2012年03月15日

136年前にクラーク博士が開校した札幌農学校の建築群


あのW・S・クラーク博士が、北海道大学の前身である札幌農学校を開校したのは、今から136年前の明治9年 (1876年)。
広大な農場を拓き、近代的な大規模有畜農業の拠点を作った。

このクラーク構想は、マサチューセッツ農科大学の教え子W・P・ブルックス等に引き継がれた。
北海道開拓に適した作物や畜産の選定。 農機具や用具工具の選定と輸入。 さらには栽培や飼育、経営法の指導を行った。
こうして、北海道農法が確立した。
翌、明治10年には、W・ホイラー設計による模範家畜房。ブルックス設計による穀物庫を中心とした一連の畜産施設。
これが、「札幌農学校第二農場」 として135年前に完成。
これが、重要文化財として北大の広い敷地の最北部、北18条西8丁目に展示してある。

札幌と言うと、今まで時計台しかないと考えていたのは浅はか。
こんな素晴らしい建築物が遺されているとは知らなかった。

ただ、案内状には、これらの施設はバルーン・フレーミング(風船構造) であると書かれている。
しかし、私の印象では、プレースド・フレーミングではないかと考えた。
残念ながら、冬期は中に入ることが出来ない。
したがって、確証はできないが、雰囲気はブレースド・フレーミング。
こうなれば、若葉の頃に再度北大を訪問し、確かめなければならない。

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まず、入口にある看板。

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ボイラー設計の畜舎。
横のサイロは100年前に建てられたもので、道内では最古の緑飼貯蔵庫と言われている。

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ちょっと目には4階建に見える大建築物。
しかし、内部は2階建てらしい。
1階が家畜舎で、2階が干し草置き場。干し草を吊り上げるクレーンが南北両面についているのだが、見えにくい。

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ブルックス設計の穀物庫など一連の建築物。

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よく見えないが、外部の窓回りの造作もなかなか丁寧。
単独基礎にはネズミ返しがついている。

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2つの棟を繋ぐ渡り廊下。
建物を正面から見ると、どうみてもバルーン・フレーミング。

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レンガ造もある。

この第二農場の外に、必見なのが北大総合博物館。
鉱石や動物のはく製など、なかなか楽しい。

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正門近くにある古河記念講堂も見学の価値あり。

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古い建物だけでなく、中には新しい遠友学舎などがある。

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正面入り口近くにあるウッドフレームによるガラスカーテンウォールのコーヒーショップ「エルムの森」で、長い散歩の息抜きを。


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2012年02月20日

様変わりの木質構造。地場産業の活性化こそ地場ビルダーのチャンス


私は、地場ビルダーの単なる応援団に過ぎません。
それなのに、やたら農林水産業に首を突込んだかと思うと、円高とデフレ批判をしています。
そんな雲の上の理屈なんか、何の役にも立たないと考えるビルダーの方も多くいます。
しかし、地場ビルダーは 地場の産業が活性化しないと、住宅の注文がなくなります。

たとえば、「公務員の給料を引き下げろ」 という強い国民の声があります。
たしかに、民間の賃金はストップどころか、この数年来は引き下がっています。
円高で多くの工場が閉鎖に追い込まれ、失業者が増えています。
また、企業合併によりリストラされた若い人も回りに多くいます。
国家公務員や地方公務員だけが高い給料が維持されており、年金も優遇。
文字通り、「役人天国」 という印象が強い。
したがって、民間並みに給料下げるのがスジだ という意見に賛同したくなります。
しかし、学校の先生をはじめ役人の給料が引き下がれば、ますますデフレが進行し、家を建てる人がいなくなってゆきます。
ですから、役人の給料を引き下げよりも、日銀のデフレ政策をやめさせ、円安にして日本の景気を良くして、民間の賃金をこれ以上に下がらないようにすべきが政策の本道。

ところが、地場ビルダーには政治力がありません。
日銀を動かすなどとうのは、夢のまた夢。
地元の市会議員や国会議員に政治献金をして、これを動かすほどのカネと力と暇がありません。
しかしカネはないけど、施主と一緒になって、ツィッターでも何でも良いから、声を上げてゆくべき。
例えば、学校の先生方とスクラムを組んで、「給料の引き下げよりも円安の推進を!!」 と叫ぶべきです。
つまり、少なくとも100票や200票の地場の声を代表しているのだということを、政治家にアピールして、彼らをその気にさせ、巻き込んでゆくのが本来は大切な仕事の一つ・・・。


さて、すでにネット・フォーラムで紹介済みの2月15日のBSプライムニュースの「森のパワーで震災復興」を取り上げます。

小宮山宏菱総研理事長の出演で、久しぶりにスカーッとした番組でした。
アメリカやカナダに強要され、貿易を自由化したために日本の林業がダメになった、と言うのが林野庁の今までの口癖。
そうではなく、田圃にしても山林にしても、日本の政治家と役所は地主を必要以上に甘やかしてきた。
そして、惜しげもなく補助金をばらまき、路網整備とか機械化、事業の大型化という肝心な仕事を放棄してきた。
このため、諸外国に比べて日本のコメづくり農業と林業の生産性が非常に低く、世界から立ち遅れてしまった。
間伐をやらない地主は、所有権と管理権の放棄とみなして、山林組合に管理権を移行出来るぐらいに法律を改正し、山林の大型化と路網整備を行わねばならない。
その肝心なポイントが、テレビでは抜けていた。
しかし、路網整備と山林の大型化という点で共通認識が出てきたことを多としょう。
この路網整備とか機械化という点では、平地の多いドイツとかスウェーデンとよりも、険しい山が多いオーストリアのシステムと機械が、より日本にとっては参考になる。

そして、東京の山手線の内側 (65Km2) 程度、つまり3つの町に1つぐらいの割合で、海側ではなく内陸側に大型の製材工場を進出させてゆく構想。
単に山の木を間伐し、育て、路網を使って出荷するだけでなく、この製材所で建築材、パルプ材、あるいはバイオマス資材などに加工してゆく。
場合によっては、バイオマス発電や、地域給湯システムも考えられよう。
この構想には大賛成。
というよりは、オーストリアには成功事例がゴロゴロ転がっている。

この工場で生産されるのは、主としてスギ、ヒノキを使った建築用材。
しかし、必ずしも今までの3.5寸角、4寸角、5寸角の柱材を中心に考える必要はない。
木材を冬期の11月から3月中旬までに伐採し、一年以上かけて自然乾燥するという芸当は、こうした大型工場には馴染まない。
やはりKD材 (人工乾燥によるキルンドライ材) が中心になってこよう。
国産のスギを使ってツーバィフォー材、針葉樹合板、トラス、TJIなどを生産し、その強度を試す実験は林野庁の予算で実行済み。
木軸とツーバィフォーの壁工法の利点を取り合わせた耐震性の高いオープンな工法が、共有財産として出来ればベター。
そして、学校建築などの公共建築への用途を拡大して行くには、防火面での建築基準法の改正が不可欠に。
また、集成材をはじめとした各種のエンジニア・ウッドの生産も欠かせない。
場合によっては北欧のように、完全な防腐処理を行った上で橋梁などの土木需要にエントリーするイノベーションを、各工場で共同開発してゆくこともあり得よう。

そして、現在の日銀によるデフレ政策の方針転換による円安が進めば、日本の林業は間違いなく輸出産業として成立する。
私は経済の専門家ではないので大きなことは言えませんが、今から5年前には日本のスギ丸太を買いたいという中国人が殺到していた。
関東のツーバィフォー仲間も、道材を本格的に仕入れたいと考えて行動を開始した。
小泉内閣の経済改革の余波が残っていた2007年7月には、円は124円もした。
この円安が、国産材ブームを引き起こした事実を忘れてはならない。

しかし、同年8月にはサブプライムローン問題が表面化して112円に。
そして08年3月には100円の大台を割って95円に。
しかし、この時も日銀は動かなかった。
そして、榊原英資元財務官をはじめとした経済評論家の「円高容認論」が一部にあって円高が続き、民主党政権になったら、榊原氏などによる円高容認論がさらに幅を利かした。
民主党は、完全に財務省の管理のもとに置かれた。
デフレ克服、円安という大目標が脇に置かれ、消費税の増税が大目標になってしまった。
そして、リーマンショックにより09年には85円を切り、10年には82円、11年10月31日には75円とつるべ落とし。
これで日本の産業は、ハチャメチャに。
その責任は、財務省と日銀と民主党政権にある。

今年の1月30日のこの欄で紹介した安達誠司氏の「円高の正体」にある、為替レートは、「各国の予想インフレ率」 で動くということが正しければ、アメリカは2%のインフレ目標を建てているのに対して、日銀はやっと1%目標を提示したばかり。
これでは良くて85円前後がせいぜいだろう。
日銀が2%以上の目標を立て、円を増刷すれば90円から110円になろう。
そうすれば、間違いなく林業だけでなく、果物・野菜、魚を含めて日本の一次産業は第六次産業として世界に闊歩出来る。
その視点からの指摘が、残念ながらテレビでは不足していた。

いずれにしろ、林業と木質構造に対する環境は様変わり。
ところが、正直なところ業者の意識がこの大変化について行っていない。
ビルダーだけではなく設計事務所も、住宅だけにこだわっている時代ではない。
貴方の企業が、この一年間に今までのOB以外の顧客を獲得しているだろうか ?
もし、獲得していないとしたら、貴方は時流を読んでいないことになる。
もっと広い視点で、木質構造を捉えるべき。
養護施設や保育施設など、グランドが拡がっている。
それに必要な設備などを準備して臨む時。
可能性は、ある意味では無限。
必要なことは、大まかな構造計算力とともに木質構造の全体系を身につけること。
その上で意識革命と技術革新を進めること。

そして、小宮山氏は住宅業界に対して強力な支援を行ってくれた。
それは、建築基準法に建築物の断熱・気密性能が書きこまれていない点の指摘。

化学物質過敏症などに対処するため、0.5回転/時の機械換気を義務化することが建築基準法に書きくわえられた。
しかし、断熱や気密の基準は、未だに全建連などの鼻息を伺っていて、住宅局は推奨基準にとどめており、建築基準法上の必守義務とはなっていない。
つまり、業者の方を見ていて消費者の方を見ていない。
住宅局に根付いているメーカー志向型の典型。
これを、消費者志向型に変えるべきという小宮山氏の指摘は、正に頂門の一針。
皆さんも、声を上げてください。

なお、同日のテレビで放映された慶応大学伊香賀研の、高気密高断熱住宅がもたらす健康面への影響調査については問い合わせ中。
土日にかかったのでデータが入手出来ないでいますが、出来次第紹介します。
多くの人にとっては、至極当然のデータではありますが・・・。


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2012年02月05日

烈震で怖いのは外断熱の剥落より気密性能の喪失 !!


先月26日付の西方設計のブログで、「Q値が0.35Wで、坪単価49.8万円のリフォーム工事」 を取り上げていた。
ネットを調べたら、昨年暮れに江別の棟晶と言う会社がプレスリリースを発表していた。

http://www.best-worst.net/release_90173_1.html

その内容によると65キロのロックウールを天井70センチ、床センチ60センチ、外壁に55センチ施工している。
そして換気はドイツ・パウル社の熱回収91%のもので、サッシは1.4W。
アースチューブを大前提にしているドイツの換気装置を、アースチューブのない北海道の家に採用して結露を起こした例があったので、念のためにカタログの再点検を。
その性能をそれなり鵜呑みにし、サッシの内側にダブルハニカムを取り付けたとしても、私の概算Q値は0.66Wにしかならなかった。
1.4Wのサッシがあまりにも悪すぎるから。

今、注目を集めている札幌版の次世代住宅基準。
そのトップランナーのQ値が0.5W。
この数値を出すために各社がどれほど苦心していることか !
その苦労談議を聞いているので、上記の仕様で0.35Wを謳われると いささか疑るしかない。
ともかく、私は棟晶という会社が信用出来ないし、同社の発表数字に基づいて開いたセミナーも信用できないでいる。
きちんとした設計事務所から、SMASHで計算した責任のある数値を発表して頂きたい。
それがあれば、私は発言を取り消し、全面的に訂正文を掲載します。

さて、棟晶のQ値問題もさることながら、充填断熱の15センチは問題ないが、外断熱40センチという厚さがどうしても気になる。
地震のないドイツ。
木骨土壁造で、6階建の中層建築物を 昔から平気で建ててきている。
16センチ角の柱を使い、もっぱら鉛直荷重のみを計算すればOK。
水平荷重のことは、ドイツの建築家の頭の中からはスッポリ抜けている。
したがって、40センチの外断熱を行うことは、彼らにとっては日常茶飯事。
しかし、地震国日本では、ドイツの真似をするのは本当に許されるのだろうか ?

2004年の10月23日に発生した中越地震。
最初の発表は震度6強だったが、川口町の震度計が7を記録していただけではなく、ガルがなんと2515ガルという信じられない数値に訂正された。
その川口町で もっとも被害率が大きかったのが田麦山と武道窪。
倒壊率は史上最悪の90%。
この山間の激震地域にはツーバィフォー工法もプレハブ工法も建てられていなかった。
旧来の木軸工法以外で建てられていた唯一がスーパーウォール。
外壁にスジカイでなく面材を使っていたスーパーウォール工法のみが、この烈震地の中にあって倒壊を免れていた。

震度7の直下型の地震の怖さは、夕食の料理をしていた主婦の言葉が雄弁に物語ってくれている。
「台所で、フライパンで料理をしていました。そしたら、下からドーンと突き上げられ、空中に30センチも飛び跳ね上げられたように感じました・・・」
この強い突き上げで、ホールダン金物がナットの部分で先端が千切られたのをはじめとして、何本ものホールダンが大きく変形していた。
ホールダン金物がこの有様だから、角金物、プレート金物、コーナー金物などは気休めに過ぎず、ひとたまりもなかった。

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この現実を目撃してきたから、直下型の地震が間近いと騒がれている東京周辺では、出来るだけ外断熱を避けたいと言うのが懸命な願い。
サッシと除加湿換気の方にカネをかけて、出来るだけ206の充填断熱材だけにしましょう !
外断熱なしで、必要な0.8W〜1.0WのQ値を得るようにしましょう ! 
との提案しているのは、この中越地震という強烈な経験値があるため。
もし、どうしても外断熱を採用するなら、タイル張りでも安全と言うKMブラケット方式にしたい。
KMブラケットによる外断熱厚は10センチまで。
それ以外で可能な方法はないかと考えたが、次の案しか浮かばなかった。
1階の206の床を20センチ程度オーバーハングさせる。20フィートの206のスタッド材をそのオーバーハング床と210の屋根タルキに金物で固定する。そして、構造用合板で外周全体を固める。
これだったら外断熱の剥落は避けられるだろう。

しかし、窯業系のサイデングやモルタルではなく、北海道ではガルバリウム鋼板の外装仕上げが増えてきているという。
たしかに軽量だが、40センチ厚のものが突き上げられると大きく揺れる。
どの範囲までなら安全かを、北総研辺りで実験をしていただきたい。 
ただし、直下型ではない震度6弱までの横揺れだったら、40センチでも剥落の心配はすくないはず。
そして、万が一剥落した場合はビルダーが責任を持って復旧工事を行う と言う特約が交わされていて、お互いに合意の上での40センチの外断熱なら問題はない。

そして、ほとんどの人が気付いていないが、一番問題になるのは断熱よりも気密性能。
断熱性能は、外断熱だといくらでもリフォーム改修が出来る。
しかし、直下型地震で構造躯体に生じた隙間を補修することは、非常に困難。
川口町の武道窪で、倒壊しなかった唯一のスーパーウォールに住んでいる奥さんの、次の言葉が私の心にグサリと突き刺さった。
「倒壊しなかったことに、心から感謝しています。しかし、この家は前の家ではありません。全ての柱が浮き上がって沈んだので、あちこち隙間だらけ。昔は静かな家でした。しかし、今は前の坂道を通る車がふかすエンジン音がうるさくて、安眠できません。気密性がこれほど大切だということを初めて知りました。しかし、いくら直しても、前には戻りませんよね・・・」

直下型の大きな地震から木軸工法の気密性能を守るには、私の素人判断だと内壁の間仕切り壁も含めて全ての柱にホールダン金物を付ける必要がある。
突き上げられて変形したのは、何も外壁だけではない。
内壁の柱と壁も浮き上がって、一列全部の柱がフロアーの上にズレて落ちていた現場があった。
外から見れば外傷がなく被害はゼロ。
しかし、ほとんどの開口部の隅のクロスには亀裂が入り、ベバーバリアに損傷が懸念されるものもあった。
このクロスの亀裂は震度6のスーパーウォールの現場でも目立った。 長岡のツーバィフォーのスーパーウォールの現場ではこの亀裂被害がなかった、とトステムから聞いている。
さらに、震度7地域は多雪地域なので、柱が4寸どころか5寸のもが多い。
その2つ割とか3つ割のスジカイは厚い。
その厚いスジカイが圧縮を受け、面外へ坐屈し、主要な内壁の石膏ボードを吹き飛ばしてしまっていた。
揺れの方向にもよるが、2つ先の部屋まで丸見えというところもあった。
倒壊は避けられたが、このような被害は枚挙にいとまがない。

ところが、建築界のエキスパートや木構造のプロや大手住宅業者の誰一人として、全壊しなかったスーパーウォールの現場へ入っていない。
地震の専門家も、撮影して回っていたのは倒壊現場だけ。だから建築学会の中越地震の発表内容は、非常につまらなかった。
倒壊しなかった現場にこそ木軸工法の改善のヒントが転がっていたのに・・・。
私は資料と考えをまとめて杉山英男先生に報告に行こうと考えていた。
ちょうどその時、先生逝去の悲しい知らせ聞いた。新しい木質構造についての素案の提案先を失った。

残念ながら、トステムには木質構造に精通した社員が私の知っている範囲ではいなかった。
このため、貴重な資料は死蔵されたまま。
渡部建築の貴重な体験は、ほとんど語り継がれていない。
せいぜい私が、ブログ・今週の本音で囁いてきただけで、杉山先生のような社会的影響力が全然ない。
そして、最近の木軸によるQ-1運動やパッシブハウス運動を見ていると、気密性能に対する構造的な対処が少なすぎるように感じる。
木質構造が分からない人が、Q値だけで木造を語ってもらっては困る局面もある。
次の大震災に襲われた時、高気密住宅の評価が一気に崩れ去りかねない・・・。
杉山先生が亡きあと、本来は安藤先生に検討して頂き、安藤先生から発信して頂いてこそ社会的な意味があるとは考えるのだが・・・。
ともかく素案を述べてみたい。

私の考えは非常に単純。
北海道の多くのビルダー仲間が考えて、実行している木軸とツーバィフォーの良いとこ取りをした合いの子工法。
まず、1階の床は206材プラットフォーム。北側斜線の関係でセイの大きな材は都心では使えない。
柱の太さは、外周が14センチの206角。内部は9センチの204角の集成材。
この柱を2.0間から3.0間の間隔に入れ、間に206と204で組んだ壁パネルを入れて、2階の床外周に410または412の胴差を金物工法で取り付ける。
その上に2階の壁パネルを取り付け、406ないしは408の敷桁を金物で取り付け、屋根は206〜210のタルキ架け。

工事はまず土台と大引きを敷き、その上にHD-N25のホールダン金物をダブル使用で 外周は606の集成柱を建てる。
その間へ、206で加工した壁パネルをはめ込んでゆく。
国産スギの206材だったらより歓迎。
そして、合板は工場で張っても現場施工でも良い。ポイントは隅から455ずらした位置から張り出す。

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柱から柱へ面材を張っていた今までの木軸の最大欠点は、柱間隔だと上図のように震度6以上だと絶対と言ってよいほど開口部周りのボードに亀裂が入る。
それが隅から455ミリの間柱から張り出すと、開口部の4隅はくり抜いたボードの中に収まり、亀裂はほとんどなくなる。
それと、公庫の枠組壁工法の仕様に基づいたクギとピッチを守れば、12.5ミリ厚の石膏ボードが耐力壁として認められ、耐震性が大幅に増す。
と同時に内壁にスジカイを入れる必要性がなくなり、いざという時の面外坐屈という被害から逃れることも出来る。

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そして、運送面の関係から、最大2間から3間のパネルをはめ込んでから胴差と敷桁で壁パネルを抑える。
そして、壁パネルから柱へCN90クギを打って一体化。
今、ツーバィフォー工法のパネル化に伴って、長いパネルが運べず、外壁が一体化していない危険な現場を時折発見して背筋が寒くなる。
それが、柱――壁パネル方式だとツーバィフォーパネル化が持つ最大の懸念が解消できる。
また、胴差と敷桁が窓マグサを兼ねさせているので、壁の断熱部分が増え、壁の熱貫流率はそれだけ良くなる。
そして、理想は3×9合板を現場で張って、より一体化すること。これだと耐震性がより完全になる。
だが、3×8の合板を工場で張ってくる方式も認められよう。
ただし柱を跨ぐ合板と隅合板は、必ず現場施工とすることが一体化のための絶対条件。

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上図は、横架材の収まり関係図。
1階の床根太は、束立ての土台・大引きの上に206材を架けて29ミリ合板でプラットフォームを構成。
敷地に余裕があって北側斜線上 問題がなければ210でよい。
このプラットフォームが、木軸の柱の浮きあがり現象を抑えてくれる。
2階の床根太は、原則として212でありたい。そして、南側はTJIとして、北側はダクトスペースとして使うために平行弦トラスであることが理想的。
もちろんスパンの小さな住宅の場合は210でもよい。
天井根太は206を原則とし、小屋裏を機械室などとして使用する時は、根太は208または210として、必要なところだけ合板張りとする。

これを、金物工法推進協議会あたりで共同申請して特認を取ってくれれば、誰でも金物と一緒に簡単に使えるようになる。準オープン化工法として期待出来る。
国産材の活用に道が拓けるし、木軸の欠点と パネル化した時のツーバィフォーの欠点がカバー出来、耐震性能が一段と増す。

それだけではない。木軸で一番懸念されている烈震時の気密性能の劣化が、この工法を採用することによってほぼ一掃できる。
これこそが、これからの高気密・高断熱時代の最大のメリットと言えると思う。


posted by uno at 19:27| Comment(2) | 木質構造と林業・加工業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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