2011年08月25日

民主の代表選では、この著のような具体的議論が欲しいのだが・・・


鈴木 誠著「りんご一つにあと20円多く払えば、東北の農業は復興出来る」(講談社 1400円+税)

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この題名を見て、この著書を買おうと意欲をそそられる人は まずいないだろう。
まして、昨年 角川書店から出版された「脱サラ 農業で年商110億円」という本を読んだ人は、「今さら寝言には付き合っておれない」 と拒否反応を感じたはず。
著者は慶大商学部卒で信託銀行へ勤めていたが、37才の2003年に農業ベンチャーの「ナチュラルアート社」を設立している。
しかし、昨年発刊された「脱サラ」本では、信託銀行が扱っている投資商品、あるいは金融商品の一つとして農業を扱っているとしか受け取れないものだった。

つまり、日本の農業を良くして行こうというポリシーが、何一つ感じられなかった。
このため、昨年の「脱サラ」本は、私の判断ではベスト10入りどころか第一次審査さえクリアー出来ないほどの低レベル。
したがって、こんな面白くもなさそうな題名の本に1400円払うよりは、まともな雑誌の別冊を買った方がはるかにマシと感じた。しかし、住と健康に関する書評欄を持っている関係で、ムダであっても読まねばならない。
そういった義務感で買った。
そして、第1章を読んだら、期待通りの悪い出来で、途中で何度か放り出そうと考えた。

この著者には、銀行マン時代の上から人を見降ろし、自分の関心事を中心に銀行マンにしか通じない言葉とロジックでものを喋り、書くという悪い習性を持っている。
そのため、あたかも 「リンゴをあと20円高く買いさえすれば東北の農家は救われる・・・」 かのように読み取れる バカな表現を平気で使ってしまう。
そのバカさ加減が、第1章で延々と続くのだから、嫌になった。
途中で投げ出さなかった自分を褒めてやりたいと思ったほど。

ところが、第2章から第4章は一変して非常にまとも。 具体的な素晴らしい提案も多い。
したがって、この本の題名を 「大震災のピンチをチャンスに変える農家の意識改革と農業政策」 に変え、内容を大幅に組み替えたら素晴らしい著書になる。
菅前総理のフライングで、日本経済の立て直しと東北の復興という肝心の方向は曖昧モコに。
そして、争点は増税と原発と新エネルギーの比率をどの程度にするかという問題にすり替えられている。それと、当面の円高に如何に対応するのかだけが民主党代表を選ぶ争点に・・・。
おそらく、今秋に総選挙を行っても、自民党との争点は その範囲に終始しそう。
今の谷口氏とそのスタッフは、それほどつまらない。
日本の20数年来続けられてきたデフレ経済に歯止めをかけ、経済の活性化をどのように図るかという根本的な議論がされそうにない。この対策を抜きにして根本的な円高対策はあり得ない。
そして、東北の復興ビジョンは未だに明確にされていない。
この著者に日本経済の活性化を語らせることはムリ。
しかし、東北の復興のビジョンに関する提言には、学ぶべき点が多い。
それを、編み変えて要約すると 以下のようになる。

岩手、宮城、福島3県の07年の耕地面積は44.1万haで、全国の9.5%。しかし、農業産出額は3県で約6800億円と7.9%にすぎない。しかし、コメの収穫量では08年の3県の比率は12.7%と高く、東北6県だと27.6%と1/4以上を占めている。
3県の農業人口は約58.7万人で、全国の6.3%。そして、地域経済における農業依存度は全国平均が約1.5%に対して岩手は5.4%、宮城は2.3%、福島は3.3%と高い。
こうした農地のうち被害を受けた面積は、3県に青森を加えると2万ha で、茨城、千葉までを加えると2.4万ha。JR山手線内の約4倍という規模。
この耕地での農産物の損失と1.2万ヶ所に及ぶ農業施設の損壊被害を加えると、全国の農業損害は約7640億円強という。 20年前に起きた雲仙普賢岳の被害が2300億円だったことを考えると3.3倍になる。
このほかに福島原発による直接被害と風評被害もあるから、その規模は厖大なものに。

著者の試算によると、インフラを含めた被害額は約29.4兆円。
これに対して義捐金は約2400億円に過ぎず、国家予算に依る補助金6兆円、東電の賠償金5兆円としても約11.3兆円にすぎない。18.1兆円が不足している。
とりあえず被災者への支援金として1人当たり300万円。 耕地35万円/haが支給される。
その対応の遅さと菅総理の居座り発言にイライラしながらも、被災農家は 今でも 「被害額の半分ぐらいは補填されるのではないか」 との非現実的で甘い希望的観測を抱き続けている。
つまり、補助金頼りの体質から一歩も抜け出ていない。
この災害がなくても、民主党の「農業者戸別所得補償制度」というマニフェストによって、農家の生活はメチャメチャに破壊されてきた。

2〜3年前までは、60kg当たり1.2万円から1.3万円でコメは売られていた。
それが、民主党の戸別補償制度で10アール当たり1.5万円の補償が決まった途端、大手流通業者から「補償金が入るのだから、もっと安く納入できますよね」と買いたたかれている。
現在では60kg当たりが1万円を切り、8000円前後だという。
この現実を前に、民主党の議員は、「この補償制度がなかったらどうなっていたか。農家の皆さん、新しい制度が出来て良かったですね」と不正な政策を正当化しようとリキんでいる。
まさしく本末転倒。
戸別補償制度が、米価の相場下落に拍車をかけ、デフレ経済の進化で農家はさらなる赤字経営へ。
農協からの借金依存に追い詰められている。
農家は苦しい今こそ、補助金行政へのぶら下がり意識を捨てるべき、だと著者は鋭く説く。

東北の農業を復活させるには、短期的な起爆剤と長期的な復興策が車の両輪として不可欠。
そもそも日本政府の施策は遅く、小規模で、単純で成果が期待出来ない細切れ策ばかり。
これを打破するには、被災地の人々の気力が湧く、アドバルン効果の高い短期的な起爆剤としての企画が絶対に必要。

具体的な例を上げるならば、宮城県南部の亘理町と山元町。
この2つの町は日本有数のイチゴ産地。生産高は38〜48億円。
この両町の96haの96%に当たる92haが今回被災を受けた。壊滅的な被災と言える。
復旧するだけでも整地やハウス代として40億円は必要。
そのような単なる復旧ではなく、80億円を投じて 「イチゴパーク」 を作ってはどうかというのが筆者の提案。
イチゴ農園があり、直売所や食べ放題のイベントがあるのはもちろん。
腕のいいパティシェ10〜20人集めてスィーツファクトリーをつくり、スィーツやケイキのショップやテイクアウトの出来る店も併存させる。そのほか、イチゴジャムやジュースをはじめとした加工食品の生産と、ネットを含めた直販も行う。
場合によっては宿泊施設や結婚式場を併設してもよい。
農家は、いままでの一国一城の主から大きな企業の社員になる形だが、このイチゴパークだと1000人以上の雇用を創出してくれる。今被災地に一番必要なのは雇用。
この資本を、心ある民間企業が提供してくれることが理想だが、場合によっては国とか地方自治体が出資し、10〜20年にかけて回収してゆくということも考えられる。

また、福島原発に近いところでは、汚染土壌の浄化を兼ねて 「お花畑大作戦」 を展開する。
筆者の会社では、誰がどう使っていたか判らない残留農薬の多い土地を入手した場合は、1年間か2年間は菜の花やマリーゴールドを植えて残留農薬を処理してから農地として使っている。
つまり、お花畑作戦は特殊なものではなく、きわめて一般的な土壌汚染対応策。
原発の近くの農地からとれた作物は、大丈夫だと分かっても、ためらうのが普通。
消費者のイメージを一新し、「土地を根本的に洗浄しましょう」 というのが、お花畑作戦の目的。
この菜の花は、根から吸収した放射性物質のために、おひたしとして食べることは出来ない。
しかし、その菜の花から抽出された菜種油からは、幸いなことに放射性物質は検出されない。
ということであれば、数年間はコメや野菜を作ることをやめて菜種づくりに専念する。
つまり、ブッシュ政権のトウモロコシによるバイオエタノール作戦の向こうを張る東北版バイオエタノール作戦を展開する。
お花畑大作戦は、バイオエタノール大作戦でもある。
当然のことながらある程度の国の助成金が 個々の農家に必要になるだろうが、野菜を作っている農家の年収は100〜200万円程度。それで借金が増えていることを考えると、助成金はそれほど必要ではないはず。
風評被害で野菜を安売りするよりも、福島県の太平洋岸一帯をお花畑にするぐらいの思い切った政策をとった方が、はるかにメリットがある。
直ぐにはムリだとしても、一面をお花畑にすると観光収入も期待出来る。

こうした短期的な起爆剤と平行して行わなければならないのが、長期的な対策。
その、第一歩として踏み出さねばならないものが、「農業不良債権買取り機構」 の設立。
不良債権買取り機構というのは、身の丈以上の借金をして苦境に陥っている事業体の借金を減らし、本業で稼げるよう手助けする組織。銀行から不良債権を買取れるよう特別立法に基づく組織で、他の産業界では当然のように行われているもの。
農業に特定した機構で、農業関連事業者の借入金を金融機関より優遇された条件で買取り、指名した企業の専門家が農家の事業をオペレートし、事業が軌道に乗ったら当事者がその債権を買い戻す、というもの。
当面は、国の予算か民間予算で100億円の再生ファンドを立ち上げればよい。

次は、産業構造の変革として3つを成し遂げねばならない。
それぞれに詳述したいのだが紙数が限られているので、項目だけを列記する。関心のある向きは、是非本を購入して精読いただきたい。
●「合従連衡」 による大連立。
 これは行動ともにするクループ化、組織化による生産性の向上。産地の多様化で、一地域における天
候不順や自然災害からお互いを守ってゆく。大手流通資本の一方的な要求から企業を防衛する。
異業種の積極的な参入と資金開発力を強化出来る、などのメリットがある。
●日本型フードバレー構想。
 アメリカのシリコンバレーに匹敵するフードバレーが、オランダのアムステルダムにある。
 日本にも北海道を舞台にした「北海道フードバレー構想」があるが、これを将来の州ごとに設置して
 ゆく。
●クライガルデンの大展開。
 ドイツのクライガルデンについては、すでに私も何回か紹介しているが、筆者も都市生活者の必須項
 目になるだろうと予測している。

次は3つの技術的な変革。
●路地栽培から施設園芸へのシフト。
 津波で塩害の被害を受けたところや放射性物質の土壌汚染対策としても有効。わずかな培養土と言う
ブレンド土を入れ、そこに種なり苗を植えれば良いだけだから被災地には最適。しかし、イニシァル
コストがかかる点と、太陽光の活用などによってランニングコストの削減がこれからの課題。
●農林水産業が一体になっての再生。
 有名になった気仙沼の牡蠣養殖の森づくり運動にみられるように、農林水産業は一体として考え、
 交流を深めてゆくことがこれからの地域開発には不可欠。
●東北こそ温暖化時代に貴重な食料基地になる。
 災害を受けた東北の一部を捨てればよいという考えほど間違った考えはない。
 地球の温暖化によって、食料の基地は次第に北上化してきている。

このほか、著者はワイドショーが取り上げているTPPに対する大きな間違いや、自称農林議員が唱えるコメ安保論を詳しく検証し、その間違いを易しく解説してくれている。
農業に携わっている人間の発言だから、説得力がある。
しかし、題名はやはり頂けない。
日本の農産物の価格を低く抑えている元凶は流通業者ではなく、日銀をはじめとしてデフレ政策をとり続けている政府そのもの。
これが、不当な円高を呼んでおり、単に第三次産業だけでなく農林水産品の輸出にとっても大きな障害にもなってきている。
リンゴ1個を20円高く買うよりも、民主党や自民党の財務省主導の政策を転換させてゆくことこそがポイント。

しかし、そのことを筆者に求めることは ないものねだり。
民主党の小沢元代表が小泉政権の「改革路線」に勝つためにとった農家への戸別補償制度。
開けてはならないパンドラの箱を開けた民主党への痛烈な筆者の批判。
それだけでも「良し」 としなければならないと思う。



posted by uno at 07:33| Comment(1) | 食品と農水産業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月25日

「楽観なり日本農業の未来」 永田農法創始者の予言


「永田農法」 という言葉を聞かれた方も多いと思う。
私も何回となく聞いていたが、どうしたことかこれまで一度も著作に触れるチャンスがなかった。
たまたま時間潰しに寄った新宿の本屋でこの著書を見つけた。
永田照喜治著「それでも食料自給率100パーセントは可能だ」 (小学館新書 720+税)

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この本は、小学館発行の月刊誌「本の窓」に今年の1月まで連載されていた対談「日本を変える正しい農業」をまとめたもの。
当然のことながら、永田農法を実践している各地の、コメからはじまって野菜から果物にいたる農業実践者との対談集なのだろうと思って読み始めた。
ところが、収録されている14対談のうち、農業実践者はたったの3人だけ。
残りの11人は実践者ではなく、各界の論客を集めている。
クレヨンハウスの落合惠子、農林省お役人の鈴木憲和、早大環境塾教授の原 剛、料理長の野崎洋光、無洗米の雑賀慶二、サカタのタネの坂田宏、セブン&アイフードの塙昭彦、住友化学部長の水野達男、2月25日のこの欄で紹介した「水」のジャーナリスト橋本淳司、トヨタ自動車顧問の岩崎正視、ロボット工博の宮本悦郎と、実に多士済々。
しかも、各氏とも著者のことはよく知っていて、話が弾んでいる。

これは、まずいと思った。
永田農法が何かを知っていないのは、どうやら私だけのよう・・・。
急いで出版物を調べたら、昨年の暮れに下記が出版されていた。
永田照喜治著「奇跡の野菜  永田農法は進化する」 (東洋経済 1500円+税)

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この最新版を買って読み始めたが、今までの活動を総括するような本で、項目は綺麗に並べられ整理されているが、動機とか経緯が良く分からない。
そこで図書館巡りをして古い著作を漁った結果、3冊ばかり入手出来た。
その中で、飯田辰彦氏が企画・構成した下記が一番永田農法を知るには適していた。
永田照喜治著、飯田辰彦企画・構成「美味しさの力」 (PHP研1998年刊 1429円+税)

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著者は1926年、熊本・天草生まれというから、85才の高齢。
ところが、日本だけでなく世界各国を飛び回っていて一向に疲れを覚えないというから、年齢だけで人を判断するのは愚。
神戸大の経済学部卒で、ブラジルに渡って農場をやるつもりで南米銀行に採用が決まった。
ところが母親に泣きつかれて天草へ引き戻された。
しかし、ブラジルの夢が捨てきれず、段々畑の岩山で様々な果物や野菜を作った。
と言っても、農業を学んだわけではないので理論も技術もない。最初は全てが勘。
そのうちに、肥えた平地で出来る野菜やミカンよりも、荒れた岩山で採れる野菜やミカンの方がずっと美味いことに気がついた。
岩をツルハシで砕いて畑にし、肥料は糞尿を水で割った極々の薄いヤツ。
専門知識を持っていたらこんなバカな真似はしなかったろう。
素人だから岩山の作物のおいしさを素直に受け止められた。
そして、石コロ畑の味の良さを知った著者は、母親に内緒で平地の田んぼを売り払い、進駐軍からのお下がりのブルドーザーでドンドン岩を砕き、山畑を開墾していった。

その時、偶然にも「砂栽培」で知られる九大の福島栄二先生の智己を得て、石コロ栽培の理論づけが得られた。
そして先生から、「有機肥料を使わず、チッ素、リン酸、カリの化学肥料の液肥だけでミカンが栽培できるかどうかを試して欲しい」 と頼まれた。
以来10年間、化学3要素の液肥だけで3ヘクタールのミカンを育てた。
効果はてきめんで、糖度15〜16度の甘いミカンが毎年実った。それだけでなく、土に堆肥をすき込んで栽培するよりも3倍も速いスピードで木が成長した。
この時、不織布の技術が開発され、その開発にも若干携わっていたので、それをミカンの木の下一面に敷き、除草剤を撒かずに除草するテストも行った。
草が生えてこなかった。
この不織布は価格が高いので普及はしていないが、永田農法の基礎の基礎がこうして出来あがった。

このあと福島先生から、「今度は砂栽培で大々的な実験をやって欲しい」 と依頼され、二つ返事でOK。
この計画には東大をはじめ各大学の専門家も協力し、福島教授の朋友の北川住電工社長が音頭をとり、興銀の中山頭取、日本触媒の八谷社長、三井不動産江戸社長、松下幸之助氏らが積極的な支援部隊に。
とりあえず10ヘクタールの実験農場が成功し、2年後には50億円を投下して2500ヘクタールに拡張する準備を進めていた1968年9月に、大型の台風が鹿児島を襲った。
災害対策は万全で、潮風の塩害はスプリンクラーが流してくれるはずだった。
ところが、何者かが停電用の予備貯水池とスプリンクラー配管をつなぐパイプを切断していた。
このため、世紀のプロジェクトは40時間停電で致命的な被害を受け、あえなく幕引きとなった。
この計画が地元の怨嗟で妨害されていなかったら、今ごろ日本の農業は大きく変わっていたであろう。
ただ著者は、このプロジェクトに携わったことによって多くの智己を得、その後の氏の活躍に結びつけている。

その後、老人大学、精神病院、ねむの木学園などで家庭菜園のノウハウを積み、アンデス高原で発見されたトマトの原生種からヒントを得て、最小の水と液肥で美味しい野菜や果物を作りだす永田農法を完成させてゆく。水やりを出来るだけ少なくするため、あえてハウス栽培とし、旬を夏ではなく冬にして糖度が高くて水に沈む完熟のトマトを売りだした。
肥料と水の少ない完熟トマトは腐らない。
トマトだけでなく、少ない肥料と水で育てた野菜は色が薄い。緑の野菜は健康に良いと言うのは大嘘。
本当の健康な野菜は薄緑色だと、20年も前に見抜いて書いている。
昨年の11月26日の 「独善的週間書評」 の中で、日経プレミアム社の、河名秀郎著「ほんとの野菜は緑が薄い」を取り上げた。
読んでいるうちに、これは自分で考え出した理論ではないという気がしてきた。
このため、「この著書で書かれていることの半分は正しいが、科学的に100%の信頼を寄せることは出来ない」 と最後に注釈を付けておいた。
案の定だった。 河名氏は永田農法をパクっていた。

そして、野菜やコメが腐るか腐らないかという小学生並みの実験をやっただけ。
牛が糞の近くの緑の濃い草を食べないということは、著者と著書名を忘れたが数年前に出版された農業関係の本にも書かれている。
そんないくつかの問題点を見抜けなかった日経プレミアムの編集部は大変に情けない。
もちろん、疑問は持ったが永田農法のパクリだと直ぐに指摘出来なかった私も、情けない点では同列。
それだけではない。
日経プレミアムに続いて東洋経済が 「野菜の裏側」 を出版したし、朝日出版は 「Natural food」 を出版している。
こうなると、出版界というのは2匹目、3匹目のドジョウを狙っているコソドロ集団。あまり信用してはいけない集団だと言うことが分かる。
と同時に、「ナチュラル・ハーモニー」 という会社からは、一切野菜を買わないことを提案したい。

話が大きく脱線した。
永田農法の真髄については、単に野菜や果物だけでなく、コメづくりや鶏卵づくりにも活用されている。
そして、有機農法そのものに大きな疑問があるということ。また、ヨーロッパのブドウ造りでは大変な量の農薬が使われていて環境悪化の根源だということも分かってくる。
そういった細部については、是非とも著書を読まれ、著者の貴重な体験を通じて学んで頂きたい。

随分とまわり道をしたが、今日の主題である日本農業の未来に対する著者の楽観論の根拠を述べよう。
筆者は、まず日本が作る農作物は鮮度がよく、安心できて美味しくなければならないと強調。
つまり、有機肥料含めて余分な肥料や水を与えてはならない。
水も肥料も作物が欲しがる分しか与えないと作物は飢餓状態になり、懸命に根から養分を吸収しようとして活性化する。野生の力を蘇らせて、強健で、風味豊かで、栄養価が高く、防腐剤をかけなくても腐らない野菜や果物になる。
これを食べる人間は、健康なエネルギーが得られる。
農薬は必要最小限に抑える。
こうすることによって、野菜や果物も輸出産業になり得る。

農作物の中で、輸出産業として大きく期待出来るのがコメ。
筆者は、平地の田んぼではなく棚田を利用して、山田錦という特上の酒米づくりに成功している。
本当に美味しいコメは酒米としても、輸出米としても十分にやってゆける。
著者は触れていないが、私はコメづくりに関しては、肥料も農薬も全く使わない岩澤信夫氏の不耕起農法が本命だと考えている。
第一に田を耕さないから、アル・ゴア氏が指摘するようにCO2の発生が抑えられる。
そして、永田農法と同じで、イネの根を丈夫にすることに最大のポイントを置いている。根が張ったコメは冷害などの天候変化にも強く、美味しい。
減反などやらずに、このコメを世界へ輸出して行く。

それともう一つの柱として進めるのが、山間地を利用した牛や豚の放牧。
日本の国土の70%は山林。
この山林を利用して高知・南国市で放牧に成功している酪農家がいる。
20ヘクタールの山林に40頭のホイルスタインを放牧している。50度もある急傾斜だが、ヤギのように身軽に元気よく飛びまわっているという。
ヘクタール当たり1〜2頭に抑えると、牛はストレスを感じなく元気に乳を出す。そればかりではなく、糞尿によって環境が破壊されることもない。
森林と放牧のダブルメリットが追及出来る。

そして、農家人口の高齢化によってこれからますます農業人口の減少が続く。
人口統計によると、日本の農業従事者の数はアメリカの200ヘクタール当たり1人に対して、15年後には日本は300ヘクタール当たり1人となる。中国は0.5ヘクタール当たり1人だから生産性が丸きり違ってくる。
著者は、やる気のない人はリタイアしてもらっていい。
やる気があり、国際競争力をもった精鋭部隊が大規模農業をやれば、世界一の生産性になり、食料の自給率は100%も可能と楽観している。

しかし、コンピューター制御による管理技術は高めなければならないし、蒔種や草刈り作業のロボット化も進めなければならない。
現在研究が進められているロボット化というのはGPS (グローバル・ポジショニング・システム) 。
簡単に言えば、カーナビに利用されている全地球測位システムを利用して、畑の隅々までロボットに24時間働いてもらおうというもの。
とくに、農業作業の中で辛いと言われてきた草刈り作業をロボットに一任しようという研究。
20年前から計画され、やっと実用化の段階に辿りついたという。

こうした、大規模農業と平行して、ドイツのクラインガルデンという20〜30坪単位の市民農園を、全ての都市生活者に与えてゆく。それだけで自給率は10数%あげられる。
日本列島は北から南へと長い。
いろんな季節ごとに収穫が可能である。
永田氏の発想は、農業の産業化にほかならない。



posted by uno at 07:26| Comment(3) | 食品と農水産業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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