したい。


記念シンポジウムの坂根会長の講演内容の紹介は、これぐらいにしておく。
あとは会場で見つけた面白い技術がいくつかあったが、紙数の関係で代表的な2つだけを紹介したい。

東レの炭素繊維.JPG

一つは、あまりにも有名になった東レの軽量な炭素繊維で造られた自動車のボディ。このほかに、内部の構造体も展示されていた。

新日鉄の防波堤.JPG

もう一つは新日鉄の画期的な大型電車両用の車輪。
しかし、これはあまりにも特種すぎるので、下の鉄鋼の防波堤付きの階段状住宅地のミニチュアの方を選んだ。 遊び心に過ぎないが、ゼネコンの展示場にあったミニチュアよりも、何故か心に響くものがあったから…。










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