2012年12月27日

2012年上半期 読んで面白かった本ベスト10 (下)


本来だとこの稿は30日に掲載する予定。
しかし、ほとんどの事業所は28日までだと思う。もし本を買われるなら なるべく早く掲載した方がお役に立つ可能が…。 ということで、今回に限り3日早く掲載することにしました。

先週上げた102冊の中から選抜した ベスト10候補作品の■印が48冊。
その中から、勝手に選んだ独善的ベスト10が以下。
いつものことながら写真の写りが悪いのは、ご容赦あれ。

◆10位

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企業小説ではなく、「社会派小説」とでも言うべき中から2つ。
「ナインデイズ」 は、「岩手県災害対策本部の闘い」という副題がついているように3.11から9日間の災害対策本部の内幕を見事に描きだした好著。 と言うと これは小説ではなく、県の役人が書いた堅苦しいノンフェクションではないかと考えられがち。 そうではなく、3.11という悲惨な舞台を背景に奮闘した 秋富という救急医の物語。 自費でアメリカ、イギリスのレスキューの実践トレーニングを受けて資格を取り、救急医でありながら県庁の災害対策本部へ潜り込んで、全幅の信頼を得て大活躍した異色作品。(10月12日付、独善的書評364号参照)

「上海、かたつむりの家」は、12月20日のこの欄で紹介済み。残念ながら小説としてイマイチ。上海の住宅事情の掘り下げも不足。そして、後進国のワイロ体質から考えて上海の上級官僚の悪質ぶりも想定内。 だか、一応読んでおくだけの話題性が…。

◆9位

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この作者は、アジアやアフリカなどを旅行して、多くの旅行記を発表している。
そして面白かったのは7年前に出版された「アジア新聞 屋台村」(2011/4/13、週評338号参照)。
今回は、講談社系の月刊誌に12回に亘って、日本へ移民したタイ、イラン、パキスタン、フィリピン、フランス、中国、イスラエル、ブラジル、インド、韓国、スーダンからの、移民者の食生活を取り上げている。 しかし、故国の食事を主とするか、日本化されたものを好むかは個人によって大きな差がある。 そこで各国のコミュニティを訪ね、どのような生活習慣を維持し、どのような平均的な食生活を続けているかをリポートしたもの。 取材中に、3.11事件にぶつかり、多くの移民は故国の家族などからワイノワイノの催促で やむなく帰国。取材が出来ない時もあった。
その中にあって、南三陸に住む15人のフィリピン妻たちのコミュニティは見事。 1人は残念ながら行方不明になったが、誰一人として帰国しなかった。 彼女等は日本やフィリピンよりも、南三陸を故郷として親しみ、愛しているから…。

◆8位 

表紙写真.JPG

この本については、9月5日のこの欄で紹介しているので省略する。(カテゴリの《書評(その他)》から入られたし)
今回は、このブログ欄で取り上げた本でベスト10入りをしたものが、なんと7冊にも及ぶ。それだけ、この欄で紹介する書籍のレベルが、向上した証と言えるのだろうが…。 

この「ザ・ラストバンカー」は、文字通りバンカーのトップとして、その伝記を後世に残す価値ある最後のものになる可能性が高い。 業績不振と社会的な名誉棄損事件。さらにリストラに次ぐリストラの時代を ブレなく生き抜いた貴重なバンカーマンの記録。

◆7位

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これは8月10日に、この欄で紹介済み。
宇宙旅行に行ける人間は、当初は軍人と技術者に限られていた。
日本人の医師として最初に宇宙を経験したのが古川聡氏。 無重力の宇宙から帰還した暫くの間は自分の身体の芯がどこにあるか分からず、フニャフニャの軟体動物化した生々しい体験報告が「宇宙へ出張してきます」(毎日新聞刊) に掲載されている。これほど納得させられた話はない。
そうした医師としての体験談以外に、古川氏は数々の科学的の成果も上げている。 なかでも、地上400キロメートルの世界で、ハイビジョンカメラが捉えた様々な現象の初めての謎解きに参加。 
想い出す度に、今でもワクワクさせられ謎解き。

◆6位 

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この著作も、9月25日のこの欄で紹介している。
世の中には、発見と発明がある。 今年ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏が、皮膚細胞からips 細胞を生成する技術を解明したのが発見。 この発見に基づき、これから ips 細胞を医療の現場で実用化して人々に供して行くのが発明。 
産業界に身を置く人間として必要な能力は、イノベーション力である発明力。 例えばデシカを どのようにして家庭で使いこなしてゆくか という現場での発明力が大きくものを言う。
この著者の塚本氏は、ダチョウの生命力の強さに気付き、偶然にもその卵から大量の抗体が安く作れることを発見した。 それだけではなく、苦心して作った抗体を使ったインフルエンザ用マスクだけでなく、アトピー対策用やニキビ対策用の化粧品など、様々な商品を発明している。 
発見から発明までのベンチャー。 だからこの本はやたらに面白く、身体の芯まで燃えてくる。

◆5位

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この本は、上記のダチョウに続いて9月30日に紹介済み。
東山魁夷のドイツとオーストリアのスケッチ旅行を追い、それぞれの作品がどの位置と どのアングルから捉えた風景かを探ることを目的にした旅行記。 前例を見ない著作。
たまたま4年前に、パッシブハウスの現状を調査するためにドイツとオーストリアを訪れた。
絵心がないので魁夷のようなスケッチは残せなかったが、魁夷の絵をはるかに上回る素晴らしい街並みや美しい住宅の写真は腐るほど撮ってきた。 したがって、魁夷にもう少し建築や住宅の知識があったなら、もっと素晴らしい作品が残せただろうと惜しまれる。
しかし、この本は建築的に見ても面白くて価値がある。 

◆4位 

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下半期には、私が好きな4人の作家の企業小説がそろい踏み。 そこで、企業小説4点をまとめて4位とした。 
まず、江上剛の「リベンジ・ホテル」。 主人公々今までのようなベテランの経済人ではない。 主役は東京の2.5流大学を卒業した社会人一年生。卒業はしたけど極端な就職氷河期。200社ぐらい応募したが内定は一つもなし。やっと郊外のちっぽけなホテルに就職が決まったが、入社式もなし。最近数年間に新卒を採用したことのない斜陽企業。救いは年老いた社長に変わって若い孫娘が社長に就任したこと。 新人ながら宿泊客のため渾身のサービスに勤め、ニーズを取り上げて女子のランチ会を計画したり、空いている宴会場を地元の同好会に貸したりしているうちに、地元の支援を得て最大の難局を突破するヒヨコ企業家の物語。気負いもなく、淡々と読ませてくれるのがよい。

幸田真音の「ランウェイ」。 この物語の主人公は女性。ファッション業界のバイヤーの世界に飛び込んだ。だが、元々は男の世界だっただけに一刻の平穏も訪れない。 妬みや陰謀が渦巻いている。 しかし、ミラノ、パリ、ニューヨークなどを訪れているうちに、次第に実力を付けてくる。 だが、ファッション界の執拗な女性の争い耐えられず、アメリカに渡って細々と仕事を始める。そして、バイヤーの世界ではなく、女性衣装のデザイン開発の分野に活路を拓いてゆく。
華やかなファッション産業界の舞台裏を眺めながら、女性企業家の成長が楽しめる好著。

池井戸潤の「ロスジェネの逆襲」。 親会社の東京中央銀行の子会社のセントラル証券は、鳴かず飛ばず。誰もが早く銀行へ戻りたいと画策を始めて足の引っ張り合いばかり。 そんなセントラル証券に、IT関連の電脳社の社長から ライバル社の買収話が持ちかけられる。久しぶりの儲け話に会社は沸き立つ。ところが、いつの間にか親会社の銀行が、その仕事の横取りを画策していることが発覚。主人公の半沢部長はロスジェネの若い部下と組んで、なぜ電脳社が最初にセントラルへ話を持ちこんだのかという裏を探って行く。そして、電脳社の陰謀を暴き、銀行とライバル社を助ける。「客のためではなく、自分のために仕事をすると 人と組織が腐る」ことを実証する小説。

江波戸哲夫の「定年待合室」。 妻のガンを知って大手百貨店を早期退職した主人公。妻に先立たれて生きる望みを失った。 その時、行きつけの安バーのママさんから、今までの経験を活かして、「お世話人」「解決人」になったら、と言われて目覚める。さっそく、「百貨店から大口の記念品の注文があったのがキャンセルになった。なんとかならないか」との相談が持ち込まれた。今まで構築したいろんなツテを辿ってゆくと、解決の方法が見つかった。そのほかに、自動車販売店から売上回収の相談。売れ残りマンションの処分。買物難民が困窮している難問を、定年退職のグループが次々に解決してゆく。少し話が甘すぎるとは思うが、元気がもらえる著。

◆3位

あの日建築.JPG

宣言しているように、私が日本で一番尊敬している建築家は伊東豊雄氏と隈研吾氏。
とくに3.11以降の伊東氏の行動は、尊敬に値する。
「建築家は今のままで良いのか。 建築家に何が出来るのか」 という大テーマを掲げて東北の各地を訪れ、避難所や仮設住宅はもとより、公聴会で真剣に本音を探る行動を続けた唯一の建築家。
この著書では、氏がアドバイザーとして釜石市に提案した斜面地型集合住宅や、中央にコミュニティ広場を持った合掌造型の集合住宅が紹介されている。 平地が少なく、急峻な山が迫っている釜石には、大都市型の集合住宅は相応しくない。
さらに、仙台・宮城野区と釜石・平田地区での「みんなの家」の建築実例。さらには、ヴェネチア国際建築展と同時進行で金獅子賞をとった陸前高田の「みんなの家」や、仮想商店街、ラグビースタジアム構想など、具体的な提案がなされている。
一方、戦後のデモクラシー時代には建築家と社会との融和があったが、最近は社会から建築家が期待されない存在になってきている。その背景の分析もしっかり行っていて、納得させられる。
それと、氏が昨年5月に開校して力を入れている伊東建築塾。 土曜日に各界の講師からレクチュアーを受ける講座A。 専門家対象の講座B。 小学校高学年を対象にした講座C。
いずれも頭でっかちな人間を育てるのではなく、東北の被災地や今治のアートミュージアムでの現場実践を踏まえた上での人づくりの実態報告。
全体の完成度はまだまだ低いが、氏の意欲には圧倒される。

◆2位
 
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これも、11月25日に紹介している。
この本を読むまでは、インターネットや携帯電話の普及が、これほどまで子供たちの人間関係、信頼関係を破壊しているとは知らなかった。
たしかに、大人の社会でも2チャンネルとか各社の書き込み欄を見ると、匿名を良いことにして悪口の書き放題が目に付く。 そんな欄を見ているとヘドが出るので私はなるべく避けている。
たしかに、私も国交省や大手プレハブメーカーの悪口を何回も書いている。
しかし、あくまでも名前を出しての悪口。 匿名での言いたい放題、書きたい放題ではない。
悪口を書けば、その分返り血が身に降りかかってくる。それを覚悟しての年配者の戯言にすぎないが、それなりに勇気を持たないと出来ない発言。 本来、発言とはかくあるべき。

ところが、匿名だと自制心が失われ、何を書いても咎められないのでエスカレートする。
しかし、2チャンネルなどで匿名のターゲットになるのは著名人か企業。
ある程度は、「有名税」 と言うことで我慢すべきかもしれない。
ところが、子供のネットや携帯の匿名の対象になるのは、あくまでも仲間であり、時には先生がターゲットに。
面と向かっては何も言わないが、匿名だとあることないこと、好き勝手なことが書き込める。
そして、発言に対しては一切責任が問われない。
このため、子供たちは、いくら親しい仲間であっても決して本音は晒さないと言う。どんなに親しげに振舞っていても、うっかり本音を言うと、何時書きこまれるかわかったものではない。
このため、人と人、心と心の繋がりを子供たちは結べなくなってきているという。
そんな、恐ろしい実態を知らせてくれた貴重な書。

◆1位 

巨大地震.JPG

今回は、文句なくこの著作をトップとしたい。
3.11で、日本国民からの信頼を完全に落としたものの代表が原子力関係の学者先生。
ついで危機対応力が全く欠けていた政治家と経済産業省のお役人、東京電力の幹部がある。 かつての銀行と一緒で、誰も彼らの言うことを信用しなくなった。
それと、もう一つ忘れてはならないものに東大を中心とする地震学会の信用失墜がある。
地震は予測出来るという仮定のもとに、厖大な国費を湯水のように使ってきた。
明日にでも起こる確率が高いと喧伝された東南海地震。 その発生は完全に予測出来ると断言。
学界の権威が集まって会議を開き、総理大臣を中心とする緊急対策会議が開かれ、事前に対策がとられ、被害は最小限に抑えられる。この平成のイソップ物語を愚かにも信じさせられてきた。
ところが、権威があるはずの地震学会は、震度7の直下型の阪神淡路大震災や中越地震に対しては、何一つ予知出来なかった。
そして、マグネチュード9.0という未曽有の3.11に対して、学会は全く無能のデクノボウ。
「こんな地震学会など いらない!!」 多くの国民が腹の底で叫んだ。 それに、原発立地に対する甘すぎた過去の意見具申に対する怒り。ついでに国交省べったりの建築学会に対する怒り。

その中にあって、阪神淡路、中越地震を予測しただけでなく、07年の太平洋学術会議で、古川雅英、小川進氏とともに「2010年頃までに、M8以上の巨大地震が東北太平洋沖で起こる可能性が非常に高い」と問題を提起したのが筆者。実際の発生は筆者の指摘から3ヶ月遅れだったが、政府がこの提起を真剣に取り上げていたら、被害は半分以下で済んでいたであろう。
氏の5段階に及ぶ地震予知の方法には説得力がある。 そして、日本列島の何ヶ所かでの巨大地震の発生を予言している。 私はどこまでも素人。しかし地震予知で、これほどまで具体的で、かつ説得力を持った著書に出会ったのは初めて。 一読の価値があると断言したい。


















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2012年12月25日

2012年下半期 読んで面白かった本のベスト10 (上)


恒例・独善的面白本のベスト10。
現役時代に、きちんとした情報が欲しいために暇があると書店へ行った。
しかし、あまりにも多くの本が出版されており、いつも戸惑った。せいぜい読めるのは年間100冊。何万冊の中から100冊に絞るのが容易ではない。そして、読むべき多くの情報を見逃した。
その経験から、現役で経済活動をやっている皆さんに、なるべく必要な本を選びやすいようにという目的でこの欄を開設。
しかし、私の関心や好みは皆さんとは違う。どこまでも独善的。 また、いろんな書評にも目を通すようにしているが、見逃している好著も多い。 ただ、出来るだけ広い範囲を網羅して、皆さんが選択する場合にお役に立ちたいと考えているのだが…。

下半期に読んだ冊数は424冊。ちょっと読み過ぎ。
さて、この中で一次審査をパスした本は102冊と上期に比べると2割減。
これは、今まで30冊近くノミネートしていた経済・経営・政治が17冊。 環境・農林水産・食料・医療が13冊と大幅に減ったため。
逆に増えたのが科学・技術・教育が5割増の22冊。この欄からベスト10入りしたのが4冊もあり、充実していた。
次いで小説が前期の13冊から20冊に躍進。私の好きな企業小説に面白いものが揃っていたし、古い企業小説を意識的に探したら この数字になった。
また、不作が続いていた住宅・建築も前期の11冊から15冊へ。 しかし、ベスト10入りをしたのはたった1冊だけ。豊作というには ほど遠い。

この一次審査を通った102冊の中で、前々回からベスト10入り候補作品には■印をつけることにしている。 この方が、10冊ではなく気に入った本が48冊もあると分かり、参考にしていただける範囲が拡がるから。
△印は、1年以上前に出版された著書。


【環境・農業・食品・医療】 13冊
・わが家のエネルギー自給作戦                枝廣淳子 エネフォーラム新書
・生物の多様性を考える                     池田清彦   中公新社
■女性のいない世界                   マーラ・ヴィステンドール 講談社
・大人になった虫とり少年                    宮沢輝夫    朝日出版
■命を燃やせ                             吉岡秀人 講談社
■50と呼ばれたトキ                        小野智美  羽島書店
■ロラン島のエコチャレンジ                  北村朋子    野草社
■世界一長寿な都市はどこにある?            家森幸男     岩波書店 
・極みのローカルグルメ旅                    柏井 壽   光文社新書
・あかちゃんのママが本当の気持ちを喋ったら?        ナオミ・スタドレン ポプラ社
■ボクらのエネルギーって、どうなるの!?            岸田一隆 エクスナレッジ    
△ハチはなぜ大量死したのか              ローワン・ジェイコブセン 文春文庫
■△生きもの豊かな自然耕                      岩澤信夫  創森社


【技術・科学・教育】  22冊
・災害とロボット                       井上猛雄  オーム社
・宇宙へ「出張」してきます                古川 聡    毎日新聞社
・IDの秘密                          佐藤一郎 丸善ライブラリ 
・ゼロから見直すエネルギー              化学工業会緊急提言委員会 丸善出版
■宇宙の渚  上空4000km              NHK取材班  NHK出版
・図解 新エネルギー                  大和総研調査部 アスキーメディア
・光触媒の基本と仕組み                   指宿堯嗣   秀和システム
■地熱エネルギー                        江原幸雄   オーム社
・東京で地熱発電                        清水政彦   並木書店
・金メダルの遺伝子を探せ                  善家 賢   角川文庫
■ダチョウの卵で、人類を救います           塚本康浩    小学館
・現代科学の大発明・大発見                大宮信光   ソフトバンク
■毒になるテクノロジー iDisorder        ラリー・ローゼン他  東洋経済
■巨大地震は連鎖する                    木村政昭  角川学芸出版
■ナビゲーション 位置情報が世界を変える       山本 昇  集英社新書
・教育の豊かさ、学校のチカラ               瀬川正仁  岩波新書
・とことんやさしいレアアースの本             藤田和男監修  日刊工業
■震える学校                           山脇由貴子 ポプラ社
・ウナギの博物誌                        黒木真理  化学同人
■大学教授という仕事                     杉原厚吉   水曜社
■検索エンジンに上位表示する法             宮崎敬士  東京図書出版
・本当に怖い電磁波の話                植田武智・加藤やすこ  金曜日


【経営・経済・政治】  17冊
・オリンパス症候群                 チームFACTA   平凡社
・戦後復興秘話 世銀に学ぶ日本再生      太田康夫ほか   日経出版
・未知なるミャンマー                    春日孝之   毎日新聞                
・自 由                      アウンサン・スーチー  角川文庫
■ザ・ラストバンカー                     西川善文   講談社
・新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮         小倉紀蔵編   角川書店
・現代がトヨタを越えるとき             小林英夫・金英善  ちくま新書
■サムライと愚か者 暗闘のオリンパス事件      山口義正   講談社
・原発と日本はこうなる                  河野太郎   講談社
・原発も温暖化もない未来を創る           平田仁子   コモンズ
・市民がつくった電力会社                田口理穂   大月書店
・司法殺人                          森  炎  講談社
■MIT メディア ラボ                フランク・モス   早川書店
■最もリアルなアメリカ入門             原田武夫    かんき出版
■2050 老人大国の現実              小笠原康、渡辺智之  東洋経済
・マグロ船で学んだ ダメな自分の活し方     齊藤正明   学研
■△ヤマダ電機の暴走                    立石泰則   草思社
           

【小説】  20冊
■ランウェイ                       幸田真音   集英社
■うま味を発見した男・小説池田菊苗      上山明博   PHP研
・シャイン                         原 宏一   集英社文庫
■定年待合室                       江波戸哲夫   潮出版
・震災キャラバン                    高嶋哲夫   集英社文庫
■ナインデイズ・岩手県災害対策本部の闘い   河原れん  幻冬社
■リベンジ・ホテル                   江上 剛   講談社文庫
■ロスジェネの逆襲                  池井戸潤  ダイヤモンド
■上海、かたつむりの家                六  六   プレジデント
△美味しいんぼ探偵局                 雁屋 哲   角川文庫
△月華の銀橋                        高任和夫  講談社
△星雲の梯                          高任和夫  講談社
■△ゼフィラム                        楡 周平  朝日新聞出版
■△やっさん                         原 宏一   双葉社
■△再起・総会屋勇次                   江上 剛   講談社文庫
■△希望退職者を募る                   江波戸哲夫  講談社文庫
■△不祥事                          江波戸哲夫  講談社文庫
■△偽造証券                        幸田真音   新潮文庫
■△虚構金融                        高嶋哲夫   文春文庫
■△日々これ夢・小説小林一三           邦光史郎   集英社文庫


【ノンフィクション・旅行】 15冊
■シニアネット・やってみっか            荒明成忠    幻冬舎
・真相開封                          文春編集部編  文春文庫
・0点主義                         荒俣 宏   講談社                  
■東山魁夷と旅するドイツ、オーストリア       松本 猛   日経出版
・Google Earthでゆく火星旅行           後藤和久、小松吾郎  岩波書店
・サンディアゴ巡礼へ行こう!               中谷光月子   彩流社
■移民の宴                         高野秀行   講談社
△日本美術観光団            赤瀬川原平、山下裕二   朝日新聞
△雲の上で暮らす                    山本紀夫  ナカニシヤ出版
△中卒の組立工、NYの億万長者になる       大根田勝美   角川書店
△アマゾン源流生活                  高野 潤   平凡社
△日本の島で驚いた               カベルナリア吉田   交通新聞
■△農家の嫁の事件簿                三上亜希子   小学館
■△暮らしてみたら魔法の里            つるたとよ子   恒文社
■△絵本たんけん隊                  椎名 誠    角川文庫


【建築・住宅】 15冊
■大震災で住宅ローンはどうなるの          島本慈子   筑摩書店
・建築と言葉                     小池昌代、塚本由晴   河出書房
・間取りにこだわればいい住宅になる        上田康允   ナツメ社
■世界の民家園                       岩本 章   鹿島出版
・決定版2×4材木工                       学研パブリッシング
■21世紀の名建築1088             ファイドン・アトラス  エクスナレッジ
■ゼロエネルギー住宅とパッシブハウス    新住宅ジャーナル編  エルエル出版
■あの日からの建築                    伊東豊雄  集英社新書
・耐震、制震、免震の科学              高層住宅研究会  日刊工業新聞
・地震による液状化とその対策            液状化研究会   オーム社
・東京高級住宅地探訪                  三浦 展   晶文社
・家を建てるときに一番大切なこと          森下誉樹   ダイヤモンド社
△奇跡の団地  阿佐ヶ谷住宅            三浦 展他   王国社
△イギリスの田舎のホテル              旅名人ブックス  日経BP
■△建築史的モンダイ                   藤森照信   ちくま新書

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2012年07月05日

2012年上半期 読んで面白かった本ベスト10 (下)


先週上げた123冊の中から選抜したベスト10候補作品、■印が50冊。
その中から、勝手に選んだ独善的ベスト10が以下。
いつものことながら写真の写りが悪いのは、ご容赦あれ。

◆10位 

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住宅・建築関係で期待していた「日本人はどう住まうべきか?」 と「建築の大転換」は残念ながら期待外れ。むしろ古い「ガウディ 建築図鑑」と「可笑しな家」の方が面白かった。 
それでは絵にならないので、住宅・建築の分野から以下の3点をまとめて10位とした。
「この地名が危ない」では、昔の人が最悪の場所だと警告していた福島の地名のところに、こともあろうに原発を建てている。 原発候補地の選定は かなりいい加減な作業だったという指摘が説得力を持って迫ってくる。
「菅があぶない」は、日本の都市の漏水率は世界に冠たるものだと聞いていたが、インフラの老朽化でかなり傷んでいると言う実態に驚かされる。
「日本人はどう住まうべきか」については、2月15日のこの欄で紹介済み。

◆9位

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「キノコの教え」と「タネが危ない」の2つをまとめて9位に。
「キノコの教え」は、6月29日の「独善的週評」に掲載したばかり。 植物は根毛を通じて水分やリン、カリウム、カルシウムを吸収しているが、キノコの菌糸の果たしている役割が大きいという。
木を育てるには、キノコの菌糸なくして語れないということを教えてくれている。
「タネが危ない」を書いた野口氏は、地場で栽培した野菜や穀物の一番成育のよいものからタネをとる、古来の「在来タネ」を専門的に扱っていて、その道では名士。
しかし在来タネは、大きさもマチマチで、収穫の時期もバラバラ。これに対していま流行のF1と呼ばれるタネは、同時期に同じ大きさの野菜が大量に採れ、スーパーなどにもてはやされるし、農家にとっても手離れがよい。このため、ほとんどのタネがF1になってしまった。しかし、在来タネに比べると味も栄養価も落ちる。なんとか在来タネを守ろうという運動の指針書。

◆8位 

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椎名誠というと、多くの仲間と日本全国の海岸や島で焚き火をして、ビールをあおってオダをあげ、海外の辺地を彷徨したりしている人間という印象が強い。
彼の小説も、自分の少年時代、青年時代、特異な子育て方法を面白おかしく書いている私小説で、まともなものだと思ったことがない。
ただ、息抜きの本として、旅行中などに読むには東海林さだお、阿川佐和子などとともに恰好の書。やたら難しいだけで内容のない本よりも、面白いだけで十分に価値がある。
そんな風に氏を評価していたので、まさか椎名誠が新潮選書で、「世界の水問題」を論じる著作を出していたとは知らなかった。
一口に言って、内容はなかなかのもの。 2人の助っ人の協力を得て、きちんと取材している。 それほど気取らず、いつもの軽いノリでの語り口が良い。 近いうちにこの欄で取り上げたい。

◆7位

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高校生向けの科学の解説書とも言える3冊を、まとめて7位とした。
戦後のどさくさの中で、まともな科学の教育を受けておらず、しかも文系の人間にとっては、このような高校生対象のイロハの解説書が結構役に立つ。
環境が専門の安井氏の「化学で何がわかるか」は、どの年代に何が問題になり、どんな発見があったかが系統的に分かり易く解説しているので有難い。
巽氏の「いちばんやさしい地球変動の話」は、今年の1月25日にこの欄で、地震・CO2を語る前に是非一読を! と紹介しているもの。
多田氏の「すごい実験」は、金髪のロン毛先生が、高校生を相手に素粒子物理学を面白く、おかしく教えた講義記録。素粒子「ニュートリノ」を作ったり、検出する機械設備の途方もない大きさにびっくりさせられ、惹きこまれてゆく楽しさは一級品。 昨日発表されたヒッグス粒子の発見で影は薄れたが・・・。

◆6位 

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この著作は、6月5日にこの欄で紹介している。
東日本大震災で大活躍した9人の医師たちの奮闘記録で、昨年の8月30日に出版されたもの。
しかし、9人の医師全部を紹介出来ないので3人に絞ったが、感動的。
医師の活動記録は、これ以外にも数冊出版されており、いずれも心に残るものがある。

◆5位

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経営・経済の分野から3点をピックアップした。 いずれも深い感銘を受けた書で、まとめて5位とした。
まず、1月30日付でこの欄で紹介した「円高の正体」。
「すごく参考になります」というメールをもらって、急いで買って来て読んだ本。 大不況下の日本の円が独歩高を演じているのは、政府と日銀のインフレ目標がアメリカなどに比べて低いからという指摘には思わず拍手をした。
2月10日のこの欄で紹介した「サイゼリア革命」。
私自身がサイゼリアの大フアン。 ただし、レストランとしてではなく、大衆的なトラットリア、あるいは居酒屋 (オステリア)、またはバールとして活用している。 ファストフード・レストランとして新展開を図ろうとしているのには、疑問符が・・・。
4月10日のこの欄で紹介した「アジアビジネス熱風録」。
この本は4年前に刊行され、2年前には文庫本になっていた力作を見逃していたもの。 文春から頼まれてインド、シンガポール、ベトナム、タイ、韓国、インドネシア、中国の7ヶ国を訪問し、現地の生々しい状況を見事に伝えてくれている。4年たっても決して風化していない。

◆4位 

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江上剛のこの小説は、3年前に読んだことがある。
ところが、どうしたことか最初に書かれていた鈴木商店の金子直吉社長の話を聞き、人となりを見抜いて、三井銀行頭取の主人公・池田成彬が鈴木商店への融資を打ち切る決定を下すところ。 それと、慶応大学へ入学したのだが福沢諭吉の「巧言令色も時には必要」という演説に憤慨して、会場から去ったこと程度しか記憶に残っていなかった。
ところが、今回読み返してみて、明治、大正、昭和の激動の中を、三井財閥のトップとして嘘をつかず、改革を断行するとともに、後に日銀の総裁、大蔵兼商工大臣として軍部と対峙しながら国家財政の健全化を目指した骨太の「硬骨漢の人生ドラマの美しさ」を知らされた。
一体3年前に、何をネボケていたのかと「我、猛反省せり」という結果に。
偽装報告をしたり、カジノへ会社のカネをつぎ込んだりしている最近のポリシーなき経営者。 それに対比して信念をもった実業家であり、政治家でもあった池田成彬。 その波乱万丈の生き様を 見事に描ききった力作。

◆3位

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この題名と著者名を見ただけでは、読みたいと言う食指が起きない。
1章と2章を読んだ時点では、正直なところ投げ出そうと考えたほど。
ところが、3章の「世界中から技術指導の要請を受けているカテーテル先進国・日本」から にわかに面白くなり、あっという間に読み終えた。
心臓外科医のことは、海堂尊氏の小説などで知っていた。しかし、カテーテルで心臓病を治す技術は日本が世界一で、しかも一人の「神の手を持つ天才医師」が存在するのではなく、その技術を広く公開し、若き技術者をスーパードクター軍団に育てていた。
それを成し遂げたのが、1999年に豊橋ハートセンターをオープンさせた鈴木孝彦氏であり、仲間の加藤修氏。
どこまでも患者の立場で発想し、実際の治療現場を海外を含めた4000人のプロに公開するなど、その技術力と教育力にはほどほど感心させられる。このため全国から有能な人材が集まってくる。その幹部の1人の活動を見ると、年の半分は世界20ヶ国を飛び回っての技術指導。残りの3ヶ月は国内の医療機関へ出張というから驚く。08年には名古屋に、09年には岐阜にハートセンターを立ち上げている。
7月13日の「独善的週評 351号」でこの著を取り上げる予定。

◆2位 

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明治維新という時代に、500を越える企業の設立に関わった渋沢栄一。
「明治維新の日本の近代化という奇跡は、渋沢栄一なくしてはあり得なかった」 と言われているが、これは決して誇張ではない。
あのピーター・ドラッカーも、渋沢栄一を研究して東洋の小さな島国に過ぎなかった日本が、何故急速に近代化が出来たのかという謎を解き、ニッポンのファンになっている。
「実家の仕事を通じて10才台で経営感覚を身につけていた渋沢は、フランス語を学んでヨーロッパの先進的なシステムを学び、これを理解し、古い日本人が持っていた潜在的能力を引き出して新しい企業群を創り上げていった。 彼の最大の功績は、一身にして立案者と実行者を兼ねて事業を推進したこと。 彼には思想家と言う素晴らしい側面と、数字が読める行動家という側面があり、それを結合させるという類まれなるユニークな才能があった」 と述べている。
渋沢栄一伝は、私も今まで数冊は読んでいる。
ところが、この著作が優れているのは、渋沢が民部公子のお供をしてフランス渡った時、どのようにして先進国のシステムの全体像を学ぶことが出来たのか、という点に焦点を当てている点。
その結果、今まで誰も書いていないサン・シモン主義者の「株式会社、銀行、鉄道」という三種の神器を、「ベンチャー・キャピタルで産業を興こそう」とする考えをフリュリ・エラールから学んだからだ、と解明している。
何しろ、この本は算盤篇と論語篇で延べ960ページにも及ぶ。
渋沢が設立に関わった500を越える会社とは、 @資本主義のインフラに関わるものとして銀行、各種取引所、交換所、保険、陸運・海運、土木、水道、電気、燃料がある。 A外国製品の国産化に関わるものとして紡績、織物、鉄鋼・製鉄、製紙、セメント、レンガ、ガラス、化学肥料・薬品、造船、汽車製造、製革、製糖、ビール、精肉、乳製品がある。 B流通・サービス業として商社、通信、新聞、印刷、ホテル、不動産、広告、デパートなど、ほとんどの産業が網羅されている。
この外にも一橋大学、共立女子大学や帝国劇場、養育園の開設にも骨を折っている。
渋沢が三菱を興した岩崎弥太郎のように私欲が深かったら、厖大な資産を築いたであろう。また、資本主義の必要悪として投機は認めたが、自らは投機に一切手を出さなかった論語の人。
この著作は、産業界で働く全ての人に読んでいただきたい。本来はトップに推挙したい久々の名著。

◆1位 

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この著は、つい最近の6月25日にこの欄で紹介したばかり。
渋沢栄一を1位にするか、ローマ法王を1位にするかで迷ったが、現役のイノベーションの方を高く評価すべきだとの結論に・・・。
ともかく、ベンチャー企業のトップにも見られないような大変な意欲と好奇心。それと類まれな情報発信力と常識にとらわれない改革力。 それを、田舎の地方公務員の臨時職員が持ち続けていたというから、どの企業にあっても改革は出来ないことはない。
是非とも再読いただいて、貴方の会社で、貴方が「ローマ法王に米を食べさせる男」になっていただきたい。




























posted by uno at 07:45| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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